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天才魔法少女



魔王こと、ルイーダ・ヴィンセントは

自分のこれまでの半生を語り始めた。


我も元々はどこかの異世界から

この世界へ転生してきた人間だったのだ。

だが前世の記憶など当然ありはしない。


転生してきたその時はまだ若い女性でな。

この世界で天才魔法少女などと呼ばれていた。


幻覚を見せる魔法。

瞬間転移魔法。

精霊を具現化する魔法。

結界を張る魔法。


これらはどれも1人の魔法使いが

生涯をかけてどれかひとつだけ

会得できるかどうかの大魔法。


これらを全て会得した我は当時はそれはもう

大魔法使いともてはやされておった。


だがしかし、我は事故で死んでしまってな。

持ち前の魔法で無理矢理復活したまでは良かったが

身体を維持できず魔物になっていたのだ。


魔物として復活した我は概念だけの存在でな。

精霊を具現化する魔法で

自分で身体を具現化して復活したわけじゃ。


なので今となっては自分の体を好きに構築できる。

人でも魔物でもオスでもメスでも、

こんなワタのような形でもな。


魔物というのはたまに知力のあるものもいるが

大体は人を襲い喰らうだけの存在。

そして、強さこそが全て。強いものにただ従う。

我が魔物達の王になるのに時間はかからなかった。

数々の魔法を極めた我より

強い魔物などおらんかったからな。


そうしてこの国の城も乗っ取って一時期は

魔王城として君臨してやったのだが、

それも人間の勇者一行に敗れ、

ギリギリ命を維持できた我は

長い年月をかけてここにたどり着いたというわけだ。


ルイーダ・ヴィンセントは

もはや過去のどうでもいい話だがなと言い、

ダンジョンへの自分の説明を終えた。






......ふごぉ!ふごぉ!苦労したんだね!

ルーちゃん......うおおお......!


何やら大泣きしているダンジョンこと、メグミ。


なぜだ?泣く要素あったか?


だってぇ......天才魔法少女がいまやこんな

ただのワタになるなんて......うおおお......!!


お前もダンジョンじゃろ。

そのへんの草木と同じ植物みたいなもんじゃ。

規模が少しでかいだけで変わりはないぞ?


......あ。私もなかなか酷いね?

うひひ。お互い様だねルーちゃん♪


今ごろ気づいたのか。

実態としての体がどうかなど

大した問題でないわ。


......そういうもんなの?ぐすん......。


我はもう死んだと思われておるし、そもそもの

実体がないので姿などどうにでも変えれる。

回復したらどこかでのんびり過ごすことにでもする。

よほどの敵に会わぬ限り死ぬ心配もない。


......私も死なないの?


いや、まぁ、物理的にダンジョンを

丸ごと破壊されたら死ぬかもな?


......そなんだ?


まぁまず大丈夫だ。

山一つ吹っ飛ばす話だからな。

のんびり人を喰らうと良い。


私、人食べるの?!


食べるというか、ダンジョンじゃからな。

人を誘い込んで初めて魔力を得て成長する。


そうかぁ......。死なないなら確かに......。

のんびりとダンジョン作って

ゆっくりしてればいいのか......。

でも.....それって......

何が楽しいんだろ?


我がダンジョン運営のノウハウを

教えてやろうかメグミよ。


あ!教えて教えて!


人を誘い込むにはやはり宝箱じゃ。

宝箱の形をした魔物というものがおってな。

あれで人を騙して喰らうのは爽快じゃぞ。


え!人を食うの?!

そんなことしたらダンジョンに

人来なくなるじゃない!


来た人間は食うに決まってるだろう?

何を言っている?


えっと、

確認するね?

人が来たら経験値が貰えるのよね?

人を殺す必要はないのよね?


…そうじゃな。人が来れば良いな。


じゃぁ、同じ人が何回も来た方がいいわけよね?


同じ人間は同じダンジョンには何度も来ないぞ?


ちゃんとお宝置いてたら来るでしょ?


人間を稼がせるのか?

そんな発想はなかったな?


ルーちゃん人間もしてたのよね?

商売してる人みたことない?


......ふむ。天才魔法少女として

生きてたからな。商売にはちと疎いな。


なるほど!よくわかったわ!


なんじゃ?


そんなだから勇者に負けるのよ!


お前な......さすがに怒るぞ?


私の前世の会社の上司にそっくり!

人を使い捨ての駒みたいに扱って!

もっと限りあるものは大事にしなきゃだめ!


ほぼ知能のない魔物を取り扱って来たのじゃ。

難しいことはわからん。


ほらね。

困ったらわからん知らんで終わらそうとする。


......。


よし、いいこと思いついたわ。

ルーちゃんちょっと協力してよね?


魔力が回復すればな?

まだあまり大した魔法は使えんぞ?


ところでルーちゃん、

さっきの話疑問なんだけど

人間として1度死んで

魔物として復活したのはわかったんだけど、

姿を何にでも変えれるのなら

人間のフリして生きても良かったわけよね?

なんで魔物として生きていくことにしたの?


......ああ。

死んだ理由が人間に裏切られたからじゃ。


うわー!それはえぐい!

じゃあ人間に復讐するために魔王になったのね!


.....まぁ簡単に言えばそんなとこじゃの。

今となっては我のくだらん復讐など

何も解決には至らんかったがの。


と言うと?


まぁ、人間どものゴタゴタに巻き込まれただけで

復讐するべき相手も勝手に死んどったからの。

それで人間を滅ぼしたところで

だからなんだという話だ。


わー......ルーちゃん......


......なんじゃ?


......メグミが傍にいてあげるよ!


......は?


......大丈夫!友達なろ!


お前が動けんのに傍にいるもクソもなかろうが。


......あ!ほんとだ!しまった!


何を言っとるんだダンジョンのくせに......


えーどうしよどうしよ!


......友達か

そういえば人間の時も

魔王となってからも

我を利用しようとするやつか

媚びへつらうだけのやつしか

我の周りにはおらんかったな......。


ごめんルーちゃん

私動けないからさ

ルーちゃんのほうが私の

傍にいてくれる?


......ぷっ!

ははは!

ほんとに勝手なやつじゃな!


......だってぇ......


......いいだろう。

メグミ、前世の自分の姿をイメージしてみろ。


自分の?パッとしないしがないOLよ?


ああ。お前のイメージを読み取る。


魔王の具現化の魔法。


一部のエルフ族だけが使えるとされる

この具現化の魔法は精霊などの

概念と対話ができるようになるという

伝説級の魔法。そう、魔王は今

ダンジョンという概念の魔物に

具現化の魔法をかけたのだ。


光に包まれ、魔王は人間の頃の姿に。

そしてメグミも転生前のOLの姿に。


「うわぁ!!すごい!ルーちゃん!」

「まだあまり魔力が戻っておらんのだ。

維持に余裕が無いから他のことは何もできんぞ」


人間の姿に具現化された二人は向かい合う。


「ルーちゃん!めちゃくちゃ可愛いじゃねえか!」


「メグミ。お前はなんか幸薄い顔してるな?」


「なんだと〜!ルーちゃん〜!!」


ルーちゃんを捕まえて抱きしめたメグミは

そのまま強く抱擁する。


「......お、おい、メグミ?」


「すごい、ちゃんと暖かい......

ルーちゃん......これで一緒に居れるね......」


「......むむ......し、仕方ないな。

我もしばらくのんびりしようかな......」


「ルーちゃん......デレた♪可愛い〜♡」


「こ、こら!メグミ!変なところを触るな!」


「うひひ〜良いではないか♪」


「や、やめろ〜〜......!」





逃げ出した少女の姿をした

魔王を追いかけるOL風の女という

世にも奇妙な風景がそこには映し出されていた。




転生したらダンジョンだったメグミと

ずっと友達の居なかった魔王との出逢いは


まさに偶然の奇跡で


きっとこれこそが




運命の出会いと呼ばれるものなのだろう......。






読んでいただきありがとうございます!


もし少しでも面白いな、

続きが気になるなと

思っていただけましたら

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