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ダンジョンの受付嬢



ダンジョンから1番近くの街までは

1時間ほど歩くと到着できる。


私とルーちゃんは街の酒場にいき、

一緒にご飯を食べたりお酒を飲んだり、

お喋りしたり......

この世界の仕組みや

私の元いた世界の話で盛り上がった。

しばらくはゆっくりとこの世界に慣れることと、

ルーちゃんの体力や魔力の回復に努めていた。


ルーちゃんはとても賢いのだが、

やはり、どこか抜けている。

ブラック企業の社長のような

モラハラ、パワハラまみれの発言をしてくる。


さらに、後で知ったのだがルーちゃんは

その辺からこっそりお金を盗んできて

酒代にしていたので

(※転移魔法で盗み放題なのです)

まずは、こういう常識や考え方を

改めさせるのに時間を使った。



「ルーちゃん、魔王気質辞めちゃいなよ」


「魔王気質というのはなんじゃ?」


「えと、まずその、なんか偉そうな口調から」


「......メグミはほんとに我に何の遠慮もせんの?」


「......え?そんなのいる?」


「......まぁ良いが......」


「せっかく可愛いんだからさ!

もっと可愛い口調にしよ♪

ほら、語尾に音符つけて」


「メグミ〜♪」


「え!出来るんじゃん!」


「まぁ、やろうと思えばな.....?」


「それでいこ!ルーちゃんは可愛い!」


「まったく…メグミは調子が狂うのう......?」



ダンジョンについての提案が続く。


「私、前世で仕事ばっかりしてたからさ!

せっかく異世界来たんだし、思いっきり

遊んでやろうと思うのよね!」


「言ってたテーマパークとやらか?」


「そう!ないなら作ればいいのよ!

だって、私には今作る力も時間もある!」


「メグミがダンジョンを

そのテーマパークとやらにしたいのはわかるが、

なぜそんなに人間に

合わせてやらんといかんのだ?」


「だって!テーマパークは

みんなで楽しむものなのよ?」


「我が魔物に指示して金も酒も集めてやるぞ?」


「だめ〜!絶対盗んだり襲ったりするでしょ!」


「......そりゃ、魔物だからな?」


「絶対だめ!怒るからね!」


「必ず利益はダンジョン運営であげること!

そして、絶対人間を殺さないこと!

ルーちゃん、約束して!」


「別にかまわんが......回りくどいと思ってるだけじゃ」


「だめなの!大事なことなの!」


「はいはい、わかったよメグミ」


「んじゃ、テーマパークの受付には

やっぱり可愛い子にいて欲しいから

ルーちゃんは受付嬢ね!」


「え〜......?」





少しずつルーちゃんの魔力が回復して

出来ることが増えてきた。

私の設計したジェットコースター型ダンジョンに

ルーちゃんの魔法で演出を作る。

横から風が吹いたり、爆発したり、

床を自動でうごかしたり、

水圧を調整して波や水流を作ったり......。


最初は失敗もあったが、

緊急時など怪我人が出た時は

私の光魔法をフル稼働させて、

来た人間は必ず無事で帰す。


魔道具と呼ばれるアイテムに魔法を付与すると

そのアイテムを持ってると

その魔法が1度だけ使えるようになる。

ルーちゃんの転移魔法を魔道具に付与して

リタイヤした冒険者は

入口へワープできるように設定。

この転移魔道具を売ることにより、

日銭を稼いで酒代にする。

ちなみにご飯は食べなくても死なない。


少しずつ冒険者は増えてきて、

私のダンジョンはついに第2層まで

作れる段階にまで来ていた。





しかし、私とルーちゃんはついに衝突することになる。





「メグミ。あの冒険者、相当金を持ってるぞ?

殺して奪ってしまおう!罠にかけるぞ」


「ルーちゃん!?ダメって言ったよね!」


「ち、めんどくさいな......」


「......ルーちゃん!」


「やる気が失せたわ......今日はもうやめじゃ!」


投げ出してしまうルーちゃん。


ダメだ。このままじゃ。

ルーちゃんのやり方はブラック企業そのもの。

絶対長くは続かない。

人も物も壊れる。

そして、ルーちゃんはまた独りになる。

散々社畜してきた私にはわかるのだ。


「ルーちゃん話をしよう」


「嫌じゃ!メグミのやり方はぬるい!」


「ぬるくていいのよ。何も焦らなくていい」


「人間を守る魔物など聞いたことないわ!」


「共存するのよ。人間も魔物も関係ないわ」


「無理じゃ!」


「ルーちゃんは人間も魔物も経験してるじゃない」


「理想論じゃ!そんなのはうまくいかん!」


「ルーちゃんお願い話を聞いて」


「嫌じゃ!!」


「ねぇ、ルーちゃん......

ルーちゃんは天才魔法使いとして

散々人間にいいようにこき使われてさ、

人間の事情に巻き込まれて死んじゃって......


魔物になってからも勝手に周りの魔物に

魔王ともてはやされてそのまま魔王やらされて


そうやって生きてきたんだよね?」


「......」


「ルーちゃんは天才魔法使いをやりたかったの?

魔王をやりたかったの?違うよね?

勝手にやらされてただけだよね?」


「なんの話じゃ!」


「私わかるんだ、もうアラサーだしね。

嫌な大人の社会散々見てきたし。」


「......だからなんの話じゃ!」


「ルーちゃん、自分で言ったよね?

今のその姿、転生前の本来の姿なんでしょ?」


「......だったらなんじゃ!」


「魔法使いでも魔王でもないわ。

本来のあなたはまさにその姿。


あなたはただの"少女"なのよ」


「......!」


「怖かったよね。

嫌だったんだよね。

嫌な人間散々見ちゃって。

魔王なんかやらされちゃって。

もういいんだよルーちゃん。

大丈夫。私がずっといる。

私があなたのお友達よ。

もう役割を演じる必要はないわ。

あなたは何も考えず

お友達と楽しく遊ぶ少女でいいのよ」


「......何を言ってる!メグミ!......何を......!」


「......ほら、泣いてんじゃん、ルーちゃん」


「......泣いてなんか......」


ルーちゃんを優しく抱きしめる私。


「......うぅ......!」


「もういいのよ。大丈夫。

あなたはまだまだ

甘えていい年頃の少女なのよ。

私大人だから。

私の前では泣いていいのよ。」


「......うう、......メグミ!」


「大好きよルーちゃん、

今まで独りでよく頑張ったね、偉いね。

もう頑張らなくていいんだよ......」


「......うう!......メグミ!メグミ!!」





うわあああぁぁぁ......!!!







私の腕の中で

わんわん泣き出した

その元魔王は

何かからやっと解放されて

ただの年頃の少女となる。


細かいことはわからないし、

もういちいち聞きもしないけれど


散々前世で利用されてきた私と

この少女はきっと同じなんだと

私は気付くことができたから。


だからこれは

私たち二人にとって

大事なことで。


彼女と共に

私は私自身も解放したくて。


だから

きっと

私たちは

友達になれるんだよ。


お互いにとって

かけがえのない

大事な


友達にーーー。













こうして

この元天才魔法使いで

元魔王の少女は


ダンジョンの最奥で待ち構えて

冒険者を倒す魔王ではなく


ダンジョンの入口で

人間を守るため

冒険者を優しく導く

ちょっと変な

可愛い受付嬢になったのである。



ーーーto be continued in episode1








読んでいただきありがとうございます!


もし少しでも面白いな、

続きが気になるなと

思っていただけましたら

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