"ソル"
はるか昔
とある呪いの村で何十人もの魔法使いが
何十年もの歳月をかけて呪いを付与し続け
完成したのがこの朧丸という名の妖刀。
最悪の殺戮兵器と化したこの妖刀は
長い年月もの間多くの人や魔物の手に渡り
その力で多くの命を奪ってきた。
「せっかくやけど、そちらの
大地の妖精のお姉さんの力で
うちのことは地中深く封印しておくれやす......。
うちのこと手にした者は全員
頭がおかしくなりはって
殺戮を繰り返すだけの狂人になりますさかい。」
「狂人!こわいっすー!」
「もはや伝説になってる妖刀らしいね〜♪」
「使いこなすのもそもそも並の精神力では
不可能であります......」
「もう何百年と
人も魔物も散々斬りましたさかい。
うちももう潮時どすえ......」
何やら疲れてきってしまっている朧丸。
殺戮兵器の心の内なんてわからないけれど
本人の中では葛藤や罪の意識が
あったのかもしれない。
「最期になんやお話ができてよかったどす
みなさんおおきに......」
ところがーーー
そんな朧丸をキラキラした目で見つめる者が......
「あなた!さっきから何を言っているの!?
私の以前いた世界でもそうだったけれど、
武器に罪なんてないわよ!」
「......え?」
「どこが殺戮兵器なのよ!
あなた最高じゃない!
まさにあなたこそ!
このダンジョンに必要だわ!」
「え、何を言うてはるんですか......?」
「うちのダンジョンのモットーは
人と魔物の共存!
そして人を殺さないこと!
あなた......!
眠らせるだけで殺さないんでしょう!?」
「......あ、ええ、能力としてはそうです......」
「ぜひあなたの力が欲しいわ!
最高よ!
"人を活かす剣"
うちで働きなさい!!」
「人を......活かす剣......うちが......?」
もう何百年も人や魔物を殺し続けてきた
その妖刀は人を狂わせ、恐怖の象徴として
人からも魔物からも忌み嫌われてきた存在。
「......あ、強引なのはよくないよね?
......えっと!
あなたの力はうちでとても
有意義に活躍できるわ!
今までのことは知らないけれど、
私、あなたが欲しいの!」
「うちが......?」
「ええ!あなたが!」
横の受付嬢とメイドとバニーガールは
にこにこしながら朧丸を見ている。
「そんな、うちなんかが......?」
「私の仲間になってくれるのなら
あなたに名前を授けるわ!
......あなたの名前はソルよ!」
「ソル......?」
「うんうん!魂のソウルと、もうひとつ!
ソルというのは"太陽"という意味よ!
あなたはここで太陽のように光り輝くの!」
「......ええ?うちが......太陽......?」
「そうよ!このダンジョンを照らす太陽!
さぁぜひ!今までのことは忘れてソルとして
私のダンジョンで輝いてちょうだい!」
いつの間にか朧丸の目から溢れる熱い想い。
「なんや目から液体が
止まりません......
なんですのこれ......
人の形は......
なんや不思議な構造なんですね......」
「ソル!仲間になって欲しいっす!」
「大歓迎であります。」
「ルーもこの人に拾ってもらったんだよ♪」
「あなたは......一体......?」
「私はメグミ!
このダンジョンのマスターです!」
「メグミはん......」
「さぁ、ソル!......おいで!」
「......ふふ。
えらい変わりモンのマスターさんなんですね。
わかりました。
不束者ですが......
メグミはんの元で......
お世話にならせていただきます」
そのマスターの手を取った朧丸は
これ以降、妖刀朧丸の名を捨て、
新たにこのダンジョンで
"ソル"という名前で生きていくことになる。
喜び踊るバニーガール。
受付嬢は終始ニコニコ。
あまり表情を出さないメイドも
歓迎パーティと書かれた垂れ幕を作成し始める。
そんな
黒髪着物のはんなりお姉さんへむけて
この言葉を......
「ようこそ!ワンダーランドへ♪」
⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆
貴族母娘はヒーリングワンダースパで
身も心も満足したので帰ったのだが
このまま第5層に
行かないのは消化不良である。
そう言ってローズマリー副隊長たち
騎士と魔法使いの6人は
翌週に改めて第5層へチャレンジに来ていた。
第5層では魔物討伐する気満々だったが
あまりの多さの大量の魔物のスタンピードから
必死で逃げることになる。
「逃げろーー!!」
「出口が見えてる!」
「あそこまで走れー!!」
襲い来るベヒーモスと大量のドラゴン、
足元で邪魔してくるスライムやラビットたち。
スライム達本物の魔物を足元に出すことにより
ベヒーモスやドラゴンも本物に
見えるように仕向けられている。
なんとか魔物を振り切り
出口へたどり着いた6人。
扉の先に逃げ込めたようだ。
「はぁ......はぁ......」
「この小部屋には入ってこないのか......?」
そこは小さな部屋だが
その先にもうひとつ扉。
あれがゴールか?
しかし、その扉の前には......
「......ご苦労さんどす。みなさん方......。
魔物ぎょうさん現れて大変でしたやろ〜
もうこの部屋には入って来やしませんので
安心しておくれやす......」
「あ、ああ......ありがとう?」
「なんではいってけぇへんかって?
あの子たちはうちのこと怖がって
ここには入ってきまへんのや......」
「......は?」
ローズマリー副隊長は身構える。
続いて全員が構える。
「ええ。そうどす。
うちがこの第5層のボス。
......さぁトラップばかりの洞窟で
物足りなかったんどすえ?
うちを倒したら第5層クリアどす......」
桜吹雪が舞う中現れたこの黒髪着物の女は
物静かにみせて圧倒的な威圧感を出してくる。
「......只者じゃないですぞ......」
「油断するな......全員でかかるぞ。」
「はい!」
「はい!」
「うちの名はソル......。
さぁさぁ皆さま方......
やりあいましょうか......!」
ーーーキィン!ーーー
「ええ夢を......見ておくれやす......」
⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆
全員気を失った状態で
入口へ転移させられた6人。
「隊長さ〜ん♪起きてね〜♪」
「......はっ!!」
やっと目覚めたローズマリー。
バッシュ筆頭に5人が次々と斬られ倒れていく中
最後まで残ったのはローズマリーだったが
健闘虚しく敗れ、今に至る。
「全員......生きているのか......?」
「うんうん♪大丈夫だよ〜♪」
「なんだあの女は......強いなんてもんじゃない......
受付嬢さん、本当に君たちは何者なんだ......」
「ソルの姉さんですか〜?
そうだね♪そこそこ強いですね♪
ぜひまたチャレンジしに来てくださいね♪」
「そ、そこそこ......?」
いつも通りあっけらかんとしたその受付嬢に
底知れぬ恐怖を感じたローズマリー達は
それでもまたきっとこの最強ダンジョンに
挑戦しに来てくれることだろう。
ついに本当にダンジョン内に
最強ボスが君臨してしまったワンダーランド。
第5層をクリアできるものは
果たして今後現れるのか......!?
読んでいただきありがとうございます!
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