ストレージ
「つまりあーしがポーション配達してるんだけど自分のアイテムボックスに入れて運んでるわけ☆
容量はポーションなら約1000個とかだね☆
普通の人間なら200個とかかな〜?☆」
精霊様ですらアイテムボックスに入れれる容量はせいぜいそのくらい。
無限というのは本当に規格外の話なわけで......。
「ただし、誓約がありますね。
自分の所有物、もしくは
所有者が存在しないものに限る
これを満たせば無限であります」
駆けつけた領主クラリスと
ローランド一行とで
この田舎娘について
緊急会議がおこなわれていた。
「コレットちゃん、多分それで
自分のアイテムボックスをゴミ捨て場にして
ひたすらモノほりこんでたわけだね......」
「は......はい〜」
「アイテムボックスには基本的に
生物は入れれません。
人、動物はもちろん、魔物、精霊もだめ。
ただ食材のような肉や魚、
刈り取った植物、野菜果物は可能。
アイテムボックス内では
時間という概念が存在しませんので
腐敗がすすみません。
食材の長期保存としても有意義に使えます」
アイテムボックスは使い方によっては
本当に犯罪に便利すぎる代物で
生きてるのは無理だが死んでるものは入れれる。
つまり、悪いことを企めば......
死体遺棄なんかも出来てしまう。
昔とある犯罪組織がアイテムボックスで
悪いことを隠蔽していたが騎士団に突入され
マッカーサーのスキルにより全部中身を暴かれた
事件なんてのもあったそう......。
ある意味嫌われる魔法で
使い勝手の難しい魔法。
しかし、コレットの場合は誓約付きの
レアスキルなので悪用ができないのに
容量は無限で......本当に使い方を誤ると
犯罪組織に有効活用されるのは間違いない。
テラはあらゆる可能性を考慮し、
このスキルのことを公にするべきではないと
判断して提案したようだ。
「......。」
「ヴェルハイム家の従者として雇いますわ!」
「いや待ってくれ!ギルドのスタッフにぜひ!」
「カフェ・テラコッタはスタッフ募集中であります」
「はわわ〜!あたしいきなり
めちゃくちゃラブコールされてるっぺ〜!!」
「まぁまぁ、みんな落ち着いて。
とりあえずぜひこの街の住民として
お迎えしましょう。
ここで住んで色々みてもらって、
自分のやりたいことは自分で選んでもらう。
それでどうかな?」
「そうですわね!メグミ様わかりましたわ!」
「そうだね、色々経験してもらおう。」
「さすがメグミ♪まとめるね〜♪」
「じゃあ☆あーしからプレゼント☆」
アリアがふっと息を吹きかけると
可愛い小鳥が現れる。
小鳥はコレットの肩にとまりピヨピヨ言い出す。
「可愛い小鳥ちゃんだべ!......これは......?」
「あーしの分身だよ☆何かあったらその子が
助けてくれるから安心して暮らすといいよ☆」
「おお......!!すごい!!」
「......ほえー可愛いな?......すごいんですか?」
「いやいや!コレットちゃん!」
「大気の精霊様のご加護を授かったんだよ!」
「ほへ?」
「あなたは常に大気の精霊様が
どこへ行っても護ってくれるってこと!!」
「......はわわ〜!!なんて有難い話けろ!!」
「まぁとりあえずはワンダーリゾートに
居てくれるならってことで☆」
「......わかりました!
ぜひこの街でみなさんのお力になれるように
頑張るっぺ〜!!」
「歓迎しますわコレットさん!」
「......アリア。ポーション配達を手伝わせようと
しているのがバレバレであります。」
「ふえ〜?なんのことかわかんな〜い☆」
「とりあえず多分ストレージの中が
ゴミ山になってると思うので整理するために
全部吐き出してください。
うちに、ゴミ処理担当のスライムが居ますので
全部処分してくれます。」
「わかりましたけろ〜!」
広場でゴミ処理に奮闘するコレット。
「コレットの住居どうしましょうか〜?」
「領主邸に、ひとまず住む?」
「教会も寝泊まりは一応できますが」
「仮住まい作ってあげてもいいのだけど1人
作るとみんな作らないといけなくなるからなぁ」
「ローランド達は近隣の街の宿に戻る?」
「そうですね、
別にそこへ連れて帰ってもいいですが......」
「ふーむ......」
「もしかしてだけど......ひとつ提案が......」
「ほへ?」
ここは王都にあるヴェルハイム家のお屋敷。
戦争以降この家を使っているのは
一人娘のクラリスとメイドのリゼ。
執事のモルガン。護衛のバッシュ。
たったの4人。
かつては、何十人もの従者が住み込みで
働いていたが今となっては
大きすぎるお屋敷で正直
持て余してしまっている。
亡き父と母との思い出の詰まったこのお屋敷。
ヴェルハイム家の名誉と誇りの結晶。
しかし、今回新しい領地を統治することとなり、
クラリスたちは断腸の思いで
このお屋敷を売りに出し、
新しくワンダーリゾートでお屋敷を建てる
という、つもりだったのだが......。
お屋敷を眺めるクラリスたちヴェルハイム家。
それと一緒にいるのは田舎娘コレット。
「では、試してみましょう......」
「このスキルが本当ならば......」
「やってみますっぺ!」
「では、コレット。今からこの
ヴェルハイム家のお屋敷を一時的に丸ごと、
あなたに、譲渡いたしますわ!」
「わ、わかりました〜」
ごくり......。
コレットが、お屋敷の壁に手を当てる。
すると次の瞬間ーーー
コレットの手の中にそのお屋敷は丸ごと
吸い込まれて消えてしまった。
「うわぁぁ!!お屋敷が消えた!」
「......!!」
「できましたっぺ!」
「す、すごい......本当に......屋敷丸ごと
アイテムボックスに入れてしまった......」
「さぁ!ワンダーリゾートに戻りますわよ!」
聖地ワンダーリゾートにお屋敷ごと
引っ越すことに成功したヴェルハイム家。
大事な思い出の詰まったお屋敷を
手放す覚悟を決めていたクラリスは
ワンダーリゾートに無事に送り届けられた
大きなヴェルハイム家のお屋敷を見て
涙がとまらなかった。
「コレットさん......あなたのおかげです
感謝いたしますわ......」
「......領主様!お役に立てて嬉しいです!
あたしどこ行っても何も役に立てなくて......」
「とても素敵でしてよコレットさん。
わたくしたちは命の次に大事なものを
失わずに済みましたの......」
「嬉しいです!うう......うう......!」
コレットは思わず泣き出してしまう。
田舎から1人出稼ぎに来た村娘コレットは
ついに自分の力が認められ
新しいこの街で活躍し
大事な仲間となる。
......うわああああ!
その夜
いつまでも
その田舎娘の泣き声が
やむことはなかったそう......。
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