君にしてあげたかったこと
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「メグミ先輩はやっぱりすごいっす!」
「何言ってるのよハルカ〜
......私みたいになったら終わりよ〜」
メグミはカウンセリング関係の
仕事をしていたのだけれど皮肉なことに
自分自身が働きすぎで潰れそうな毎日。
そんな私の横にいたのはハルカという名の後輩。
「ハルカは先帰りな〜」
「でも!これ終わらせないと休み飛ぶっす!」
「私が終わらせとくから〜」
「絶対無理っすよ!日曜日テーマパークに
一緒に行く約束したじゃないっすか〜!
休み飛ぶ方がきついっすよ〜」
バリバリの社畜OLは2人して残業の毎日。
仕事では相棒であり
たまにとれた休みは
一緒にテーマパークに行くという
プライベートでもかけがえのない仲だった。
特に仕事の能力が高かったわけでもないし
むしろ少し鈍臭いところの多いハルカ。
でも、どんなキツイ時でも笑顔を絶やさない
明るく可愛い後輩。
きつい労働環境でもなんとかそれまで
やってこれたのは間違いなく彼女のおかげ。
それと同時に彼女にもつらい労働環境を
与えてしまっていたことに先輩として
申し訳なく思っていた。
土曜日ーーー
「やっと終わった〜!これで!
明日テーマパークいける〜!
先輩も終わったかな?」
メグミに電話がつながらない。
「まだかかってるのかな......」
ハルカは久しぶりに明日先輩とテーマパークに
行ける喜びに打ちひしがられていた。
「メグミ先輩来週誕生日だから
明日前もってお祝いしちゃおう♪
来週休めるか怪しいっすもんね〜」
サプライズ用に用意したプレゼントを
にこにこと眺めながら
ハルカはメグミからの返信を待っていた。
そこへ
「......ハルカ!」
「......あれ?どしたんすか課長〜?」
「メグミが倒れたって!病院行くぞ!」
「え......ウソ?せ、先輩......?」
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本日はワンダーランドは定休日☆
みんなで王都にお出かけなのです♪
必須の変装に精を出すみんな。
ウィッグを被ったソルとテラは
大人な雰囲気のシックなお洋服でお揃いコーデ。
ルーちゃんとコロは帽子を深く被って
ドール系のゴスロリでこちらも双子コーデ。
それを引率するオカンのような女がひとり。
......誰がオカンじゃ。
お買い物と美味しい食事をたっぷり堪能するぞ♪
ワンダーランドの運営は安定していたが
一つだけうまくいっていないことがあって
コロ以降の魔物の命名が成功していないのだ。
スライムやゴブリンにも名前をつけてみたが
少し強くなるだけで
コロのような進化には至らない。
ルーちゃんも魔物の進化については
はっきりした定義がなく
当然研究などもされていないため
答えはわからないという。
「ぬしさまっ!どうしたっすか〜?」
命名が上手くいかないことを少し考えていた私を
下から覗き込むように見てくるコロ。
「......あ、ごめん、なんでもないよコロちゃん」
「ぬしさまっ!今日は遊ぶ日ですよっ」
仕事のことを考えていたのを見透かされたのか
コロが私の手を引いて歩き出す。
「ふふ♪ごめんごめん」
また前世での悪い癖が出たかな。
休みの日まで仕事のこと考えちゃう。
気をつけなきゃ。
ルーちゃんとテラはひたすら甘いものを
摂取しようと目につくカフェやお菓子屋さんを
どんどん巡っていく。
「うんま〜♪これテラコッタでも出そう〜♪」
「レシピも鑑定しておくのであります」
ソルはなんでも食べる。
さすが元無機物だけあって
好き嫌いはなく、食べれるという行為、
人と触れ合えるだけで幸せそう。
「美味しい〜♡うち、幸せやわ〜」
コロは意外と肉食。
肉をむしゃぶりつきたい系獣人。
「うんま!うんま!ガツガツもぐもぐ......!」
みんな楽しそうでよきよき。
一通り回ってカフェで休憩していると......
「ぬしさまっ!相談があるっす!」
「コロちゃんどしたの?」
「ルーちゃんもテラもソルの姉さんも
みんなすごい強いっす!
コロも強くなりたいっす!」
あら、意外な発言。
「コロちゃんはマスコットでペット枠だから〜
全然強くなくていいんだけどな〜」
「コロも役に立ちたいっす〜!」
「ふーむ。コロちゃんの仕事は唯一無二なので
充分役に立ってるんだけどな......」
どうやって納得してもらおうかしら。
「でも、ぬしさまがコロ以外にも命名ができて
獣人が増えたりしたら、コロじゃなくても
よくなりそうで怖いっす......」
ーーーああ
......そんな心配してたのか......
コロはいつもニコニコしていて
楽しんでくれていると思っていたけれど
思ってるより繊細だったのかもしれない。
コロのことちゃんと見れていなかったのかも。
主失格だわ私......。
でもこれは
思春期......?
ただの嫉妬や不安?
いや?
なんだろうこの既視感
なんだか知っている
この雰囲気......
どこかで
ーーー先輩っ!ーーー
「えっ!」
「どしたっすか......ぬしさま?」
コロを見つめる私。
「コロちゃん......」
そっとコロを抱きしめる。
「ぬしさま?大丈夫っすか?」
「うん......」
そうか。
思い出した。
私には後悔があった。
この異世界にきて
テーマパークを一生懸命作ってきたけれど
そりゃぁ、自分の趣味だったのも
もちろんあるのだけど
それ以上に
テーマパークで一緒に
楽しんで欲しい人が
私にはいたのだ。
そうだ。
なんで気づかなかったんだろう。
こんなにも
"あの子"にそっくり......
コロちゃんは
間違いなく
私の願望が生み出していたんじゃないか。
「コロちゃん......ありがとう」
「わっ!ぬしさまっ!?泣いてるっすか?」
どうした何があったと
ルーちゃんたちも近寄ってくる。
「えへへ。ごめんね大丈夫。
ちょっと前世のこと思い出しちゃっただけ......」
「コロちゃん......いつも、笑顔で
元気でいてくれてありがとう。
あなたの存在が私に生きる意味をくれる。
あなたは
みんなを愛して
みんなから愛される
そんな唯一無二の存在よ。」
「......ぬしさま......」
「......愛してるわコロちゃん」
「コロもみんなのこと愛したいっす......」
「大丈夫よ。みんなにも伝わっている。
コロちゃんがみんなの役にたちたいって、
そう思ってくれたことが、
なによりもみんなへの愛の証明なのよ」
「ぬしさま......これから仲間が増えても
コロはみんなから必要とされるっすか?」
「もちろんよコロちゃん......
不安にさせちゃってごめんね
大好きよ......もう
嫌がっても絶対逃がさないからね」
「......ぬしさま......愛してるっす
コロを産んでくれてありがとうっす......」
ルーちゃんたちは無言で私とコロちゃんの
周りに立って周りからの視界をさえぎっていた。
私が前世でしてあげたくてもできなかったこと。
私のただのエゴかもしれない。
そんなこの世界での私の取り組みに
巻き込んでしまったからには
この子達だけは
私が絶対守らなきゃ。
「メグミ。ルーたちも同じだよ。
メグミのことはルーが守る」
「メグミはん、うちかて
みなさんのこと護りますさかい〜」
「一人よりもみんなでみんなを
助け合うほうが効率的であります。」
「みんなもありがとう......」
「コロちゃんは私たちワンダーランドの
みんなの愛の中心でい続けてね......」
「えへへっぬしさま〜♪」
今日はなんだかしっぽりしちゃったな。
「みんなごめんね。飲み直そ!」
「わーい♪飲も飲も♪」
「うちにお酒教えてくださいな〜」
「甘いお酒というのも存在するのであります」
「コロも飲む〜!!」
仲良く朝まで飲み明かした5人。
ダメな先輩でごめんね
この異世界ではきっと私......
翌日ーーー
何かが吹っ切れた
メグミにより
プリンと命名された
スライム娘が
あらたにワンダーランドの仲間になる。
読んでいただきありがとうございます!
もし少しでも面白いな、
続きが気になるなと
思っていただけましたら
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