そこは最強のダンジョン
「ななな、なんですのこれは〜!?」
久しぶりにワンダーランドに来た
クラリスお嬢様一行は
増設されたカフェ・テラコッタに
すぐに魅了されていた。
「なんて可愛いのこの獣人!
あなた!うちで仕えなさい!
倍のお給料だしますわ!!」
「え〜!いやっす!!」
「ルーの前で引き抜き行為とは
お嬢様いい度胸ですね〜♪」
「ルーちゃん!あなたやはり最高ですわ!
なんなら貴女たち全員雇いたいですわ!」
「お断りで〜す♪」
「お紅茶も超一流だわ......」
リゼがテラのハーブティーに舌鼓を打ち、
何かを考え込んでいる様子。メイドとして
何か対抗心を燃やしているように見える。
「5層のボスがとんでもなく強くて今はみんな
そのボスを倒そうと躍起になっています」
唯一ソルを見ているバッシュがお嬢様に
最近の事情の説明をしている。
「このカフェ自体も
ダンジョンの一部ですな......」
モルガンは何かをメモっている。
「あ!そうだわ!ルーちゃん!
今度教会の聖女様がこちらに視察に
来られる予定があります!
その時は私たちが聖女様を案内いたしますわ!」
「え〜教会?やだなぁ」
あからさまに嫌そうな顔をするルーちゃん。
「聖女様を知っているのですか!?」
「いや、まあ今の教会は知らないけれど......」
「昔の教会は知っていると......?」
「そうだね。ぶっ殺しちゃうかも♪」
可愛い受付嬢が今まで見た事ないような
視線を一瞬だけ見せたのをクラリスは
見逃さなかった。
「ルーちゃん......?」
「ん〜あまり気は進まないね♪」
「こ、困りましたわね......。でも、ルーちゃん。
今やこのワンダーランドは国中で話題。
教会の耳には遅かれ早かれ届いてどちらにしろ
調査には必ず来ることになります。」
「うん......それはたしかに......」
「どうせなら案内役は顔見知りや常連である
私たちのほうがよろしいのではなくて?」
「......うん」
「ですわよね!?大丈夫ですわ!
あの聖女様は本当に素晴らしいお方です。
ルーちゃんの言ってる教会は
革命前の教会のイメージでしょう?」
「そうね......まぁ考えておくわ」
珍しく浮かない顔のルーちゃんに戸惑いながらも
クラリスは説得を続ける。
以前の教会は勇者候補の召喚という
儀式をおこなっていたが、
この勇者候補召喚は人間の命を
媒介にするという闇の方法でおこなわれており、
これに対してやめるように革命を起こしたのが
現聖女のラフォンテーヌ。
当時の教祖を勇者や魔女を引き連れ壊滅させ、
魔女達の技術で魔道具の普及を主体とする
現教会へと成り代わったのだ。
これが"聖女革命"と呼ばれる
当時世界中を席巻した大事件。
今では新しく教祖になった魔女と聖女を中心に
評判の良い教会にはなっている......。
ルーちゃんが嫌悪しているのは以前の教会なので
革命後の今の教会は問題ではないのだが......。
「ルーちゃん......昔の教会と何か......?
あ、いえ、言いたくなければ結構ですが......」
「そうだね♪今の教会は問題ないかもだね?」
「決して悪いようにするつもりは
私も聖女様もありませんわ!必ず私が
仲介を成功させます!」
「うーん、わかったよ〜......」
近いうちに教会が来ちゃうな。
メグミと何か対策はしておくか......。
「あ、お嬢様、出発の時間だよ♪」
「わかりましたわ!さぁその噂の女サムライ
とやらは私の魔法で倒してみせますわ!」
意気揚々と出発するクラリス様一行だったが
プリンちゃんの不定期に出てくる粘液トラップ。
触ると気を失うソルの夢朧トラップ。
そして新しく設置された
アリアの真空状態トラップにより
早々にリタイヤすることになる。
トラップの仕掛けられた部屋に入るとそこは
風の妖精アリアの作った真空状態の部屋。
人間は真空状態ではもってせいぜい15秒。
呼吸が出来ずリタイヤする羽目になる。
新しいトラップも続々と増えている
ワンダーランドはさらに難易度が上がっているのだ。
「おかえり〜♪」
「......そ、そんな......
第2層がまた難しくなってる......」
「早かったね♪くくく♪」
「必ずリベンジいたしますわ〜!!」
クラリスお嬢様一行は
第2層でリタイヤ!どんまい!
風の妖精アリアはとても優秀だった。
ルーちゃんの指示した事は
ほぼ片手間レベルでこなしてしまい、
なんなら新しい真空状態の罠は作るわ
乱気流を発生させて空を飛ぶ魔法使い対策するわ
あらゆる霧、風、温度、音を見事に操り
ド派手な演出をぶっ込んで
各階層のレベルを格段に上げてしまった。
「ルーの仕事のフォローどころか
ルー以上の仕事こなしちゃってるよ♪」
「ルーちゃむ〜グミっち〜☆
次の第6層はあーしにBOSSやらせてよ〜☆」
「いいよ〜アリアに第6層は任せるよ〜」
すっかり楽しいダンジョン造りを謳歌し始めた
このギャル妖精は持ち前のキャラもあって
すぐにワンダーランドに打ち解けていた。
「ただの妖刀のうちとはレベルが違います。
さすが大気の精霊はん。......化物どすえ」
「アーちゃんすごいっす!」
「ぷに〜」
大地の精霊テラも大概だが
このアリアも本気を出すと
音速で動いて飛べるらしく
真空状態とかされたら普通に無理ゲーだし
戦闘じゃ冒険者たちは
こんなのに勝てるわけないなと
メグミも難易度を考えないといけなかった。
そもそも第5層のソルにすら勝てないのにね。
そんなアリアも最初は
指示されたことを面倒くさがっていた。
稼ぎたいならその
ポーション売ったほうが早いし〜
などと言い渋々だったのだが
「見てアリア。あなたの仕事で
こんなにもみんなが楽しそうにしている。」
冒険者たちはみんなこのダンジョンに慣れると
帰りは悔しがっているのになぜか笑顔なのだ。
メグミのやりたい事に賛同したアリアは
すぐにワンダーランドの魅力に気づき
存分に力を貸してくれるようになった。
ルーちゃんはこれで余裕ができて
メグミとイチャイチャできると
思っていたのだが......
「グミっち〜☆暑くない〜?」
天然エアコン機能があるアリアは
隙を見つけてはメグミのいるモニタールームで
快適な気温の提供をするためという名目で
メグミに絡みついていた。
「メグミはん〜あ〜んしておくれやす〜♡」
ソルだけでなくアリアまでモニタールームに
居着くようになってしまい
ワンダーランドはさらに活性化できたものの
ルーちゃんの本音だった
メグミとのイチャラブ作戦の目論見は
見事に失敗していた。
「え〜ん!なんでこーなるのよ〜!」
ルーちゃん頑張れ!
メグミの相棒は君だよ♪
⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆
ここは王都のお城ーーー
教会の聖女がダンジョンに視察に行く?
そうか、
では1度俺も
ダンジョンの様子を見に行っておくか......。
ローズマリー副隊長。
その噂の女サムライは
俺が相手をしよう。
「はい......。お手を煩わせてすいません。
マッカーサー総隊長。」
ついに騎士団最強の男が
ワンダーランドにやってくるーーー
読んでいただきありがとうございます!
もし少しでも面白いな、
続きが気になるなと
思っていただけましたら
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