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魔女




ーーー少し昔のお話ーーー




私の名はルイーダ・ヴィンセント。

どうやらこの異世界に勇者候補として

召喚されたらしい。


召喚者は強いスキルを得るかわりに

転生前の記憶は消えるとの事。


私を呼び出した教会の者は

私をもてはやすが

どうも好きにはなれない。


魔王を倒すーーー

その目的の為に

私を使い捨てのコマか何かにしか見ていないのが

まるわかりだからだ。


まず私はこの異世界のことを覚えながら

魔王を倒せる力を得るために

修行の日々をおくることになる。


私が転生により得たスキルは【精霊使い】。

精霊を、呼び出したり力を借りたり。

普通の人間には到底できないことのようだ。


雷の精霊エレクトリカル。


夢魔の精霊ローレライ。


時空の精霊グラビティ。


私は三体の精霊を使役することに成功した。


本来、魔法というものは

詠唱をすることにより発動する。


しかし、私の精霊魔法は

魔法の詠唱を経て発動するのではなく、

精霊を使って発動するため、

詠唱の必要がない。


もう、この無詠唱の時点で他の魔法使いとは

レベルが違うチートスキルだった。


エレクトリカルが雷をおこし攻撃し、

ローレライが幻覚をみせて敵を惑わせ、

グラビティが瞬間移動を可能にする。


さらに教会の教祖ミカエルから

結界の張り方を教わる。

この教祖は人間のフリをしているが

実はエルフである。

エルフは長寿であり、結界が得意。


ほかの魔法ももちろんだが、

なんなく結界魔法まで会得し

気づけば私はこの異世界において

天才魔法少女と呼ばれる存在になっていた。


私に敵うものなど皆無。

圧倒的な力を得た私だったが、

心が震えるようなことはなく、

ただ、教会から与えられた任務をこなすだけの

殺戮マシーンのような存在。

とくに考えることもなく魔法を使うだけ。

魔物を狩り続ける毎日。

そんなつまらない人生に飽きてきたところに

ついに魔王が誕生する。


東の小さな島国。

国と呼べるかも怪しい孤島で

住んでいる人間も少ないのが

不幸中の幸いであった。



少数精鋭の部隊を引き連れた私は

島へやってきた。


まずは島民を避難させる。

そこで私は1人のエルフの少女に出逢った。

人間だけでなく色々な種族がいる島。

どうやらならず者が集まってできた

スラム街のような国らしい。


エルフは長寿のためか

なかなか子供ができないというが、

このエルフの子はまだ5歳ほど。

なぜか懐かれてしまって困惑した。

小さい子の世話など私の仕事ではない。

私自身転生してきた身だがまだ歳で言えば

14歳くらいなわけで

天才魔法少女と呼ばれていたわけだから

子供とたいした歳の差がある訳でもなかった。


「お嬢ちゃん、私は私の仕事がある。」

「お姉ちゃん頑張ってね......」


魔王を倒せば小さいこの子達、

子供たちの未来は守れる。

少なくともそれだけで

私が魔王を倒す理由にはなりえた。






GATEと呼ばれるこの世界と魔界を繋ぐ扉。

それが現れ、そこから魔物が溢れている。


精霊エレクトリカルの力は偉大で

溢れ出てくる魔物は雷魔法でたやすく一掃した。


しかし、肝心の魔王がみつけれない。


諦めて船に戻った私は衝撃的な場面に遭遇する。


私の率いた部隊が保護した島民を

何人も殺していたのだ。



「貴様ら!何をしている!!」


「ルイーダ隊長!こいつら!魔女なんです!」


魔女......?


魔女とは人間と他種族との混血の生物。

人間より遥かに強い生物で

教会はあまりの強さのために

この魔女を疎ましく思っており

魔女を魔物として分別していた。


「この島!魔女の島のようなんです!!」


「魔王を倒すのが目的だ!やめろ!!」


私は珍しく感情をあらわにした。


まだ生き残っていた数名を助け出した私は

自分の部隊の者を捕え縛り上げた。


私に懐いていたエルフの娘も

ひどい仕打ちを受けていたが、

なんとか一命をとりとめた。


「なぜ!こんなことを!!」


「お姉ちゃん......ごめんね黙ってて......

あたしエルフと人間の魔女なの......」


「......!!」


「元々教会に襲われてあたし達はこの島へ

逃げてきてたの......教会は魔女が嫌いみたいで

魔女狩りと言ってあたしたちを殺すの......」


「魔王は......?」


「魔王はもうとっくにうちの魔女様が倒した

よ......GATEから魔物はまだ出てるけど......」


なんなんだ?どういうことだ?


「ルイーダ隊長......目的は......

魔王を倒した魔女の討伐です」


「そうです......この魔女の方が脅威なのです」


「最初から魔王討伐は、建前で......

本当の目的は魔女狩りなのです......」


「そんな......!こんな子供までいるんだぞ!?」


「教祖ミカエル様はそう判断されています」


「我々には指示に従うしか......」


こんな少女が混血だからと魔物扱いだと?


ただ教会が魔女の力を、

邪魔だと思っているだけじゃないのか!

ミカエル......!!


「お姉ちゃん......ありがとう......」


「......!すまない!まさかこんなことに......!」


「お姉ちゃんは優しいね......逃げた方がいいよ」


「......?」


「この島の女王が来る......」


「魔王を倒した魔女のことか?」


「うん......不死の魔女......アビゲイル様が......!」


その瞬間


辺り一面は闇に包まれた。


圧倒的な支配者の覇気。


この空間全てを飲み込む闇。


絶対に抗ってはいけない。


それは絶望であり、


闇。無。恐怖。


私はその圧倒的な恐怖の象徴に出会ってしまった。


「うわぁ!出た!」


「隊長!あいつが!この島の女王!」


「吸血鬼と人間の混血。魔王殺しの異名を持つ

不死の魔女!アビゲイル・デスペラードです!」


漆黒のドレスに黒いとんがり帽子。

鋭い牙が、口元で光る。


「......教会!!貴様らぁぁ!!」


怒りに震えるその魔女を

私はもはや直視することもできない。


部隊の人間たちは一瞬で

何かをされ吹き飛び全滅。


あれがなんだって?魔女?

この世の終わりのような光景に

私は足が震え、腰が抜けて、その場から

身動きが取れなくなっていた。


悪魔か邪神か何かではないのか?


エルフの娘を抱えていた私だけは

狙われなかったようだが

それも、もう時間の問題......。


「無理だよお姉ちゃん逃げて......」


「ありがとう、ごめんね巻き込んでしまって」


私はエルフの娘に精一杯の笑顔を見せた。

人に、笑顔を向けたのなんて

この異世界に来て初めてかもしれない。


グラビティの瞬間移動、転移魔法なら

逃げれるかもしれない......しかし


転移しようとしたその瞬間、

私は体を掴まれ、

魔法を発動することも出来なくなっていた。

一瞬で不死の魔女は私の目の前に転移して

私を捕まえてしまったのだ。


神の前では何をしても無駄だと理解してしまう。



エレクトリカル!!

ローレライ!!!

グラビティ!!!!



ーーーカッ......!!!



何も間に合わなかった。


私は一瞬で消し飛んだ。


精霊魔法を放つヒマなんて

与えてくれるはずもなく、

圧倒的なその恐怖の前に何もできず。


私は短いこの異世界での人生を終えた。






ーーーただし、


私のスキル【精霊使い】の奥の手を発動。

自分自身を霊体、魂だけの存在、

精霊に近いような状態にするという

このスキルの最後の奥の手。


不死の魔女の攻撃が何だったのかすら

認識できなかったものの

ギリギリ間に合ったようだが

どうやら私は肉体だけでなく

精神もろとも吹き飛ばされたようで


この後少しずつ少しずつ

長い年月をかけて

霊体だけの魔物として復活して

自分自身を具現化するまでに

約70年もの月日を費やすことになる。


教会、教祖ミカエルに必ず復讐してやると

呪いのような怨念で復活した私は


その後魔王となり、魔物の大群を引き連れ、

ひとつの国を崩壊させる。


だが、ちょうどそのころ、

教会の聖女が教祖ミカエルを打ち倒し、

革命を起こす。


まさかよりによって

あの不死の魔女が

教会の教祖になるとは

予想はできなかったが......。


復讐相手がいなくなり、

虚無だった私は

その後現れた勇者候補たちに敗れる。


また死に損なって

植物のワタのような形で

浮遊していたところ

光魔法を使えるダンジョンという

これまた稀有な存在に

巡り会ってしまい......








ーーー今に至るのであった。









読んでいただきありがとうございます!


もし少しでも面白いな、

続きが気になるなと

思っていただけましたら

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