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テイマー忍者 〜ソロ忍者は従魔と共に駆け回る〜  作者: 花屋敷


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プレイヤーの仕事

「フォレストブラウンオークは物理攻撃、フォレストグリーンオークは魔法攻撃。物理攻撃の中には弓での攻撃も入ってるの」


「なるほど。遠隔攻撃持ちが霧のジャングルに隠れているってことになるのか」


「タクの場合は霧がかかっているジャングルがハンデにならないだろうが、俺たちにとってはものすごくいやらしい、やり難いエリアになってる。これは攻略クランの連中も同じことを言っている。ジャングルのメガネをリックに装備させているんだが、それでも十分じゃない。もちろん装備していないともっと苦労しているだろう」


 メガネをかけて視界は良くなっているがフォレストグリーンオークの緑色が保護色になっているので見つけ難いそうだ。フォレストブラウンオークは問題なく倒せているらしい。


 縁側に座ってクラリアとトミーの話を聞いている俺。


 霧のジャングルでオークを倒した翌日の午前中、工房で焼き物を作っていると2人が家にやってきた。彼らは午前中の活動が終わって今は小休止の時間帯だそうだ。


 その時に情報を交換すると、情報クラン、攻略クランともに道を進んでレベル177のオーク2種類とは遭遇したらしいがレベル178のエリアまでは行けていない。


「遠隔攻撃持ちの緑のオークが霧のジャングルの中から魔法を撃ってくる。茶色のオークも矢を射ってくる。その対応に追われてなかなか進めないんだ」


 彼らのレベルは174だが、加護と装備で実質は+5の179はある。オークのレベルは177だ。それでもいきなり森の中から攻撃をされると討伐に苦労すると言っている。近づかなければ何度も魔法や弓が飛んでくる。なので自分たちが下がってオークを道に誘き出すか森の中に入っていくしかない。


「10メートル程の距離から攻撃してくる。それ以上離れると攻撃してこないの。なので下がったり突撃したりと大変なのよ」


「これから先に進むとリンクするかもしれない。こっちのレベルをしっかりと上げておかないとな」


「森に伸びている道以外にジャングルの中も探索しないとな」


 俺がいうとその通りなんだよと2人も言っている。


「このエリアも簡単に攻略させてくれないな」


 雪原、荒野、そしてこのジャングル。ここ3つのエリアは攻略の難易度が上がっているというのが情報クランや攻略クランの認識だ。


「タクはどう思ってるんだ?」


「もちろん、一筋縄では行かないエリアが続いているなと思ってるよ。ただ幸いに従魔達が優秀なんでね。霧の中でもそれほど困ってはいないかな」


 視界が悪いエリアで先手を取るか、取られるかは攻略において大きな差が出てくる。雪原のエリアでも岩山に扮していたオークに多くのプレイヤー達が苦労させられていたという話を聞いているけど、俺は先にオークを見つけて倒せたので苦労しなかった。


 従魔達の気配感知の能力に助けられまくりだ。そう思っていると膝の上乗っているリンネがミーアキャットポーズになった。


「タロウとクルミとリンネにお任せなのです。早く敵を見つけてぶっ倒しているのです」


 それは間違いないぞ。

 リンネが言うと2人からそうだよね、タクの従魔達は皆優秀だよねと言われて尻尾を振って喜んでいるよ。


 リンネを見ていたトミーが俺に顔を向けた。


「スタンリーとも話をしているけど、タクは引き続き北方面を頼む」


「了解」


「お任せあれ、なのです」


 

 話題は後続組の話になった。と言っても俺はほとんど情報を持っていないのでもっぱら聞き役だよ。


 メサのNMには数パーティが挑戦したらしいが、170以下のレベルで挑戦していることもあってまだ勝利したパーティは出ていないそうだ。


 そんな中で掲示板ではメサのNMに勝つにはまずレベルを170に上げて、雪原のNMから得られる加護でレベルを1つあげる。これが必須じゃないかというやりとりをしているらしい。もちろん強化は最大まで強化済みという前提での話だよ。


「情報クランはドロップ品については公開しているけど、詳しい攻略方法までは公開していないのよ。そこはプレイヤーで考えてねというスタンス」

 

「あいつは物理攻撃メインだろう?結局ガチの殴り合いになるんだよ。俺たちが攻略方法を出すまでもない」


「ボスNMの推定レベルは言ってるんだろう?」


「それは公開してる。推定で179か180だってね」


 強化と加護でレベルを3上げる。これが挑戦の条件になるというのが掲示板のやりとりで出ている結論らしい。6レベルか7レベル上の相手を30分で倒す。やってやれないことはないよな。


「メサの熊のNMはとにかくドロップがいい。あれを狙わない手はない」


「うん、確かにあの盾と靴はこっちのエリアでも十分に使える優れものが多いよ」


 いずれあのNM戦が混むのは見えている。だから混む前に挑戦しているらしいが、勝てていないそうだ。後続組はそっちがメインになりつつあるのでエリアボスに挑戦するパーティが出るのはまだまだ先になるだろうと2人が言っている。


「それで新エリア。ジャングルのエリアに来たら洞窟でのミニレイド戦でドロップを狙うのよね」


 どうやら洞窟のNM戦をミニレイド戦という表現で情報公開したらしい。名前はともかくあのNM戦では宝箱から転移の腕輪、フォグの魔法や透明な神魂石が出るのでこれ狙いになる。


「でもさ、そうやって少しずつ装備を整えていくのが本来のゲームの楽しみ方だよな」


 俺が言うと2人もその通りだと言ってる。


 

 午後になって俺たちは霧の街のコテージに飛んだ。北門から外に出ると今日はわざと道から外れてジャングルの中に入ってみる。


「まずは道の左側のジャングルの中の探検だ」


「はいなのです」


「ガウ」


 こっちのレベルは174。街の周辺の猿とジャガーのレベルは174、175。はっきり言って倒すのに苦労する相手じゃない。ただ歩きにくい。密林になっていて道もなく、地面にも草が生えていたり、大きな木の根が伸びていたりする。リアルに作られている。リアルすぎて本当のジャングルにいるみたいだよ。しかも視界が悪い。ジャングルの中もしっかりと霧が出ている。


 タロウとリンネとクルミが周囲を警戒し、相手よりも先にこちらが敵を見つけるので危ない場面はない。ジャガーと猿を倒しながら森の中を進んでいくけど、今のところジャングルの中には何もない。


 街から近い場所なのでセーフゾーンや小屋があるとは思えないけど、それでも一応探索しないとね。


この日は敵のレベル174,175のエリアを徘徊したけど、特に何も見つけられないまま探索を終えるとそのまま霧の街の北門から市内に入った。ポンチョを着るとすぐにクルミがフードの中に入ってきた。


 成果はなかったけど従魔達は敵を倒せたので満足しているよ。


「主、これからお家に帰るのです?」


「その前にこの街のレストランに行こうと思ってるんだ」


「タロウとクルミとリンネが主のためにお店を探すのです」


 俺がレストランに行くと聞いてリンネは頭の上に乗り、クルミはタロウの背中に乗ってキョロキョロとしてくれる。市内を歩いているとタロウがガウと吠えた。


「そこを左に行くのです。そこからいい匂いがしているのです」


「わかった。ここを左だな」


 大きな通りから左に入って少し歩くとウッドテラス席のあるレストランが目に入ってきた。 ”サファリ”という木の看板がある。


「こんにちは」


 テラス席に座ると猫族の給仕の女性がテーブルにやってきた。


「おすすめの料理は何ですか?」


「お店のおすすめ料理はビーフシチューです」


 水牛の肉のシチューだそうだ。それとサラダを注文した。

 座っている俺の隣、ウッドテラスの上でタロウが横になってリラックし、今はクルミが俺の頭の上に乗って、リンネは膝の上に乗っている。


「明日もたくさん敵をぶっ倒すのです」


「そうだな。明日も頑張ろう」


 料理が運ばれてくると何も言わなくてもクルミは頭の上からポンチョのフードの中に移動した。出来た子だ。


「美味いな」


 一口食べると思わず口に出したよ、本当に美味しい。


「美味しい料理を沢山食べて元気になるのです」


 料理を食べ終えたタイミングでコックの格好をしている恰幅の良い人族の男性が俺たちのテーブルに近づいてきた。


「プレイヤーさんに食べてもらうのは初めてだったんだよ。どうだい?シチューの味は?」


「とても美味しかったです。この水牛はこの辺で獲れるんですか?」


「そうだよ。ここはジャングルの中だ。魔獣もいるが動物もいる。野菜もある。食材には困らないな」


 この人はリヨンさんと言ってこの”サファリ”のコックさん兼オーナーらしい。


「ジャングルは魔獣が多いだろう」


「ええ。俺たちは南門から入ってきたんですけど、今は手分けして東、西、北門から伸びている道に沿って探検してるところです」


 俺が言うとなるほどと頷いているリヨンさん。


「それぞれの門からジャングルの中に道が伸びてますよね」


「そりゃそうだよ。深いジャングルだ。道がないと迷っちまう」


「あの三方向の道の先の全てが街に続いているんですか?」


「それを探すのがプレイヤーさんの仕事じゃないのかい?」


 言われてみたらその通りだ。俺がその通りですと言うと頑張れよと言われたよ。何か教えてくれるかなと思ったけど考えが甘かった。


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