表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
テイマー忍者 〜ソロ忍者は従魔と共に駆け回る〜  作者: 花屋敷


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
410/413

滝の街

 この日、俺たちは霧の街からジャングルの北の小屋まで飛んだ。小屋の中で強化魔法をかけると出陣だ。相変わらず霧が深いジャングルの中に伸びている土の道を進んでいく。道は蛇行しているのと霧がかかっているので遠くまで見ることができない。視界は悪いがタロウとリンネのおかげで先に攻撃を受けることはない。


「タロウとリンネのおかげだな」


「ガウガウ」


「主が撫でたらもっと頑張るとタロウが言っているのです。クルミとリンネも撫でるのです」


 寄ってきたタロウをしっかりと撫で、その後でクルミとリンネも同じ様にしっかりと撫でてやる。撫でて機嫌がよくなって敵を倒してくれるのならいくらでも撫でてやるよ。


 小屋を出てから2時間以上経った。ジャングルの中から出てくるオークのレベルが179になっていたが、まだ道は続いている。時間から推定するとあと1、2時間は進む必要があるだろうな。


 それにしてもずっと霧が掛かっている。このエリアは全てが霧に包まれたエリアなんだろうか。ダンジョンの中ならまだ分かるんだがエリア全部が霧だとしたらこれは結構きついぞ。文句を言っても仕方ないのは分かってはいるけど愚痴の1つも言いたくなるよ。


 視界が悪い中、魔獣を倒しながら道なりに進んでいた俺たちの前に突然池が現れた。ジャングルの中に伸びていた土の道が右に曲がっていて、その道を歩いていると左手に池が現れたんだよ。


「池なのです」


「ガウ」


「うん、大きな池だよ」


 池には霧がかかっていない。振り返るとジャングルには霧がかかっているが池には霧が出ておらず、視界が開けている。久しぶりに遠くまで見通せたよ。水面と木しか見えないけど。


 道は池に沿って奥に伸びていた。

 池沿いに伸びている道を歩き始めた俺たち。道の右側、ジャングル側は霧がかかっていてジャングルの中を見ずらいが、左側の池は霧がないので遠く、対岸の森までよく見える。ゲームとは言え不思議な風景だよ。


 ジャングルからは相変わらずグリーンとブラウンのフォレストオークが襲ってくるが、それらを倒しながら進んでいるとタロウとリンネ、そしてタロウの背中に乗っているクルミがタロウから飛び降りて同時に池に顔を向けた。その直後、池の中から何かがジャンプして襲いかかってきた。


 従魔達が一斉に池に顔を向けたので俺も準備はしていた。池中から3匹の魚が俺たちに向かって飛び出してきた。俺が刀で1匹、タロウとリンネがそれぞれ蹴りと魔法で倒した。光の粒になる前に見たその魚はトビウオの様に長いヒレがあるが口には鋭い牙が生えている魔獣だ。トビウオとピラニアの合体みたいな感じだよ。


(今の魚は?)


(はい。キラーフィッシュです。レベルは178です。2、3匹でまとまって攻撃をしてくる魔獣です)


 AIのミントに聞いたらそう答えてきた。レベルは高くはないけど池中から突然複数体で攻撃してくるのは厄介だな。


 池に沿って進むと、右のジャングルからはオークが、左の池からはキラーフィッシュが次々と襲ってくる。タロウとリンネは事前に気配が分かるのでしっかり準備して蹴りと魔法で一撃で倒しているが、気配感知に優れている従魔がいないとこれはきついぞ。俺も蝉があるので3体で襲ってきた時も分身が対応できるから今の所無傷だ。


 左右からの攻撃を警戒しながら道を進んでいくと道が再びジャングルの中に伸びている。池から離れてジャングルに入るとまた霧だよ。


 池から入って10分ほど歩いた俺たちの目の前にちょっとした広場とその中にある平屋の建物が見えてきた。建物は外からみた感じプレイヤーズギルドににている。広場は周囲を柵で囲まれていた。このあたりのオークのレベルは179だ。


「主、元気になる場所に着いたのです」


 柵の中に入ると頭の上からリンネの声がした。

 よく見るとこの広場には今俺たちが通ってきた土の道以外にもう1本この広場に続いている土の道があるのに気がついた。


 とりあえずは建物の中に入ろうと俺たちは中に入ってみると、そこはまるでプレイヤーズギルドだった。ホールがあって椅子とテーブルがあり、カウンターには人族の男性のNPCが二人いる。部屋の隅には転送盤があった。


 そしてその建物の中に攻略クランの連中がいた。

 彼らを見て理解したよ。あのもう1本の道は霧の街の東門から伸びている道だったんだ。ここで合流しているんだな。


「やあ、いらっしゃい」


「同じところに行く道だったんだな」


「そのようだね」


 彼らと挨拶をした俺は、まずは転送盤の登録だ。

 転送盤に乗って登録をするとウインドウが現れた。


『転送盤を登録しました。どこに移動しますか?』


 その下に『霧の街』、と『滝の街』という名前が出てきた。とりあえず転送しないので、その場から離れるとその足でカウンターのNPCの前に立った。


「ここから新しい滝の街に飛べるんですね」


「そう。滝の街は池の反対側にあるんだよ。池には魔獣がいてね、船だと危険だから先人達が苦労して転送盤を設置したのさ」


 彼らによると何十艘もの船を出して決死の覚悟で池を渡って転送盤を設置したらしい。なるほど、そういう設定になっているんだな。


「あんたはどっちの道から来たんだい?」


「池沿いの道から来ました」


「じゃあ池の中から魚が飛んで襲いかかってきただろう」


 二人のNPCの説明をまとめると、霧の街から伸びている道について新しい事がわかった。昔は西に伸びている道と北に伸びている道の2本しかなかったらしい。ただその北の道、俺たちが歩いてきた道、は最後池に沿って道があるが、そのエリアが池と森の2ヶ所から魔獣が襲ってくる。しかも池の魔獣は襲うまで全く姿が見えなくて危険だということで新しく東からの道を作ったそうだ。森から飛び出して来るのも見えないけど、池はそれ以上に全く見えない上に常に2、3匹が固まってるからな。


 つまり北門からの道も東門からの道もどちらもこの小屋に繋がっているが、東門からの道の方が比較的安全なルートになっている。


 NPCとの会話を終えた俺はホールに座っている攻略クランの連中の隣のテーブルに座った。


「今のNPCとの会話で理解できただろう?ちなみにあのNPCはポーション類も売ってくれるぞ」


「なるほど」


「NPCが言ってるが、池から魔獣が飛び出してきたのかい?」


 ジャックスが聞いてきた。


「その通り、体長は5、60センチくらいかな。トビウオみたいに大きなヒレがあって、顔はピラニアみたいな魔獣で噛み付いてくる。キラーフィッシュって言ってたな。レベルは178なんだけど常に2匹、3匹で襲ってくる。それも突然池の中から飛び出してくるんだ。厄介な魔獣だ」


「タクは従魔達がいるから問題なかったのか」


「不意打ちは喰らわなかった。ただ魚が3匹同時に襲ってきた時は俺も対応したけど何度か蝉を剥がされたよ」


「ジャングルの中も霧があって決して楽じゃないが聞いているとまだ池よりはマシなのかな」


「どうかな。池からは絶え間なく襲ってきた。結果的に無傷だったけど、正直きつかったよ」


「そりゃ大変そうだ」


 彼らは道の途中にある小屋からここまで戦闘をしながら4時間弱で着いたそうだ。俺たちは3時間ちょっと。距離的には池沿いの道の方が短いのかもしれない。俺は午後からこのエリアに飛んだけけど、攻略クランの連中は昼間から動いていたらしいので彼らが先にここに着いたんだろうと言っている。滝の街に飛ぶ前にここで休んでいたら俺と従魔達がやってきたらしい。


「情報クランから連絡はあったの?」


「いや。まだ来てないわね」


 端末を見たマリアが言った。

 マリアがクラリア宛にこの小屋と次の街の情報を書いたメッセージを送った。


「滝の街とやらに行こうか」


 スタンリーが言って全員が立ち上がった。タロウももっそりと起き上がり、俺の膝の上に乗っていたリンネは頭の上に移動する。クルミは肩に乗ったままだよ。


 建物の中にある転送盤に順に乗った。


 飛ばされた先はプレイヤーズギルドっぽい建物だった。先に飛んでいた攻略クランのメンバーがカウンターにいる女性のNPCに話しかけている。


「滝の街のプレイヤーズギルドだって。街の中でコテージが借りられるみたいよ」


 やっぱりここはプレイヤーズギルドだったのか。

 とりあえずコテージを借りようと俺たちはギルドから外に出た。


 滝の街は見た感じは霧の街と同じで落ち着いた木造りの建物が広い通りに並んでいる。クルミは初めての場所なので俺の肩に乗って左右をキョロキョロと見ているけど、この街は皆にとって初めての街だぞ。


 通りを歩いていると大きな門が見えた。門には西門と書いてある。皆で外に出てみた。


「これが滝の街の由来なんだな」


 門を出た先は草原になっていて、その先に大きな滝が見えている。どうやら俺たちが飛んだ小屋の近くにあった池から滝になってここに落ちてきている様だ。滝はそこから川になって街の横を西から北に向かって流れている。


「大きな滝なのです」


「ガウガウ」


「そうだな。大きい滝だ」


 従魔と一緒に滝を見ているとスタンリーの声が聞こえてきた。


「台地の上が霧の街、その下のここが滝の街。こんな造りになってるのかな」


「そうかも。しかも霧がかかってない」


 確かに。滝の街の外に出てみたけど霧がないんだ。いい天気だよ。さらに周囲を見るとジャングルもなくて滝と川と草原と森になっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ