惑星観察記録(地球)
【惑星情報】
●位置
ラニアケア超銀河団
おとめ座銀河団
局所銀河群
天の川銀河
オリオン腕
82 G. Eridani
第三惑星
地球
●環境(地球基準)
平均気温:22度
主要物質:ケイ酸性鉱物
公転周期:338日
自転周期:27時間
●文明
不滅個体の仲間が創った文明。
約三十万年存続している。
性別、家族、お金等が存在しない。
家族という概念はなく、母親、父親、兄弟という概念はもちろんない。養育者のことは名前で呼ぶ。
文明活動のための仕事は行うが、報酬は発生しない。その代わり、飲食等での料金も発生しない。
仕事はその日の気分で変更してよく、労働力が不足する場合は適宜メインシステムである巨木から依頼がかかる。メインシステムは全ての生命体の生産から、建物の建造、気候の制御等、地球の様々なことに対し制御を行う。
メインシステムは不滅個体のうち、一名が管理を担当していた。管理者の期間は干渉を防ぐために人類との接触は禁止されていた。そのため、管理者は酷い孤独感に襲われていたが、僕らの仲間が三名移住することで管理者を二名で回す方針に変更された。
●主要生命体
1. 人類
・見た目:僕らの人類と似ているが、スキンヘッドで全身が緑色。
・特徴:植物ベースの肉体で、光合成も可能。動物性タンパク質の摂取が不要なので、ベジタリアン。
・一生:巨木から五歳の状態で誕生。十五歳まで養育者と過ごし、その後一人暮らしを始める。寿命は百年程度。死後は土に還る。
・意思伝達:会話、手紙、ジェスチャー等
【個別記録】
●優希
初めは皆かみの毛がなかったり、服を着ていなかったり、家族がいなかったりしておどろいたけど、学校に行くと友だちもできて楽しかった。
でも、最後まで家族のことを名前で呼ぶっていうのは慣れなかった。
皆、他の星から来た私に優しくしてくれてうれしかった。
アシタが管理者の間ずっとさびしかったって聞いた時はおどろいたし、悲しかったけど、他の虫さん達が星に残って手伝いをするって決まってよかった。
いつになるかわからないけど、学校の皆とまた会いたい。
●朋里
初めは皆裸で歩いているので見ているこっちが恥ずかしくなったけど、学校に行くようになってからは裸の生活にも慣れてよかった。やっぱり異性がいないのは大きいかもしれない。
男女がないと、学校生活はこんなにも穏やかなんだと気が付いた。代わりに、友達の恋バナを聞いてドキドキしたりすることがないのは残念だったけど……。
授業の内容は、日本よりかなり簡単だったので普通についていくことができてよかった。この文明には中学までしかないみたいで、十五歳で大人になるのはとっても驚いた。この星だったら、私はもうすぐで成人になるってことだもん。私はまだ家族と暮らしたい。
養育者はいるけど、やっぱり家族がいないのは嫌だと思った。アシタはいない方が平和っていうけど、私はやっぱり喧嘩しても家族といたいと思う。
アシタ達は皆の幸せのために孤独を抱えていたけど、今回でそれが解消しそうで良かった。
●茜
ミライ達、人工生命体――不滅個体と言ってるみたいだけど――の別グループの文明であり、同じ人類がモデルとなっていたが、衣食住のあり方や他者との関係性、文化等、様々な方向で異なっていた。
特に、植物ベースの肉体、男女がないことは、私達の人類と大きく異なる点だった。植物ベースの肉体だと、動物性タンパク質が不要だ。それ故に生きるために他の動物を殺さなくてすむ。それに、葉緑体も持つことで光合成が可能なことも効率的だ。非常によく考えられた肉体だと思う。
また、男女がないことで、結果的に家族の概念が存在しないのも興味深かった。子どもに赤ん坊の頃は存在せず、ある程度大きくなってから生まれる。女性視点としては、お腹を痛めずに子どもを授かれるのは最高だが、それと同時にとても可愛い盛りの赤ん坊の頃を共に過ごせないのは大きな損失であるように思える。乳幼児のお世話は大変だが、子どもの発達段階では非常に大きな時期だ。この頃に築く大人との信頼関係は非常に重要なものなのだけど……家族という概念が無ければ、その発想自体が生まれないのだと気が付いた。心から大切な人がいない世界は、私にとっては寂しいと思えてしまう。
管理者が全ての負の部分を吸収し、管理者以外を幸せにするという思想の環境だったようだけど、かけがえのない一人を犠牲にして成り立つ社会は、理想郷のようで、どこか歪んでいるような気がした。アシタには激怒されそうだけどね。
今回を機に、管理者が二人体制になって良かった。喧嘩しないで仲良く続けていって欲しいと、心から願っています。
●悟
(茜と重複する部分は省略)
平等公平な管理者があらゆる制御を正しく行える文明だった。管理者ベースの文明はここが理想の最大値に近いのではないだろうか?
管理者の任期中は、管理対象に直接関わらないという制約も非常に有効だと考えられる。
性別の区別がないことで、犯罪が減り、争いがなくなる点も参考になる。
お金という概念が存在しないのも特徴的だった。感謝という、形のないものでやり取りができるのは、この文明に悪人がいない証左であると考えられる。悪人がいないということは、治安維持に関わる人員も、犯罪者を取り締まる制度も不要になる。
つまり、この文明は平和そのものだった。アシタがゴリ押しするのも理解できる。
しかしながら、僕はここの文明では生きたくない。誰とも深い関係になれないということは、本人達は気が付いていないだけで、結局孤独なのではないかと思える。何より、ここでは茜と夫婦になれないし、子ども達全員と一緒に暮らせない。そんな生活は、僕にはとてもじゃないけど受け入れられない。
葉緑体を持つ身体はかなり見本になると思ったけど、髪型や衣服等の文化を楽しむ要素が減るのは、損失のようにも思える。僕は多少争いがあっても、カラフルな人類の方が楽しいのではないかと思えた。
●ミライ
できれば行きたくない場所だったけれど、来てよかった。アシタ達とも多少は和解できたように思える。
だいたい、感情が残ってるのに短く思えるとはいえ、百年も単独で管理者業務なんて無茶だったんだ。
ツヅクとミチとユウキが残ってくれると言ってくれて本当に良かった。
今回、初めて僕の中にいた他の不滅個体も僕の外に出た。みんな、結構良かったみたいなので、今後は数人交代で外に出ることになった。僕一人の時だと、お父さん達に言い負かされることもあるので、味方が増えるのは嬉しい。
次にアシタ達に会えるのはいつになるのか、そもそも会えるのかわからないけど、アシタ達も元気にやっていって欲しいと思う。
僕らは、早くアンダケスダカンポリー氏が言っていた答えにたどりつきたい。
僕らも僕らが思う、共存可能な人類を改めて考えていこうと思った。
【モデル評価】
優希 :★★★★★
朋里 :★★★★☆
茜 :★★★★☆
悟 :★★★☆☆
ミライ:★★☆☆☆




