出稼ぎの田舎娘
ダンジョンから1番近い街では毎日のように
新しい宿や施設が増築されており、街は
すごい勢いで活性化されていた。
噂を聞きつけた海外からの挑戦者も続々と
集まり街の発展はとどまることを知らない。
あらゆる業者や商売人ドワーフ達職人など、
どんどん人が集まっている。
そこへ
何か仕事にありつけないかと
噂を聞きつけてここまで来た少女がいた。
この国の西の最果てにある小さな領地、
さらに、そのハズレにある小さな村。
そんなド田舎から1人出稼ぎに来ている。
村の人間は老人ばかりで働けるものも少なく
なんとか大きな街でひと稼ぎして
村の人達の助けになろうとしていた。
冒険者ギルドで
廃品回収やゴミ収集の仕事を探す少女。
「そうね、ちょうど解体される宿屋があるわね。
でも、あなた。こんな小さい体で
解体業なんかするの?」
「あ、あたし回収屋なんです......」
「回収屋?」
「はい......アイテムボックスが使えるので......」
「ああ、そういうことね。
じゃあ先に窃盗防止の為のサインをお願いね」
「わかりました。」
その田舎の村娘はコレットという名前で
書類にサインをする。
アイテムボックスとは
魔法で作り出した別空間に
モノを収納する便利魔法。
商売人などでも使える人はいるのだが、
この魔法を使う人間は実は犯罪者が多い。
単純に窃盗してボックスに入れて逃げる。
警戒されてしまうのだ。
コレットには他に使える魔法も能力もなく、
このアイテムボックスでできる商売を探して
色んな街を転々としていた。
しかし、物が無くなればすぐに容疑者扱い。
これまでの街でも何度も泥棒扱いされて
酷い目にあってきた。
結果として今のコレットの仕事は
なるべく大きな街での廃品回収とゴミ拾い。
なんとか自分1人が質素な食事ができる程度の
稼ぎにしかならず、田舎のみんなを
助けれるような稼ぎを作ることは
まったく出来ていないのが現状だった。
まだ15歳の女の子がひとり
出稼ぎ労働をしながら田舎へ仕送り。
体は小さいが体力だけはあった。
「ここのパンうんめぇな......」
何とか稼いだ日銭で固いパンにありついていた。
「宿に泊まれる余裕もねえけろ......
解体された廃宿屋で雨風をしのぐしかねぇ......」
翌日。
急に人々が集まりすぎると
どんどん治安が悪くなる。
街で何か窃盗があったらしく
コレットは疑いをかけられた。
「ちょうどアイテムボックス使いが来たんだ!
犯人はこいつに決まってる!!」
「ち、違います......あたしは昨日から
ずっとこの廃宿屋にいたけろ!
......何もしてねぇ!
それにあたしのアイテムボックスは
人様のものは入れれないっぺ!」
「なんだその言い訳は!余計怪しいな!」
「ちゃんとギルドでサインもしてるっぺ!
確認してけろ!」
「この田舎っぺが!衛兵に突き出してやる!」
「.....そんな!堪忍してけろ!!」
無理矢理とらえられたコレットは
荒くれ者達に連れていかれる。
「おっかぁ!ばあちゃん!うわぁあ!!」
泣き叫ぶコレット。
治安の悪い街に来てしまったら
こんな田舎娘を守るものは何もない。
「......おい、この田舎娘......
よく見たらいい体してんじゃねえか?」
「奴隷にして売っちまうか?」
「ぐへへ......とんだ、掘り出しもんだぜ」
「売る前に具合を確かめてやるか」
「ぐへへ......!」
「何するだ!やめてけろ!!うわぁあ......!!」
服を脱がされるコレット。絶体絶命!!
「何をしているの!やめなさい!!」
現れたのは3人の冒険者。
「やべぇ!あいつら!」
「A級冒険者だ!」
「この街の治安を悪くするんじゃねえ!」
剣から斬撃が飛び、荒くれ者は一瞬でやられる。
「ぎゃああああ!」
ドサドサッ......
何かの魔法でコレットは空へ浮かび
その冒険者の1人の女魔法使いに救助された。
「大丈夫!?何もされていない!?」
「うわぁあ......!!」
泣き叫ぶコレット。
「人さらいか?」
「まったくほんとに......
この街も治安が悪くなったもんだ」
「ローランド、この子うちの宿に連れていくわ」
「ああ。エミリアたのむよ」
「こいつらは俺にまかせろ」
バーディーが倒れた荒くれ者を連れて
街の衛兵へ突き出す。
宿でやっと落ち着いたコレット。
「......ほんとにありがとうございます。
危ないとこ、助けて貰って......あたし
何のお礼もできませんのに......」
「大丈夫よ。私はエミリア。
この街で冒険者をしています。あなたは?」
「あたし、コレットといいます。この国の
西のハズレの村から出稼ぎに来てます」
「まぁ、ひとりで!?」
「はい。村はじいちゃん、ばあちゃんばっかりで
若いのはあたしくらいしかいなぐて......」
「大変......よく見たら怪我してるんじゃない?」
「大丈夫です......ちょっと擦りむいただけです
ツバつけとけば治るっぺよ......」
エミリアはこの健気な少女に心打たれてしまい
食事をふるまってもてなした。
「へぇ!アイテムボックスが使えるの?」
「......はい。でもそのおかげでいつも
何かあるとあたし盗っ人扱いされるっぺ」
「そうか......でも他に使える魔法もないと......」
「はい......これしか能力ないから......
でも未熟なせいかあたしのアイテムボックスは
人様の物は入れれないんです......
だから盗っ人なんて出来ないんですよ......」
「アイテムボックスにそんな誓約ないわ?
何か勘違いなのではなくて?」
「......そうなんですか?でも自分の所有物か
捨てられている物しか入らなくて......
だからあたし廃品回収ゴミ拾いしてたっぺ」
「うーん......いちどそのアイテムボックス
公表するの控えたほうがいいかもね」
「でもあたし他になにも......」
「......。」
「ねえ、よかったら」
「え?」
「新しい街が出来るのよ。
私達もそこへ移住を考えていて......
一緒に行ってみない?」
「新しい街ですか......!?」
「ええ。新しい街なら宿屋も料理屋も
これからどんどんできる。魔法に頼らなくても
お仕事にありつけるかもしれない」
「あたしでもいけるんでしょうか......!」
「アテもなく街を転々とするよりは
よほど確率は高いと思うわよ?」
「コレットちゃん。うちのエミリアは
生粋のお人好しだ。心配するな。
俺たちと一緒に新しく出来る街へ行こう!」
「......うう!ほんとに何から何まで
エミリアさん、みなさん、
ありがとうございます!」
「この街からもたくさんの人がそこへ
移住と商売に向かうはずだ。」
「国中で、いや、世界中から
今1番注目を浴びている」
「......ええ......そんな街が......?」
「ああ。」
「もうすでに街づくりは始まっている」
「一体どんな街なのですか?」
「精霊様が宿るダンジョンのある街さ」
「精霊様......!!」
「その街の名は」
「聖地ワンダーリゾート」
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