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合成獣



魔法学園には多種多様、色々な人が通っている。


もちろん魔法使いがメインではあるが

魔道具を制作するドワーフから

稀にいるレアスキル保持者も

特待生として学園に通っていた。


これはそんなレアスキルを持つ

とある少女のお話。




「な、なんだあれは!?」

「きゃぁぁあ!魔物よ!!」

「魔獣ケルベロスだ!!」


頭が3つある犬の魔獣ケルベロスの登場に

学園内は大パニック!


「わんわん!」

「クゥンクゥン......」

「バウバウ♪」


逃げ惑う学生たち。

中には応戦しようとする学生も現れる。


「く!魔物め!退治してやる!」

腕に覚えのある魔法使いの学生は

詠唱を始め炎の玉を発生させる。


「......待ちなさい!」


ほうきに乗って飛んできたのは

この魔法学園の生徒会長。


「会長!危険です!!魔物が!!」


「魔物ではありません!おさめなさい!!」


「......な?」


生徒会長が必死で攻撃を止めているのは

この魔獣を守ろうとケルベロスに

覆いかぶさっている少女がいたからだ。


「あれは!」


「キメラ使いのキキだ!」

「あいつの合成獣キメラかよ!?」

「ち......なんて迷惑な......」


ケルベロスを守っていた少女の名前はキキ。

キメラ使いと呼ばれるその少女は【融合】という

動物同士を合体させる特殊スキルを持っていた。


「ヒヒヒ......。大丈夫だよ怖かったね」

「クゥンクゥン......」


「キキ!何をしていますの!

キメラを連れてきちゃダメですわ!?」


「ヒヒヒ......会長......勝手についてきちゃった...」


「まったくもう......!」


このケルベロスの正体は怪我をして動けなくなってしまっていた犬を3匹合成させたキメラ。


このキキの融合スキルにより存在する

合成獣なのである。


「わんわん!!」

「バウバウ!!」


ケルベロスは残念ながら情緒不安定。

せめて大人しくしてくれていたら

こっそりもできるのだが、どうもキメラは

合体の後遺症のせいか、挙動に難がある。


「ヒヒヒ......会長ごめんね......」


キキは引っ込み思案な性格と暗い容姿

キメラを使うことと重なり

それはもう学園内では気持ち悪がられて

忌み嫌われていた。

そんな中キキの唯一の理解者だったのが

生徒会長クラリス・ヴェルハイム伯爵令嬢だった。


「ケルベロスを連れていきますわよキキ......」

「ヒヒヒ......会長いつもごめんね......」


田舎貴族の娘であるキキは

この特殊スキルを活用できないかと

魔法学園に入学したものの

キメラの見た目の気持ち悪さと

後遺症による異常行動が目立ってしまい

学園においても活躍は出来ていなかった。


「ぎゃああああ!!」

「猫の顔をした鳥が学園内に!!」


「ヒヒヒ......もう1匹ついてきちゃった......」

「......ああ、もう......!」





キキの家は魔法都市内で借りている広めの民家。

何種類ものキメラがここで過ごしている。


「ほら勝手に出てきちゃダメですわよ〜」

「ヒヒヒ......」


「わんわん!!」

「コケニャーニャー!」


しかし

キキの努力も虚しく

魔法学園において

彼女とキメラが活躍することはなく

卒業を迎えてしまった。



「首席卒業!クラリス・ヴェルハイム!」

わーわー♪

会長卒業おめでとう!!

わーわー♪


首席入学から生徒会長、そして首席卒業と

輝かしい功績を残したクラリス。

一方、何一つ活躍が出来なかったキキ。


でも2人は親友であった。


「キキ。困ったら私を尋ねて来るのですよ」

クラリスが卒業式でキキに伝えた言葉。


自分の国へ帰ったクラリス。


しかし


迷惑を掛けたくないキキは

当然甘えることなど出来ず

卒業後も

世界中を旅しながらキメラ達と共に

日々を過ごしていた。

周りからは気持ち悪がられ

忌み嫌われながら......。


融合スキル以外にも多少の魔法は使えたので

生活に困ることはなかったが、

キメラを受け入れてくれる国や地域はなく、

居場所を作れないキキは

旅をすることにも疲れきってしまっていた。



そんな中とある街の話を聞く。

そのチラシにはこう書かれていた。


【新しい街で過ごしてみませんか!?】


「ヒヒヒ......新しい街......」








ーーー人と精霊と魔物が共存する街ーーー








「ヒヒヒ......。そんなの......ある?」

「バウバウ♪」

「コケニャーニャー!」

「そんなわけないよね......動物ですら

みんな嫌がるのに......ヒヒヒ......。」

「わんわん!!」




しかしその街の領主の名前を見てしまった。


【領主クラリス・ヴェルハイム男爵】


「......うそ......?会長......!?」


キキは涙をこらえ歩き出した。


そんな奇跡が


もしあるのならば


もう一度だけ


この世界に


期待してみよう......











「メグミ様。少し変わった者が街へ

入ってきています。対応をご検討ください。」

「どうしたのテラ?どんな人?」

「人と言いますか......妙な生物を連れています」

「なにそれ?」

「異形の動物?」

「ややこしそうね?行こう!」


メグミはテラを連れて街の入口へ。


街の入口ではすでにパニックが起きていた。


「ケルベロスだぁぁぁ!!」

「魔獣がたくさん入ってきてるぞ!!」


魔物や魔獣がこの街へ入れるわけがない。

ルーちゃんが結界を張っているからだ。


害のない動物である証拠。

ただ少し異形なだけ。


その魔獣を連れている女を見てテラが言う。

「あの人間のペットであります。」

「あれペットなんだ?」

「はい。ただの、ペットであります。」


「みなさん落ち着いてください〜」

「危険はありません!危険はありません!」


「メグミ様!!」

「見てください!魔物が!!......え?」


「ヒヒヒ......すいません......

ご迷惑をかけてしまって」


おどおどしながら

今にも泣き出しそうで

諦めて引き返そうとしだしている

その女に向かって


メグミはルーちゃんにも負けない

笑顔でこう言い放った。







「ようこそ!ワンダーリゾートへ♪」





「ヒヒヒ......すいません帰りますね............え?」


「可愛いペットですね♪撫でてもいいかしら?」


「......え?」


「どうぞどうぞ中へ♪

ワンダーランドでお話をお伺いしましょう♪」


今まで見たことのないはじめての対応に

キキは驚き涙が流れるのを抑えきれなかった。


「ヒヒヒ......私達行くところなくて......

ヒヒヒ......すいません......」


「まぁ♪奇遇ですね!うちは今住民を募集して

いるのです♪ぜひうちで過ごしてくださいな♪」



涙が止まらないキキ。

「ヒヒヒ......」

「わんわん!」

「キュンキュン!」




「何事ですの!?」


騒ぎを聞きつけ

ほうきに乗って飛んできたのは

ワンダーリゾートの領主様。


「ヒヒヒ......」

「コケニャーニャー!」

「バウバウ♪」


「......!」


「ヒヒヒ......会長......ついて来ちゃった」



そのたしかに見覚えのある

女とキメラ達を見たクラリスは

輝く笑顔で

メグミにこう伝えた。



「メグミ様......彼女とこの動物たちは......」










「......私のかけがえのない親友でしてよ......」










読んでいただきありがとうございます!


もし少しでも面白いな、

続きが気になるなと

思っていただけましたら

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