勇者の秘密
魔王との戦いに勝ったものの
魔王の正体はナミやスカーレットと同じ
元勇者候補であった。
勇者候補は長く生きることができず
死ねば勇者候補は魔物となり、
成れの果ては魔王となる......。
そしてその魔王を倒すためにまた
勇者候補は召喚される......。
この勇者候補と魔王の最悪の輪廻という
真実を知ってしまったナミたち。
魔王討伐軍の隊長でもあり、
未来視が出来る【心眼】のシンシア。
魔王を実際倒した【剣聖】スカーレット。
この2人の補佐について来ている
【竜人】ドラゴと、【天使】ルミナス。
そして
スキル無しのナミとその使い魔シュガー。
ナミはこの最悪の真実を知ってしまい、
恐怖と絶望により、その場で精神を
蝕まれてしまい人間の姿をたもてなくなり、
悪魔の姿をした魔王となる。
シンシアはスカーレット達を全員逃がし、
一人ナミに立ち塞がった。
シンシアは元S級冒険者であり、
ナミがこの世界に来た時から
ずっとナミとシンシアは家族として
仲間として共に過ごしてきていた。
シンシアは仲間である
ナミに一切の反撃をせず、
そのまま自我を失ったナミの手により
無抵抗のまま命を落としてしまう。
シュガーの転移魔法により駆けつけたのは
シンシアやナミ達の主であり、
先代勇者の一人娘である
ヴィオラ・エルデシュタイン侯爵と
不死の魔女アビゲイル・デスペラード。
ヴィオラの愛によりナミは正気を取り戻し
人間の姿に戻ることはできた。
しかし
「無理じゃ。もう心肺も停止。
呼吸もできておらん。」
シンシアが意識を取り戻すことはなかった。
「アビゲイル!!」
「ヴィオラよ......無茶を言うな......」
「あなたが!不死の魔女と呼ばれている理由を
ワタクシは存じております!」
「お前......いいんじゃな?」
「もう、それしか手はございませんわ......」
「妾を恨むなよ?
そして、ナミを、責めてやるなよ?」
「アビゲイル......お願いいたします......」
吸血鬼と人間の混血の魔女である
アビゲイルは己の血をシンシアに与えた。
吸血鬼の、アビゲイルの、眷属として
シンシアは吸血鬼となり復活。
陽の光に当たると消滅してしまう吸血鬼の眷属は
昼は屋敷内で隠れて寝て過ごし
夜になると活動することになる。
仕方がなかった。
こうするしかなかった。
誰もナミを責めるものはいない。
シンシアも吸血鬼にはなってしまったが
責務を全うできたことを誇りに思っている。
しかし
ナミとしては
自分自身を許せるはずがなかった。
勇者などと呼ばれていても
ナミはずっと自責の念にかられて
生きてきていた。
自分自身がこのままでは
早くに死んでしまうこと。
そんなことよりもナミの目的は
シンシアを人間として復活させること。
その1点になっていた。
もう勇者候補として転生してきた
自分自身のことは覚悟はできている。
しかし、シンシアだけはーーー。
シンシアだけは救いたい。
ナミの願いは叶うことはなく、
シンシアはあれからずっと
闇の中でしか生きていけない体で過ごしている。
アビゲイルにももちろん
1度吸血鬼になってしまった人間は戻せない。
そんなことができるなら最初から
眷属になどしていない。
みんなはナミのせいではないと言い、
吸血鬼のシンシアを受け入れているが
ナミだけは。ナミだけは諦めていなかった。
この噂の聖地の力でもしかしたら
奇跡が起こるかもしれない。
これが聖地へやってきた
ナミの本当の目的ーーー
ワンダーリゾートの教会。
「じゃあ!マリベルも正体を知っていたのね!」
「はい〜だって
言えば混乱するのは目に見えていましたから〜」
ルーちゃんが元魔王なことは
マリベルにはルーちゃんが直接
カミングアウトしていた。
前教祖ミカエルを失脚させたマリベルは
ルーちゃんにとっても救いの聖女だったからだ。
感謝の意とともにルーちゃんはマリベルに
自分のことを打ち明け"懺悔"していた。
「そりゃそうなるか......仕方ないね」
ナミたちを受け入れたワンダーリゾート。
マリベルとルチア、この勇者達にのみ、
ルーちゃんの正体は知れてしまったが
他のこの国の王族、騎士団、冒険者、
クラリス達には絶対秘密の話。
勇者達には納得はして貰えたので
なんとかこの場はおさめることができた。
「いやらしい事を言いますが、
こちらとしても勇者候補の延命や
魔物化の回避の方法などを探しています。
メグミさんやルーちゃん筆頭に
この聖地で何かしらの情報が得られるならば
私達もワンダーリゾートへ
協力することを約束しましょう」
「ええ。ナミさん。もちろん。
私たちがどこまでお力になれるかは
わかりませんが、それで結構ですよ」
ナミとメグミは握手を交わす。
なんとか丸くおさまりそうでよかった。
一通りワンダーリゾートの案内を
勇者2人にしてまわったあとは
恒例の飲み会へ。
「待ってました〜!
やっと!呑めるのですね〜!」
魔剣の精霊がもう我慢できんと
酒を浴びるように呑み出した。
街の人たちは
「勇者様が来たから今夜は宴ですね!!」
「ありったけの酒を運べ〜!」
「勇者様来なくても毎日宴してるじゃねえか〜」
「そりゃそうだ〜わははは!」
「な、なんだなんだ?毎日宴だと?」
困惑するスカーレットの目の前に
修道服を脱いで【お酒は聖水♡】と
プリントされたTシャツを着こなした
聖女と巫女の2人が現れる!
「呑むぞ〜♪」
「おまえらいくぞ〜♪」
「ええええ!!!!」
スカーレットもさすがにこんな聖女は
見たことがなかったようで
「あははは!マリベル!まじおもろい!」
ナミの方は爆笑している。
テラのカフェスイーツ攻撃により
聖獣はすでに無我夢中で
パンケーキにむしゃぶりついている。
「にゃー!!ふにゃー!!」
当然のごとくいつもの宴が始まった
ワンダーリゾート。
酔いつぶれた剣聖を踏みつけながら
ソルとアリアがナミと呑んでいる。
「ちゃんなみ〜イケる口だね〜☆」
「ナミはん、素敵どすえ〜♡」
「この口だけの剣聖と一緒にしないで〜♪」
わははは!
メグミとルーちゃんはそれを見ながら
爆笑している。
メグミとルーちゃんのお尻の下にいるのは
とっくに酔いつぶれた聖女と巫女のふたり。
「ルチア生きてる〜?」
「うへへ〜♪
メッセ財閥の娘が酒でやられるなんて
あるわけないよ〜♪」
ふらふらになっているルチアがナミの元へ。
「ねえ、聞いてナミちゃん〜
この2人の精霊様は"会える精霊"様だよ〜」
ルチアがソルとアリアの話をナミに......。
すると
「なにそれ!地下アイドルじゃん〜♪あはは!」
......え?
その言葉にメグミが反応する。
持ってたお酒を聖女の頭にこぼしてしまう。
......!!
「メグミ〜♪どうしたの〜?」
「......ルーちゃん!」
「ふにゃ?」
「......みつけたよ......やっぱり居た......」
「なにが?」
間違いない......!
ナミこそ......
日本から来た記憶持ちの転生者......!!
読んでいただきありがとうございます!
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