サファリにて
一時大きく減った所持金も、バザールと農業と情報クランからの報酬とで残高がまた増えてきた。なんとか一安心のレベルになったよ。
後続が新エリアに来るのはもう少し先になるというので、俺たちものんびりと経験値を稼ぎながら街の周辺の探索をしている。今のレベルは175だ。2つのクランの連中も175で同じ。
この日も北門から出るとまずは道沿いに進み、途中からジャングルの中に入って何かないかと探す俺たち。少しずつだけど探索した範囲が広がっている。
今はジャングルの中でオークを相手にしていた。5日間ほどジャガーと猿のエリアを探索結局ジャングルの中に何も見つからなかった。街から近いから無いとは思っていたけどこうやって確認することが大事だよ。
ブラウンオークもグリーンオークも霧のジャングルの中にいるとなかなか見つけにくいというかうまく隠れて俺たちを待ち伏せしている。ただこっちには従魔レーダーがある。
「主、右に緑色の敵がいて左には茶色の敵がいるのです」
「右からやろう」
「ガウ」
そんな調子でこちらが先に魔獣を見つけて攻撃をするのでダメージを喰らわない。グリーンオークの場合もタロウが横から蹴りを入れて、オークがタロウの方を向くとリンネの魔法、その後で俺の刀でノーダメージで倒すことができている。
霧のジャングルの中を進んでいく俺たち。オークのレベルが178になっていた。魔獣から神魂石が相変わらずドロップするんだよな。この先で使えるのだろう。印章も随分と溜まってきたよ。
情報クランと攻略クランの連中とは最近は会っていないが、メッセージでやり取りはしている。彼らもまだ何も見つけていないらしい。倒しているオークのレベルを聞いたら177だという返事が2つのクランからきた。今の時点では俺たちが一番街から離れた場所を探索しているということになるのかな。
端末の地図を見ながらのジャングル探索。オークのエリアを3日程歩いた俺たちはレベルがまた上がって176になった。
この日、夕刻になって霧の街に戻ってくるとサファリというレストランに顔を出した。今日が3回目になる。ウッドデッキが気持ちいいのかタロウがこの店に行きたがるんだよ。俺は特にこだわりはない。タロウの気分が良くなる方がずっといい。
「タク、探索はどうだい?」
この日は食事を食べ終えたタイミングでリヨンさんがウッドデッキまで出てきた。前回は出てこなかったんだよな。
「相変わらずジャングルの中をあちこち彷徨ってます」
「大変だな。魔獣もいるだろう?倒しているのか?」
「主が敵をばったばったと倒しているのです」
俺が答える前に膝の上に乗っているリンネが言った。そりゃ凄いなと感心した声を出しているリヨンさん。
「ジャングルにいる敵を普通に倒せるのなら強いってことだな」
「従魔達が優秀なんでね」
「それでも霧が深いジャングルを歩きまわっているんだろう?たいしたもんだ」
リヨンさんが言うとタロウがガウガウと吠え、クルミもジャンプする。
「その通りなのです。主が一番強いのです」
3体の従魔達がアピールしたのを見ていたリヨンさんがびっくりしている。
「相当従魔達から好かれているな」
「おかげさまで」
俺は従魔達が事前に敵の気配を見つけてくれるので助かっているんだと話をすると、そりゃすごいなと感心されたよ。
「それでもやっぱりジャングルの道は歩きにくいですよ」
「そりゃそうだろう。霧もあるし魔獣もいるって話だからな。タク達は街の北と東と西の道を進んでいるんだろ?」
「そうです」
「俺はその道を歩いたことはないが、どの道も結構長い道になっていて、途中に小屋があってそこにある転送盤に登録したら次からはそこから前に行けるって話は聞いたことがあるよ」
なるほど、3本の道の途中に転送盤がある小屋があるということか。逆に言うと転送盤が必要なほどに長い道だということになる。
「転送盤の小屋まで行ったらあと半分ってことですかね」
「そうなんじゃないかな」
いずれにしてもこれは新しい情報だ。
「ありがとうございます。明日にでも早速探してみます。色々ありがとうございました」
「うん。無理すんなよ、それとまた来てくれよな」
「わかりました」
俺は店を出ると自宅に戻ってすぐにグループメッセージを送った。しばらくして返事が来てこれから30分後に自宅にいつものメンバーが来ることになった。
しばらくすると庭にメンバーが入ってきた。4人かなと思っていたらどちらもパーティメンバー全員だ。活動が終わってその足で来たそうだ。人数が増えたけど全く問題ないよ。皆仲間だし。
「大人数で悪いね」
「全然。適当に座ってよ」
「座ってよ、なのです。主のお家は広いから何も問題がないのです。いつでもウエルカムなのです」
おっ、英語が出たぞ。
庭に入ってきたマリアはタロウを撫でていたが満足すると縁側に座った。
「道の途中にある小屋の情報。どのルートから手に入れたんだ?」
トミーが聞いてきたのでレストランの話をする。
「そこは俺も行ったぞ。でも何も言ってくれなかったな」
リックが言った。
「俺も最初は言ってくれなかった。今日あのレストランに行ったのが3回目だったんだけど、教えてくれたんだよ」
「なるほど会う回数を重ねると親密度が上がって対応が変わってくるNPCもいるんだな」
俺がみんなにお茶を配り終えると打ち合わせというか雑談が始まった。
「3本の道のすべての道の途中に小屋があるということはかなり先まで道が伸びているということになるわよね」
「1日で到達することを想定していないのかも」
「ジャングルだしな。戦闘があるから進む速度は落ちるぞ」
皆が思いついたことを言っている。
「タクが今相手をしている魔獣のレベルはいくつなんだい?」
「俺がいま調べているエリアにいるのは176のオークがいるエリア。その場所から霧の街までは道を歩いて3時間ちょっとの距離。小屋はもうちょっと先にあるんだろうね」
「確かに。177、とか178が登場したら小屋が近いのかもしれないな」
スタンリーが言った。時間にして4時間から5時間ほど移動したところになるだろうな。
相談した結果、3パーティとも土の道を先に進んでまずは小屋を見つけることを優先しようということになった。担当場所は変えず、攻略クランが東門から、情報クランは西門から、そして俺と従魔達は北門から進む。
「霧の街の他のNPCが違う情報を教えてくれるかもしれない。こっちで動いてみるよ」
俺たちは土の道を進んでいくが、情報クランの別のチームが霧の街のNPCにコンタクトすることになった。
「仮に途中の小屋の周辺の敵のレベルが178としたら、道が続いている先の何かがある場所の周辺の敵のレベルは180とか181になるのかな。いずれにしてもこっちもレベルを上げないと行けないぞ」
スタンリーが皆を見て言った。
「俺たちの今のレベルが176。道を歩くと言っても左右からオーク、ひょっとしたらまた別の種類の魔獣がいるかもしれない。霧はかかったままだろう。となるとこっちのレベルが178以上はないと厳しいんじゃないかな」
トミーが言って皆が納得している。
俺たちは霧だろうが何だろうが従魔達が先に見つけてくれるが、クランの連中になるとたとえメガネをしていたとしても毎回攻撃で先手を取れるとは限らない。
「トミーの言う通りだよな。そうなるとしっかりとレベルを上げてから進んでいく必要がある」
「急がなくてもいいんじゃないかな。まだ後続組は新エリアに来ていないし、情報の提供をする必要もないだろうし」
リックが言っているがその通りだ。俺たちは新エリアに来たばかりだ。先を急ぐ必要もないだろう。
打ち合わせではとりあえず道を進むがそれぞれのペースで進むことを確認した。
「それにしても本当にいやらしいエリアだよ。ジャングルの中は歩きにくいし遠隔攻撃持ちの魔獣はいるし。遊びアイテムかなと思っていたジャングルのメガネが大活躍するとはあのNMを倒した時には想像できなかったよ」
洞窟のNMのドロップ品のあのメガネもこのエリアの攻略の必需品になるだろうと皆が言っている。
「タクは必要ないだろうけどな」
トミーが俺を見て言った。するとそれまで大人しくしていたリンネが膝の上でミーアキャットポーズになった。
「警戒はタロウとクルミとリンネでばっちりなのです。従魔にお任せあれ、なのです」
「ガウガウ」
リンネが言うとタロウは吠えるしクルミはジャンプする。ランとリーファまでサムズアップをしているよ。実際そうなんだけどな。
「本当に良い従魔達よね」
クラリアが感心した声で言ったよ。




