譲渡
「では続いて具体的な行動計画です」
会議は続く......。
「聖女からお話を聞いたのですが、
スキルの譲渡というものが存在するとのこと」
マリベルが答える。
「はい。私の持つスキル【聖域】は先代勇者の
エルデシュタイン婦人から譲渡されたものです」
ナミがつづく。
「同じくエルデシュタイン家で従事する
勇者シンシアも【心眼】のスキルを先代勇者
エルデシュタイン侯爵から受け継いでいます」
先代勇者の夫婦。
今は娘のヴィオラが継いでいるという勇者一族。
旦那さんの方から心眼をシンシアへ。
奥様の方から聖域をマリベルへ。
スキルの譲渡というものが行われている。
「スキルというものが精霊の一部であり
夢朧が刀と融合したことと
勇者夫妻がスキルという精霊を渡したこと。
恐らくほぼ同じ理屈だと思われます」
「なるほどなるほど。」
「では私も【剣聖】という精霊スキルが
私に宿っているということになるのか......」
「スカーレットさん、
その認識で合ってると思います」
「あと、スキルを持たないナミちゃんは
力を得ていない為この勇者候補が短命
であることと無関係ではないか
という疑問もありましたが
エルデシュタイン夫妻がスキルを譲渡した後にも
残念ながら亡くなられたことにより
スキル保持は恐らく関係がなく、
召喚された時点で融合の不適合を持っていた
確率が非常に高いです。
延命出来ていたのはやはり婦人が
光魔法使いだったからだと推測できます」
「ナミだけ生き残るかもという淡い希望は
打ち砕かれました......しょんぼり......」
「エルデシュタイン夫妻は今思えばそれを
身をもって証明してくれたのかも知れませんね」
「なんと素晴らしい功績でしょう......」
「旦那様......奥様......」
「これも仮説ですがおそらく
同じ光魔法使いであったマリベルへの
聖域のスキル譲渡は適合していた。
そして、心眼の譲渡は何やらずっと特訓をした後譲渡に至ったと聞いています。
これは何かしら適合させるための特訓だった
可能性が高いのです」
「......たしかにシンシアは旦那様に
ずっと稽古をつけてもらっていました......」
「ただ、このままではまだ
心眼の精霊と吸血鬼は
融合には至っていない。
さきほどのスカーレットさんの発言を
真似するなら宿っているという状態。
現状は何百年存在している
夢朧が特殊なスキルなんだと思います。
なので何かしらの条件がまだあるか、
もしくは融合用に別の精霊を用意するという
どちらかになります」
「勇者候補の短命に関しては1度後回し。
テラの鑑定スキルで深いところまで掘り起こし
不適合な部分を見つけ治療という形をとります」
「そうですね。では先にシンシアの方から。」
「このスキルの譲渡というのは
勇者夫妻が世界中を旅していた時に、
とある国で教えてもらった技術らしいのです。」
「その国へ行こうと思っています」
「メグミ様自らですか!?」
「はい。ルーちゃんと共に。」
「ダンジョンはどうされるのですか?」
「ダンジョンの拡張などをしない限り
ダンジョン運営は問題ありません」
「ルーが半分ずつやるよ♪」
そう言うとルーちゃんは2人に分裂した。
「ルーちゃんそんなことできるのですか!」
「元々霊体だからね。ワンダーランドに残って
ダンジョンの受付する側と
メグミとスキル譲渡の国へ行く側と
2人に別れて行動する」
「ルー様の分裂は単純にルー様自体が
半分になっています。
連れていける精霊も選ばなくてはいけません」
テラが言うには、
例えばテラの分裂はテラ自身の体、
要は指1本ずつが伸びて
カフェやダンジョンなどあらゆるところへ
テラの体の一部として生えているような状態。
分裂しているように見えるが実はひとつの個体。
しかしルーちゃんのは身もステータスも半分。
ダンジョンに必要なテラ、アリア、ソル始め
ローレライやグラビティもダンジョン側の
ルーちゃんの傍に置いていく事になる。
別の国へメグミと旅に行けるのは
それ以外の精霊なのでどうしても
ルーちゃん自身の戦力としては半分以下になって
しまうというリスクがあるとのこと。
ルーちゃんが具現化している精霊は
ルーちゃんがそばにいないと基本具現化が
解けてしまうので体を半分ずつにして
対策をする形になる。
「というわけでメグミとルーちゃんの補佐を
勇者のお2人にお願いしたいです」
「わかりました。お供しましょう。」
「シュガーの転移魔法はすごいです。
マーキングさえしてしまえば
国をまたいででも転移可能。迎えに行って
向こうからこのワンダーリゾートへ
シンシアを転移させることもできます。」
「昼間に動けないシンシアさんは
転移で夜に来てもらうのが良さそうですね」
「すぐ呼ぶか?」
「いえ、情報としてスキル譲渡をされた時の
特訓がどんなものだったかだけわかれば
とりあえずはOKですね」
「わかった。なら吾輩が念波でなんとかしよう」
「ヒヒヒ......キキもついていく」
「キキが!?」
「ヒヒヒ......
このワンダーリゾートに来て、
もう私はこの融合のスキルを
使う必要はなくなりました......
だからそのスキルの譲渡というのが可能ならば
この融合はメグミ様に譲渡したいです......」
「融合の譲渡をメグミに......なるほど!」
「レアスキルを持てるのは
1人ひとつまでじゃ。
光魔法はレアじゃが得意な属性というだけで
スキルとはまた別もの。
聖女が光魔法に加えて聖域が使えるのと同じで
メグミなら融合の譲渡は可能かもじゃな。」
「わかりました。ではキキ。同行お願いします」
「ヒヒヒ......やった......」
「不適合の緩和が出来るメグミ様が融合を
所持するのがたしかに1番効率的であります」
「よし、話はまとまったかな?」
「スキル譲渡の技術を得るため
勇者2人と聖獣、
半分になったルーちゃんと、キキで向かう。
それが上手くいけば、
シンシアさんに精霊を融合させて
太陽を克服するという流れですね」
「私がダンジョンにいなくて1番困るのは
光魔法です。マリベル、ワンダーランドを
お願いできますか?」
「わかりました。ワンダーランドの光魔法は
私が代行致しましょう」
ダンジョン側のルーちゃんのグラビティと
シュガーをリンクさせておけば
念波やり取りはできるとのこと。
「よし、これで実行に移しましょう!」
「おー!」
スキル譲渡からの
精霊と吸血鬼の融合作戦。
その技術があるという国へ向かって
メグミ達は旅に出ることに!
果たして待ち受けるものとは......
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「なんでありますか?マントル。
あなたが私に接触しようとするなんて?」
「テラ。オマエ達、一体ナニヲシテイル?」
「人と魔物と精霊の共存という試みに
協力をしているのであります。」
「バカカ、ソンナコト、キイタコトガナイ」
「でしょうね?私も初めてですもの」
「マサカ、オ前ダケデナク、アリアマデ?」
「ええ。そうであります」
「ヤメロ。ロクナコトニナランゾ」
「問題が起きそうなら手は打ちます。
あなたに迷惑をかけるつもりはありません」
「自然界二不調和ガオキル」
「私もアリアも考え無しに
やっているわけではありません。
大人しく引っ込んでいてください。
炎の精霊マントル......」
「後悔スルコトニナルゾ!テラ!!」
「うるさいのであります」
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