逢える精霊
【朧流道場】
そう書かれた看板のある剣術道場。
逢える精霊ソルによる剣術道場である。
第5層のボスであるソルはダンジョン挑戦者が
第5層まで辿り着けないと基本的に出番がない。
辿り着ける挑戦者は一日に1組か2組程度。
ソルは出番まで待機しているのは暇なのである。
というわけで新たにダンジョン入口の
カフェ・テラコッタと併設されたのがこの道場。
打倒ソルを目指す冒険者から生粋のソル信者。
子供達門下生からお年寄りの運動にまで。
5層に挑戦者が辿り着くまではここで
ソル師範による剣術指南が行われていた。
当然またたく間に大人気の施設となっている。
そこへ
「おかえり♪残念だったね剣聖さん〜♪」
粘液まみれで第2層をリタイヤした
勇者剣聖スカーレットが入ってくる。
「あらあら〜剣聖はん〜お疲れ様どす〜
シャワーは裏どすえ〜
早く第5層まで来ておくれやす〜♡」
「......く!すまない!シャワーをお借りする......」
最強ダンジョンの洗礼を浴びまくっている
スカーレットは第2層に苦戦していた。
「ルーちゃん!......頼む!第2層にヴィオラ様を
登場させるのだけは勘弁してくれ......!」
「ダメ〜♪そういうエリアだからね〜?」
「く〜!でも幻覚だとわかっていても
ヴィオラしゃまに逢えるのは嬉しい♡グフフ」
スカーレットは主である
ヴィオラ・エルデシュタイン侯爵の幻覚を
魅せると一発でふぬけになる
生粋のヴィオラ様オタク。
ファントムラビリンスを攻略できるわけがない。
「剣聖はん〜
うちは早くあなたとやり合いたいんよ〜
同じ貫通タイプの剣士♡楽しそうやわ〜」
シャワー中のスカーレットの背後に忍び寄る影。
「わ!ソル殿?やめろ!くっつくな!
私にはヴィオラ様という
生涯を捧げた主がいるのだ!
......おわぁ?変なところを触るなぁ......!」
ソルの姉さんの洗礼も浴びているようだ。
意外と第3層まで辿り着いているのはナミの方。
しかし運動音痴鈍臭い代表であるナミが
第3層をクリアできるはずもなく。
「おかえり♪残念だったね〜」
「あーん!落ちちゃったぁぁ!」
リタイヤして帰ってきたナミは
悔しそうにカフェに戻ってきた。
「メグミさん第3層あれどうみても
マッチョが挑むテレビ番組のやつじゃん〜♪」
「ふふふ♪そうなの♪内緒よナミちゃん」
ナミとメグミはお互いが日本から転生してきた
記憶持ちであることを共有。
一気に二人の仲は縮まっていた。
そしてナミがこれまでこの異世界で
してきた功績も把握。
さらにナミの今後の目的までも
メグミはしっかりと理解することとなっていた。
短命の勇者候補
いずれ魔物化するリスク
そして吸血鬼となってしまったシンシアの救済。
しかし、さすがにすぐに対応するすべはなく
ゆっくり研究や対策をすることとなり
ナミ達はしばらく
ワンダーリゾートへ滞在していた。
ナミはカフェの庭にいる犬とたわむれだした。
「ケルベロスじゃん〜めちゃかわ〜♪」
「ダンジョンで新しく活躍してもらう
予定の新キャラなのよ〜♪」
「わんわん!」
「クゥンクゥン♪」
「バウバウ♪」
「そなんだ?いいね!」
「第5層ワンダフルナイトパレードで
一緒に踊ってもらったりしようかなって♪」
「第5層!早く行ってみたい〜♪」
「クスクス♪チャレンジ頑張ってね〜」
「ヒヒヒ......」
メグミはキメラの居場所をすぐに作った。
世間では異物扱いされてきたこのキメラ達も
ワンダーランドの演出にしてしまえば
なんの問題もなく受け入れられてしまった。
さらに
「多分ね、その融合スキルで合成してみたものの体が馴染んでないのよ〜皮膚も内臓とかも
そうなんだけど適合出来ていないと思うの」
「ヒヒヒ......すいません下手で......」
「まぁ仕方ないわね私の前世ではね
例えばこういう臓器移植とかをする時に
適合させないといけないってのは常識でして
多分その部分で不適合から後遺症みたいになって
挙動に難があるのよね」
「ヒヒヒ......」
「というわけで光魔法を少しいじってみる」
このキメラ用にアレンジした
ニュースライムカプセルを開発。
完全とは行かないが
上手く状態異常緩和のカテゴリーとして
対応することができて、
キメラ達は大人しく言うことを聞きやすくなり
とてもお利口なペットへ進化した。
「これからは怪我した動物を助けたい時は
融合ではなく光魔法を頼ってくださいね♪」
そう言ってポーションを渡すメグミ。
「ヒヒヒ......何から何まで......
本当にありがとうございます......」
キキはワンダーリゾートの新しい住民として
迎え入れられキメラ達も活躍の場が設けられた。
キキ自体はクラリスのお手伝いとして
ヴェルハイム家へ。
夜にはキメラ達はヴェルハイムのお屋敷の
大きな庭でキキと共に過ごしている。
「ヒヒヒ......ありがとう会長」
「もう会長ではなくて、領主でしてよ!
わが親友キキ。あなたが誰よりも心優しい
素晴らしいお方だということは
よくわかっています。
ですからこれからは私のそばを離れないこと!
まったく、はっきり言わないと遠慮ばかりして
ちっとも、頼ってくれないんですもの......
寂しいですわ......!」
「ヒヒヒ......領主様いつもごめんね......」
「......!あぁもう!」
キキを抱きしめたクラリス。
2人の目には涙が溢れていたが
この涙はこの日
夜な夜な乾くことはなかった。
毎夜宴に忙しいワンダーリゾート。
明日はバーガーショップ黒猫亭と
お土産グッズ精霊様オフィシャルショップの
オープン日となる。
「明日のオープンの前夜祭だよ〜☆」
わー!!
わーわー♪
アリアさま〜♪
アーちゃぁぁん!
歌って踊り空を舞う
逢える精霊アリアによる
街の広場でのコンサートが始まる。
「黒猫♪黒猫♪黒猫バーガー♪
みんな大好きバーガーLove♪」
完全にアイドル化した
大気の精霊アリアは
ダンジョンでは
ソルを倒さないといけない
第6層のボス。
さらに出番はないのだ。
よって
毎日広場で歌い踊りみんなを楽しませる
逢える精霊として君臨していた。
当然アリア信者は急上昇。
ソル&アリアの
逢える精霊様作戦は見事に大反響。
明日オープンのオフィシャルショップは
行列必死となるのは間違いない。
コンサートを眺めるメグミとルーちゃん。
相変わらず手を繋ぎイチャイチャしているが
「メグミ〜?どうしたの?」
何か考え込んでいるメグミ。
「ん〜ちょっとね〜ルーちゃん
明日にでも少し相談に乗ってくれる?」
「うんうんもちろん♪」
今回のナミからのメグミへの話。
吸血鬼になってしまった人間。
短命である勇者候補。
魔物化とは?
人間と他種族の混血が魔女。
吸血鬼は日を浴びれないが
吸血鬼と人間の魔女である
教祖アビゲイルは日を浴びても大丈夫。
魂と肉体を斬る夢朧。
魂と、肉体とは。
生物は入れられないアイテムボックス。
生物と無機物とは。
融合という名の動物の合体。
体の不適合による拒否反応。
人間と精霊と魔物の共存。
この夜は
メグミの中で
たくさんの
何かが
線で繋がろうと
している
そんな
気がしていた......。
読んでいただきありがとうございます!
もし少しでも面白いな、
続きが気になるなと
思っていただけましたら
下の評価
☆☆☆☆☆
ブックマーク感想など
よろしくお願いします!




