ヴェルハイム家の挑戦
「ぉぉ〜まさかの5日連続♪
ようこそワンダーランドへ♪」
「ルーちゃん!
今日こそクリアしてみせますわよ!」
第1層すらクリアできないのに5日連続で
ワンダーランドへ挑むクラリス達パーティ。
すっかり馴染みになってしまったようだ。
ずっとメモを取り続けている執事に
「何か攻略の作戦は組めたのかい執事さん?」
「いや。正直こんなダンジョンは初めて。
興味が尽きませんね......」
「楽しんでくれてるなら何よりだよ〜♪」
次はメイドからルーちゃんへ
「あ、あの、この転移魔道具を
別で買い取ることは出来ませんか?」
「これはこのダンジョン専用の非売品ですね〜。
このダンジョンをクリアできないかぎり
1度使って終わりだしね。
仮に未使用で持ち帰ったとしても、
効果が一日で切れるし
転移先はこのダンジョンの入口。
ちなみに1番近くの街からここまでくらいの
範囲しか飛べないように設定してるから
それ以上の距離は転移も出来ないよ〜♪」
「そ、そうですか......」
「ルーちゃん!あの宝箱のポーションは
どこから手に入れてるのですか!?」
このパーティーは常連ヅラして
根掘り葉掘り情報を聞こうとしてくる。
「教えませ〜ん♪ダンジョンのウラ事情なんて
言ったらつまらないじゃない♪」
「......!むむ!悔しいですが
おっしゃる通りですわ......!」
「それより護衛のお兄さん〜♪
とても元気がないわ?大丈夫かな?」
バッシュはお嬢様の護衛でありながら
4日連続1番最初にリタイヤしてしまっており
自責の念にかられているようだ。
「......く!今日こそは!」
「もうバッシュには期待していませんわ!」
「そ、そんな!クラリス様ぁ〜......」
あきらかに怒っているお嬢様を
追いかけるようにあとに続くバッシュ。
「お嬢様〜お待ちください〜!」
なんだかいつもこのセリフを言ってる気がする
メイドのリゼ。
「ふむふむ。興味深い......。」
ダンジョンの入口を観察しながら入る執事。
「5日連続第1層敗退パーティ様
いってらっしゃいませ〜♪」
「まだ4日ですわーー!!」
......完全にカモである。
「すごいね!また来たのねあのお嬢様!」
「うんうん♪」
「来週には入口を拡張できそうなので
もう少しスムーズに案内できそうね」
「そだね♪これなら15分に1組のペースで
案内が出来るようになるね♪」
今まで30分に1組だったのが倍になる計算。
売上も倍増。にしし♪
待ち時間が長いので
ルーちゃんは案内待ちの冒険者達と
お喋りをして時間を使ってあげていたので
ルーちゃん自身の負担も増えていた。
それも多少は改善できるかな......?
なんならルーちゃん目当ての冒険者も
少なからずいそうな勢いだったからね......。
ちなみに何か答えに困ったことを聞かれたら
裏からメグミが全部指示を出していることは
言うまでもない......。
メグミがフライングコースターと名付けている
空中を滑走するぶら下がり型の移動装置。
「ぎゃぁぁぁぁ!!!」
風魔法使いなので空を飛べる
クラリスとリゼは比較的これに耐性がある。
女二人にヒィヒィ言いながら
しがみついているのは護衛と執事の男二人。
うーん。滑稽。
無事にフライングコースターをクリアした4人。
「ねえ、思ったのだけど」
クラリスが難しい顔で尋ねる。
「もしかして、この移動床って
ちゃんと安全に設計されていないかしら?」
「まさか。そんなダンジョンありえません。」
即否定する執事。
「そうですわよね......。」
足が震えて動けないバッシュが回復するのを
待って先へ進むクラリスパーティ。
暗闇コースターのネバネバ攻撃に
3回やられているクラリスは
ついにネバネバが出てくる場所を把握し
回避に成功する。
「やりましたわ!」
おおお!
やったやった!
【第1層クリアおめでとう♪
第2層はファントム・ラビリンスです!
いってらっしゃいませ〜♪】
ルーちゃんの声がどこからかアナウンスされる。
「これ、どこから喋っていますの!?」
「魔法で声を届けているのでしょうが......」
「それより、我々の動きを全部把握している?
ことの方が理解ができません。
どこから監視しているのか......」
「このダンジョンは謎が多すぎます......」
興奮している執事をおさえ、
クラリス達は第2層へ。
派手な演出からうって変わって
不気味な雰囲気の第2層。
「第2層は魔物が出るそうですぞ!」
次こそは俺の出番だと言いたいのか
バッシュは先頭を歩く。
道はどんどん細くなり
壁がまるで迫ってくるような感覚におちいる。
ひひひ......
「誰だ!?」
構えるバッシュ。
「狭いので止まらないでくださいまし」
「ちょ!?モルガン?!押さないでください?
ど、どこ触っているんですか!?」
「え?!私何もしてませんよ!?」
リゼとモルガンが触った触ってないなどと
満員電車みたいなことを言っている。
そう。
この第2層は
ルーちゃんの幻影魔法で作られるお化け屋敷。
ひひひ
上だよ
「む!?」
なにか聞こえた気がしたバッシュは真上を見る。
すると
天井には無数の手がぶら下がっており
手招きをしている。
「ぎゃぁぁぁぁ!!!」
前へ走り出すバッシュ。
「きゃぁ!バッシュ!?」
さすがのクラリスも驚き
バッシュを追いかける。
狭くなる通路。
それにより迫ってくる壁。
その壁には
「ひひひ!ひーはー!!」
青白い白目を向いた人の顔が浮かび上がる!
「出たーー!!!お化けーー!!」
クラリスは前を走っていたバッシュを突き飛ばし
先頭におどり出て走り続ける。
「お嬢様〜お待ちください〜!」
吹っ飛ばされたバッシュは床に無惨に倒れ
追いかけてきたメイドと執事に見事に踏まれる。
「ふぎゃ!!」
そのまま置いていかれ
あっという間に
まわりを白目をむいた恐ろしい
お化けに包囲されたバッシュは
ここで転移魔道具を使用してリタイヤ。
見事に5日連続最初のリタイヤとなる。
「ハァ......ハァ......
幻覚を見せる魔法というものがあります。
恐らくそれでしょう。
私も見るのは初めてですが......」
リゼはそう言いながらなぜかお尻を触ってくる
セクハラ痴漢執事の方を見る。
「ところでモルガン......さっきから......!!」
お尻を触っているモルガンだと思っていたソレは
よく見たらバッシュの顔をしている
首だけの人間だった。
「けけけけけ!!!!」
「ぎゃぁぁぁぁ!!!!!」
「リゼ!しっかりしなさい!
あなた今自分で
幻覚を見せてくる魔法だと言ったでしょう!?」
あえなく泡を吹いて倒れたリゼ。
「何か幻覚を見せられています!
お嬢様!お気をつけください!」
モルガンの声が聞こえるが
モルガンの姿はない。
「......な!なんですの!?モルガン!
どこにいますの!?」
ふと前をみると
無惨にも血まみれで倒れているのにこちらを見て
ケラケラと笑っているモルガンの姿。
「きゃあああ!!!」
あまりの恐怖に気を失い倒れるクラリス様。
恐怖の幻覚を見てぶっ倒れている
リゼとクラリス様を見つけたモルガンは
あえなく二人を連れ転移魔道具を使用する。
ここまでーーー
「おかえり〜♪」
モルガンは3人の無事を確認し倒れ込む。
「あらあら〜♪大丈夫??」
「ハァ......意識を取り戻すまで
どうかお待ちくださいルー殿......」
「ねぇ、3人ともおしっこ漏らしてるから
とりあえず遠くへ連れてってくれない?♪」
「うわ!ホントだ!......おええ......」
「執事さんふぁいと〜♪」
第2層でのリタイヤ組は
失禁するのがお決まりらしい......どんまい♪
夜。
近くの街の宿でしばらく
連泊しているクラリス一行。
「く、屈辱ですわ......!!
こんな辱めを受けたのは初めてです......!」
「クラリス様......申し訳ありません......」
「お嬢様〜洗い終わりました〜」
「リゼ!いちいち言わなくてもいいですわ!!」
「ひぃっ......すいません......」
「あれらは全て幻覚魔法です。
お化けはまだしも、厄介なのが
我々の姿を模写してくることです。」
「あんな事されたらパーティが崩壊しますわ!」
「ええ。そうです。
何より危ないのは同士討ちの危険です......」
「敵だと思って攻撃したら仲間という
あってはならないパターンですね......」
「く、ルーちゃんめ......
あんな可愛い顔して
なんてえげつないトラップを......!!」
山!といえば川!
合言葉を決めたクラリス一行は
翌日もリベンジのためダンジョンへ向かう。
「見てらっしゃい。
今日こそクリアしてみせますわ!」
まったく懲りずに意気揚々と
ダンジョンに到着したクラリス一行が
見たのは入口に貼ってある一枚の紙。
【ワンダーランドは土日は定休日です♪】
【またのチャレンジお待ちしてま〜す♪】
「はぁぁぁぁぁ......!!???」
......休みあんのか〜い!!!
メグミは異世界でホワイト企業を目指す
元ブラック企業の社畜である。
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