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護衛騎士団の苦悩


国の中でも権力を持っている貴族の婦人や令嬢は

どうしても国としては無下にはできない存在。


今回、騎士団に殺到している依頼は

例の最強と噂のダンジョンの第4層にある

ヒーリングワンダースパまでの護衛案内。

しかも貴婦人から絶対的な支持、人気を得ている

騎士団副隊長リンダ・ローズマリーを

ご指名してきているのだ。


「大人気だな♪ローズマリー副隊長」

「勘弁してくださいよ......マッカーサー隊長」


頭を抱えているローズマリー副隊長の横で

騎士団総隊長のマッカーサーはニヤニヤしながら

依頼書を眺めている。


今回の護衛依頼、最初は騎士団の第2部隊に

担当をさせていたのだが

ものの見事に第2層まででリタイヤ続出。


いまだに騎士団の中には第4層どころか

第2層をクリアできたものはいないのだ。


白羽の矢がたったのがローズマリー副隊長。

「私も1度調査に行きましたが、

第2層でリタイヤしています。

恥を上塗りするのが目に見えているんです......」


「副隊長ほどの実力で難しいとは......」


「戦闘力や実力ではないのです。

トラップ、幻覚、精神攻撃をおこなってくる

魔法のダンジョンでして......」


「なるほどな......しかし、このまま

依頼をひとつもこなせないとなると

騎士団としての信頼威厳を失いかねない......」


「......私に、拒否権は......」

「......ないな。頼んだぞ。」

「はぁぁ......」

頭を掻きむしるローズマリー副隊長。



そこへ騎士がひとりやってくる。


「副隊長!朗報です!」

「どうした?」


「以前、騎士団に所属していた

バッシュという者がいまして

どうやらその者が第4層にたどり着いた

パーティメンバーのひとりらしいのです!」


「バッシュ!?

いや、覚えているぞ、優秀な男だった。

世話になった主の元へ戻ると

たしか言っていたな?」


「そうです!そのバッシュです!」


「あの男がなぜダンジョンに......?

いや、よし、すぐ連絡を取ってくれ。

騎士団として正式に協力を頼みたい」


「承知しました!」








王都騎士団に呼び出されたバッシュ。


「お久しぶりですローズマリー副隊長」

「呼び出して悪かったなバッシュ......

ん、んん?何か雰囲気が変わったか......?」


元々たくましい男だったが

何だこの雰囲気は......?

鍛え上げられた肉体は黒く照り輝き

髪の毛や顔の表情まで潤いつやつや。

普段は仕事一筋で異性としての男性に

興味などない副隊長ですら

つい魅力を感じてしまうこのフォルム。


「恐縮ながら......」

おもむろに立ち上がったバッシュは

ムキッとポーズを取ってみせる。

「おお......!?」

「私自身も驚いています。まさに!

この身体こそ、ヒーリングワンダースパを

体験した者の結果なのです!」

「まさか!......これほどまでとは......」

まじまじとバッシュの身体を見つめる。

「少し触ってもいいか......?」

「どうぞ!」

ここぞとばかりにムキッ。

少し頬を赤らめた副隊長は純粋に

肉体美に魅入られていた。


「ダンジョン攻略のヒントを貰えればと思い

今回呼び出したわけだが、それ以上に噂のスパの

効果をまのあたりにすることになるとはな......

貴族婦人達が大金をはたいてまで

やっきになってる理由がよくわかった......。」


「私の主が近日中にダンジョンの件で

母校である隣国の魔法学園へ

報告連絡をしにいきます。

その間であれば私は護衛の任から外れることが

可能です。ご同行もできるかと。」


「そうか!話が早くて助かる!」

「私も主とともに何十回とチャレンジして

やっとの攻略です。しかし、またクリアしろと

言われて毎回クリアできるかと言われると

難易度は高いと思われます。」

「しかも素人の貴婦人を護衛しながらだ......

なんとか相手方にも難しい任務であることは

理解して貰えるようにはからってはみる。」


「何日かかけてクリアするつもりで

近隣の街で宿をとるくらいの覚悟は必要かと。」

「なるほどな。......しかし」

「副隊長?」

「私も個人的に興味が湧いてきた」

「ええ。正直、騎士団の皆様自身にも

ぜひ、あのスパは体験して貰いたい所存です」

「よし!バッシュよ!

改めて最強ダンジョン攻略の

協力要請を依頼する!」

「はい!お力になれるよう精進します!」








こうして、ローズマリー副隊長率いる

ダンジョン攻略部隊が編成される。


ローズマリー副隊長とバッシュはメンバーに

部下の騎士団2人、補佐の魔法使い2人、

依頼主の貴族婦人とそのご令嬢という

合計8人のパーティでダンジョン攻略へ。


「冒険楽しみですわ!お母様!」

「あらまぁ、元気ね。私はスパにさえ

たどり着ければ問題なくってよ!おほほほ!」


気楽な貴族の母娘は楽しそうで何より。

気が重かったローズマリー副隊長も

今回は開き直ってチャレンジャーの気持ちで

ダンジョン攻略へ向かう。


「おいバッシュ?入口あんなに大きかったか?」

ダンジョンの入口に違和感を覚えた副隊長。

「む?いえ、何か増設されていますね?」


「ようこそ♪ワンダーランドへ♪」


「ルーちゃんお久しぶりです......!」

「やぁバッシュ君じゃないか♪

いつものお嬢様メンバーと違うんだね?」


「バッシュお前、受付嬢と仲がいいのだな?」

「はは♪何十回と来ましたからね〜」


「よく見たらいつぞやの騎士の隊長さんですね♪

初見で第2層まで行った唯一の

パーティだったのでよく覚えていますよ♪」

「そうか!光栄だよ受付嬢さん」


「ふふ♪さては最近流行りの護衛依頼だね?」

「ルーちゃんは何でもお見通しですね!」

「ああ、話が早くて助かるね」

「今は2時間待ちです〜♪

問題無ければ受け付けますよ♪」

「なるほど。そういうことか......

待ち時間のためにこれを作ったのか......」

「そうです♪好評頂いていますよ〜♪」




「いらっしゃいっす!

カフェ・テラコッタへようこそっす!」


なんとも、魅力的なうさぎの獣人がお出迎え。

騎士団も目をまん丸にして即魅了される。

「おおお可愛い......!!」

「こ、これはなんと......!」


カフェはダンジョン入場案内待ちの冒険者で

溢れかえっていた。


「な、なんですの!この可愛いカフェは!」

貴婦人も大興奮。カフェ内では

緑の髪のメイドがせわしなく紅茶を運んでいる。


「こちらメニューっす!

注文決まったら呼んでくださいっす〜!」


ナイスバディのうさぎの獣人は最高の見た目で

客を魅了するが、喋ると少し残念な感じ。

しかし、これはこれで可愛らしい1面でもある。


「コロちゃん〜喉乾いてないかい?

ドリンク飲んでいきなよ〜」

「わぁ♪ゴチになるっす〜!」

客からドリンクを奢られているうさぎの獣人。

大人気の看板娘なのは一目瞭然だった。


副隊長は緑髪のメイドの方が気になるようで

「......ゴーレムだよな?土魔法なのか?」

「確かに石や草木ですね......でもこんな

精巧な人型のゴーレム見たことありません......」

一緒に来た魔法使いも驚愕の眼差し。


そして、何よりこのメイド......


飲み物作っている者と

軽食を作っている者と

品物を運んでいる者と

お会計をしている者と


......同じ見た目で4人ここに居るのである。


よく見たらうさぎが注文を聞いているフリを

しているが近くで声を勝手に聞いて段取り

しているのはすべてこのメイドのほう。


うさぎは「はーいありがとうっす〜!」などと

受け答えや案内、お喋りをしているだけで

おそらく言われた注文を覚えてもいない......。

オーダーを文字通り聞いているだけで

厨房に伝えていないからだ。


ニコニコと接客で魅了する役と

作業をする役と完璧に分担されている。


「お待たせいたしました。

テラコッタハーブティーであります。」


完璧な所作で紅茶を運んでくるメイド。


テラと名乗ったこのメイドは大混雑の

明らかに忙しい店内を見事にまわしている。


「受付嬢さん......このメイドさんも

君の土魔法なのかい......?」

「教えませーん♪うちのスタッフでーす♪」


何やら要所要所でうまく質問をはぐらかしてくる

この受付嬢は相変わらず掴めない存在。


「そんなことより、第1層も第2層も

以前より拡張されてますからね〜♪

油断しない方がいいですよ〜♪」


「......え?」


このあと


この時の受付嬢の忠告を軽視した

ローズマリー副隊長率いるパーティは


第1層に新しくできたトラップにより


もののみごとに全員






即リタイヤすることになる......








読んでいただきありがとうございます!


もし少しでも面白いな、

続きが気になるなと

思っていただけましたら

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