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テイマー忍者 〜ソロ忍者は従魔と共に駆け回る〜  作者: 花屋敷


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ボスはお休みなのです

 透明な神魂石は前の荒野のエリアにあるオアシスの街にある強化屋に持ち込んでバンダナを強化した。これで14段階の強化になった。強化屋のラムズさんが透明な神魂石を使ってバンダナを強化した後でこの石を2つ使って強化したことでレベルで1は上がっているぞと教えてくれた。これでまた戦闘が少し楽になる。


 洞窟前での戦闘を通じて相当な経験値を稼いだみたいで、翌日に霧の街の外でジャガーや猿を倒しているとレベルが172に上がった。従魔達もレベルが上がったので大喜びだ。でも考えたら相当数の敵を倒していたからな。22名のアライアンスを組んでいたとしてもかなりの経験値が入っていたのだろう。


 霧の街は強化系の店はないが、それ以外の店はあるし街の規模も大きい。クラリアやトミーによると時間をかけてレベルをあげろという意図だろうと言っている。


 NMに勝利した翌日の夕刻に自宅に遊びにきた2人が教えてくれた。


 その情報クランだが、洞窟でのNM戦が終わったあと、それまでまとめていた情報と一緒に一気に公開したそうだ。当然ながら大きな反響があったらしい。


「荒野のメサの洞窟でのNM戦の情報、エリアボス戦の情報、次のエリアの情報。大規模NM戦の情報。いずれもプレイヤーの間で好評でね、リンネじゃないけどウハウハだよ」


 縁側でお茶を飲みながらトミーが言った。クラリアも予想以上に情報が売れているんだと言っている。


「多くのプレイヤーがメサのNM、スローターワイルドベア戦に挑戦しようとして、強化、金策の最中だ」


 そりゃそうだろう。ドロップが優秀すぎるもの。


・500,000ベニー

・神魂石(全6種類)

・大地のパラディン

・大地の靴 (全ジョブ)

・スローターワイルドベアの牙

・大地の加護


 盾や靴は強化可能だし、大地の加護は実質レベルを1押し上げる。


 俺が言うと2人ともその通りだと言っている。その前のエリアの雪原のNM戦も相変わらず混雑しているそうだ。新しいNM戦があり、良いものを落とすとなれば皆それ狙いになる。


 しっかり強化をしてメサのNMに挑戦し、エリアボスを倒した後は集団戦でまたドロップを狙うという流れになっている。


「ただ荒野のエリアで俺たち先行組と後続組とは大きく差がついている。彼らが新エリアにくるのはまだまだ先の話になる」


「メサのNMから得られる装備を強化するお金と神魂石も必要だしね」


「その通り、でもあのドロップ品は時間をかけても狙う価値はあるわよね」


 そりゃそうだ、あれがあればエリアボス戦も楽になるし、何より新エリアの最初の街である霧の街では装備に手をつけられない。前のエリアでしっかりと強化しておく必要がある。


「タクは透明な神魂石は強化したの?」


「うん、バンダナに使った。オアシスの街の強化屋のNPCに聞いたら透明な神魂石を2個使ってバンダナを強化したことでレベルが1は上がっていると言われたよ」


「となると実質+18レベル上か。また強くなってるな」


「主はいつも一番なのです。当然なのです」


 俺の膝の上に乗っているリンネが言った。ランとリーファを背中に乗せて庭を散歩しているタロウもガウガウと吠えている。


「それでね、フォグの魔法狙いでまた挑戦したいのよ。あのドロップで確定したとは限らないけどあと3つ欲しいのよね」


 魔法使いの人は皆持ちたいだろうな。


「こっちは問題ないよ。いつでも協力させてもらいますよ」


「させてもらいますよ。なのです。主を頼ると安心なのです」


「いや、頼って安心なのはリンネとタロウとクルミだろ?」


 そう言うがリンネは俺だと譲らない。相変わらずの俺推しだよ。

 こんな時は撫でてやるに限る。背中を撫でると案の定尻尾を振って大人しくなったよ。ちょろいな。


「やるとしたらタクは透明な神魂石狙いか?」


 トミーが聞いてきた。


「そうなるね。あれはいくら有ってもいい石だと思ってる」


「確かにな。だから俺もあの石狙いだ」


 初回、トミーは抽選で外れている。

 問題はボスの出現がランダムだということだよ。フィールドNMだったら討伐後2時間でリポップするが、今回はAIがランダムだと言ってる。そこが普通のフィールドNMと違うところだ。


 それを検証するために、情報クランは連続して戦闘をしてみたいと考えているそうだ。何戦かすることで傾向を掴みたいと言っている。2回に1回ボスがでるのか、3回に1回なのか。それは数をこなさないと分からない。


 フォグの魔法も含めたドロップ品狙いというモチベがあるので皆連戦でも問題ないと言っている。俺も経験値は入るし、石が狙えるのなら問題ないね。しかもまだこのエリアには後続組は誰も来ていない。やるのなら今だよ。



 2日後に俺たちは霧の街のコテージに集合した。この日は休憩を挟んで3戦やる予定。

午前中に1戦、午後から2戦。なのでこの日は畑の世話をしたらその足で霧の街に飛んだ。


「主、今日もあの大きなお猿さんをやっつけるのです?」


「そうだ。でも雑魚を倒したからと言ってあいつが出てくるかどうかは分からないんだよな」


「出てきたらタロウとクルミとリンネにお任せなのです。とっちめてやるのです」


「その時は頼むぞ」


 コテージがある広場で従魔達と話をしているとそこにスタンリーがやってきて腰を下ろして従魔達を見た。


「今日も頼むよ」


「はいなのです。ばっちこいなのです」


「ガウ」


 従魔の返事を聞いたスタンリーが立ち上がって俺を見た。


「タクもよろしくな」


「こちらこそ」


 全員揃ったので南門から洞窟に向かう。橋を越えるとリンネが道路の左右の森の中に敵の気配があると言う。


「大きな奴がいるかどうかは分からないか」


「大きな気配はないのです」


「森の奥から出てくる設定になっているのかもしれないな」

 

 俺とリンネのやり取りを後ろで聞いていたトミーが言った。俺たちは洞窟に入る前に撒菱を土の道にばら撒いた。こいつが結構有効なんだよな。


 洞窟の中で最後の打ち合わせをする。


「こっちのレベルが上がってるから多分雑魚の魔獣の処理はこの前よりも早くなるとおもうのよ。問題はボスが出てくるかどうか。これはタクの従魔達にお願いするわね」


 そう言ったクラリアが俺たちの方に顔を向けた。従魔達は任せろとジャンプをしたり尻尾を振ったりしている。


「やろうか」


 その声で全員が位置についた。基本のフォーメーションは前回と同じ。初回も雑魚退治では苦労しなかったので変更する必要はないよ。


 空蝉の術を唱えた俺が森の中に足をいれて戦闘が始まった。

 今回も撒菱で足を取られるジャガーと猿を次々と倒していく。相手のレベルは変わっていない。こっちのレベルが上がった分討伐が楽になっているよ。


 魔法使いの連中も一度経験しているので前回よりもメリハリをつけて魔法を撃っている。もちろん途中でMPポーション飲んで魔力を回復する必要はある。でも前回よりも大胆にやっている感じだよ。


 戦闘が始まって2時間が経つと敵が襲ってこなくなった。

 全員が黙って前にいる俺の従魔達を見る。


「ガウ」


「静かなのです。大きなゴリラさんが来ないのです」


 タロウとリンネの声を聞いて全員の緊張が解けた。


「今回はボスは登場せずだったか」


「一旦霧の街に戻りましょうか」


 街に戻ると南門から近いギルドに集まった俺たち。


「フィールドNMなら2時間でリポップだけど、AIの通りランダムだったな」


 前回の対戦から時間が経っているが現れなかったのでAIの言う通りだったよ。AIを疑ってる訳じゃないんだけどこうやって確認をしないと。


 そうなると連続してポップすることもあるよなという声が出た。確かに逆もあり得る。

 一旦ログアウトして1時間後にここで待ち合わせになった。午後からは連戦するので一度ログアウトしておいた方が安心だよ。


 リアルの用事を片付けて再びログインした。ランとリーファにはお留守番をお願いしてからオアシスの街に飛んだ。すでに半分以上のメンバーが揃っていて、俺が着いた後も次々とメンバーがギルドに入ってくる。


 全員が揃うと再び洞窟の出口に向かう。もう慣れたものだよ。入り口に撒菱を巻いて準備完了だ。


「行くよ」


 そう言った俺が森の中に足を踏み入れるとすぐに奥から魔獣が集まってきた。



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