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ヒーリングワンダースパ


カプセルの前に立つ一行。

「......なんですのこれは」

縦長のカプセルがずらりと並んでいる。

どこか温かみのある光が

カプセルの隙間から漏れている。

「ダンジョンの中に......

こんなものが......?」

モルガンが眼鏡を押し上げながら

カプセルを観察する。

「【スライムカプセル】......

通称スラカプ、と書いてありますな」

「スラカプ......?」

「スライム......カプセル......?」

全員が顔を見合わせる。

「......俺が先に入ってみます!」

バッシュが真っ先に手を挙げる。


「第3層での活躍を無駄にしないでください

バッシュ!」

「何かあってからでは遅いのです!

クラリス様のためにこの身を捧げます!!」

「......大げさですわよ」

バッシュが意気揚々とカプセルに滑り込む。

横になるとカプセルがゆっくりと閉まる。


10秒後。

「......zzz」

爆睡。

「......寝てますね」

「うん。ぐっすり眠ってますね......」

「......護衛として大丈夫なのかな」

「.....安全なのは、間違いなさそう......」


バッシュの無事を確認した一行は

それぞれカプセルへ。

ローランドが入る。

横になると

カプセルがゆっくりと閉まる。

次の瞬間。

温かい何かがじわじわと

肩に染み込んでくる感覚。

「......あ」

長年の剣技で

凝り固まった肩がほぐれていく。

「......お」

腰も。

「......おお」

足も。

「......おおお......」

全身の疲れが抜けていく。

そして気づく。

体が......軽い。

いや、軽いだけじゃない。

剣を振る時に感じていた

わずかな重さが消えている。

体の芯から力が湧いてくる感覚。

「......なんだこれは......」

「......気持ちいい〜......」

スヤァ......


バーディーが入る。

ゆっくりと目を閉じる。

全身の筋肉に

じわじわと何かが染み込んでくる。

「......っ」

腕が。

「......おお」

背中が。

「......おおお」

足が。

「......おおおお......」

静かに拳を握り締めるバーディー。

筋肉が......さらに盛り上がっている気がする。

「......うおおお......」

スヤァ......



リゼが入る。

「......っ!?」

肌に何かが触れる。

「......え?」

つるつるになっていく。

「......え?ええ?」

潤いが満ちていく。

「......ええ?ええ?ええ?」

つやが出てくる。

ムダ毛が......

「......え゛?」

「......ふにゃぁ......♪」

スヤァ......



エミリアが入る。

上質な温もりと潤いが全身を包み込む。


「......あ」

髪がさらさらになっていく。

「......あ、あ」

肌がぷるぷるになっていく。

「......あ、あ、あ」

ムダ毛が......

「......え゛?」

「......ふにゃぁ......♪」

スヤァ......


クラリスが入る。

魔法学園首席として

冷静に魔法の効果を分析しようと

意識を研ぎ澄ます。

「......まず魔法の残滓を感じ取って......

効果を......分析して......」

肩がほぐれる。

「......む」

腰が軽くなる。

「......む、む」

肌がつるつるになっていく。

「......む、む、む」

潤いが満ちてくる。

「......む゛」

ムダ毛が......

「......む゛゛゛゛」

「......ふにゃぁ......♪」

スヤァ......


モルガンだけが

最後まで意識を保ってメモを取り続けていたが

抵抗虚しくペンを落としてそのまま堕ちた。

スヤァ......







ぼーっとした顔で

カプセルから出てくる一行。

「......なんですか......これは......」

誰も言葉が出ない。

ローランドが自分の手を

開いたり閉じたりしている。

「......体が......なんか......

いつもより動く気がする......」

「明らかに身体が軽い......」

バーディーが静かに自分の腕を見つめている。

「......筋肉が......」


リゼが自分の頬をそっと触る。

「......つるつる......」

エミリアが自分の髪を触る。

「......さらさら......」

クラリスが自分の手の甲を見る。

「......ぷるぷる......」

三人の女性陣が顔を見合わせる。

「「「......ムダ毛が......」」」

沈黙。


「......いつの間に......」

「......どうやって......」

「......聞かなかったことにしましょう」

「「「......ええ」」」



モルガンが静かに呟く。

「......これは......光魔法の痕跡が......」

「......え?」

クラリスがモルガンを見る。

「このカプセルから感じる魔法の残滓......

光魔法ではないでしょうか......?」

「光魔法......?」

クラリスは魔法学園首席として

この世界の魔法体系を熟知している。

光魔法は世界に数人しか

使い手がいない激レアスキル。

魔法学園在学中にお会いした教会の聖女が

光魔法を使っているところを見たことがあるが、

それ以外ではクラリスも

光魔法使いを見たことがない。





「......まさか」

「このポーションも......

ずっと気になっていたのですが」

クラリスはポーションを取り出す。

「このポーションは体力回復や傷を治すという

マイナスをゼロに戻す効果ですわ。

でもこのエステは......違う」


「......違う?」


「マイナスをゼロにするのではなく......

ゼロをプラスにまで持っていく。

慢性的な疲れをほぐして体の状態を......

本来あるべき以上に整えてしまう」


「......!」


「みんな体が軽いのでは?」


「......ああ」


「それは疲れが取れただけではなく恐らく...

ステータスが微増しているはずですわ」


「な......!?」


「このポーションが宝箱にある時点で

ずっと疑っていましたの。

そしてこのエステも......

間違いなく光魔法の痕跡がありますわ」


「ここのダンジョンには......

光魔法使いがいる......?」


全員が息をのむ。

「......ルー殿に聞いてみますか?」

「ルーちゃんは転移魔法が使えると

言ってましたね......

まさか、転移魔法だけでなくさらに光魔法?

第2層の幻覚魔法に

第3層で結界も張ってましたよね?」


「聞いても教えてくれないと思いますわ」

「......でしょうな」

「ともかく......このことは

1度持ち帰って調べてみますわ!!

光魔法の使い手がいるとなれば

これは世界的な大発見ですわよ!!」


「......冒険の目的がダンジョン攻略から

ポーション分析に変わりましたな」

「両方やりますわよ!!」





「ではそろそろ...第5層に行きますか」

全員の顔が引き締まる。


しかし。


「......もう一回......入ってもいいですか......」

言い出したのはローランドだった。

「え!?」

「......ステータスがあがるならさ?......」

「ローランド様!?」


「俺も......」バーディーまで。


「......し、仕方ありませんわね......?」

クラリスも否定できない。


「......私も」とヨダレを垂らしているリゼ。


「...このカプセルをもっと詳しく

冒険譚に書かなきゃいけないから」

とエミリア。


「......ダンジョン研究とは

何度も経験しないとですな......」

とモルガン。


バッシュはまだカプセルの中で爆睡中。


全員2回目のスラカプへ吸い込まれていった......






2回目。

「......やっぱりいい......」ローランド。

「......筋肉が......」バーディー。

「......肌が......」リゼ。

「......髪が......」エミリア。

「......分析を......」クラリス。

「......ふにゃぁ......♪」

全員2回目も完堕ち。



モルガンだけが

今度こそメモを取ろうと

入る前にペンを握りしめていたが

3秒でペンを落として堕ちた。

「......前より速い」


2回目が終わる。

「......もう一回......」

今度はバーディーが言い出した。

「バーディー!?」

「......筋肉が......もう少し......」

「俺も......」ローランド。

「「......仕方ありませんわ......」」

クラリスとリゼが同時に言う。

「「......私も」」

エミリアとモルガンが同時に言う。

バッシュはまだカプセルの中で爆睡中。

3回目へ。



3回目が終わる。

全員が完全に骨抜きになった顔で

カプセルから出てくる。

「......もう一回......」

「「「......ええ」」」

「......第5層は?」

全員が一瞬だけ顔を見合わせる。

「「「「「......また今度」」」」」

満場一致。

バッシュはまだカプセルの中で爆睡中。











「ルーちゃん!

みんな完全に骨抜きにされてるよ!」


「うんうん♪スラカプ恐るべしだね〜♪」


「いままでとは違う意味で足止めされてる!」


「あはは♪まぁいいんじゃない♪」


「喜んでくれてる!にしし♪」







最高の癒し体験をした一行は


5回スラカプを堪能したあと


ついに第5層へ足を踏み入れる......












読んでいただきありがとうございます!


もし少しでも面白いな、

続きが気になるなと

思っていただけましたら

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