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テイマー忍者 〜ソロ忍者は従魔と共に駆け回る〜  作者: 花屋敷


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洞窟の戦い その1

 当日、俺たちは集合時間よりも前に霧の街のコテージ広場に飛んだ。すでにトミーがいた。


「早いな」


「そっちもな」


「俺たちのパーティは少し前に来て外で敵を倒していたんだよ」


「なるほど」


 彼らと雑談をしているとクラリアらのパーティメンバーがコテージから出てきた。顔見知りのメンバーと話をしていると、待ち合わせの時間が近くなり、ログインしているメンバーが次々と集まってきた。タロウは俺の横で尻尾をブンブン振って歓迎しているし、クルミは俺の肩の上に乗ってジャンプしている。うん、歓迎の意を表しているな。


「主のお友達が沢山集まってきたのです」


 頭の上に乗っているリンネが言った。


「今日は沢山の敵を相手にするんだ。頼むぞ」


「ばっちこいなのです」


 横に立っているタロウの背中を撫でながら頼むぞというと尻尾をこれでもかという位に振ってきたよ。最後に肩に乗っているクルミを抱き抱えて撫でながら頼むぞと言った俺。クルミも尻尾を振って任せろと言ってるな。


 このエリアに来ているのは今のところ俺たちだけだ。なのでこのコテージ広場で打ち合わせをすることになった。


・とりあえず俺たちが出てきた洞窟まで行き。そこで戦闘をする。

・1列目には中央にパラディンが2人と上忍と前衛ジョブ。

・2列目には前衛ジョブ、パラディン、神官とハンター

・3列目に魔法使いの部隊


・1列目は適宜2列目の前衛ジョブと交代して回復する。

・タロウとリンネは自由に動く、上忍も疲れたら2列目と交代する。


 打ち合わせをまとめるとこんな感じだ。


 全部で何体襲って来るのか、戦闘時間がどれくらいになるのか。全く予想がつかないので詳細まで詰めることができない。ある程度は行き当たりばったりにならざるを得ないよ。


 打ち合わせが終わると南門から洞窟に続く道を歩く俺たち。間違ってもこの土の道から外れてはいけない。


「街の周辺の敵のレベルが174だった。襲ってくるのもそれくらいのレベルだろう」


「それより1つ2つ高い位ならなんとか対応できるぞ」


「問題は神官や魔法使いの魔力が持つかだよな」


「戦闘で終わりってあるのか?あのあたりの敵を全部倒さないとダメなのか、ある程度倒したら襲ってこなくなるのか」


「他のゲームでさ、外から攻撃してくる敵を要塞に立てこもって迎え撃つってゲームがあったじゃない。弱い敵からだんだん強くなるとか、相手の攻撃が第一波から始まって二波、三波とか続くやつ。あんな感じかもね」


 皆好きなことを言ってる。聞いていて面白いよ。俺は楽しければいいと思っているので来るなら来いって感じだ。


 そんな話をしていると来た時に渡った橋が見えた。橋を越えるとすぐに頭の上から声がした。


「敵がこちらを見ているのです」


「何体いる」


「あちこちに沢山いるのです。主が動くと敵も一緒に動いているのです」


 俺とリンネのやりとりを聞いていた他のメンバーが真剣モードになる。

 

 洞窟に入るとみな大きなため息をついた。それから戦闘準備だ。俺は3体の従魔達を集めるとその前にしゃがみ込んで彼らを見る。


「クルミは一番前に立っている仲間に魔法壁の魔法をかけるんだ。前の人が交代したら次の人にかけるんだぞ。スロウの魔法は撃っても撃たなくてもどちらでもいい。数が多いからな」


 クルミは分かったとその場でジャンプした。


「リンネはガンガン魔法を撃ってよし」


「シンプルなのです。わかりやすいのです」


「タロウも好きに動いていいぞ。数が多いから敵の攻撃を受けない様にしてくれよ」


「ガウ」


 従魔達にはこれで十分だろう。うちの従魔達は強い。好きにさせた方が結果を出すのを知っている。


 俺は持ち物を確認した。ポーション、サーバントポーションはある。そうだ洞窟の前の道に撒菱を撒こう。少しでも嫌がらせになるだろう。


 俺がその話をしたらそりゃいいアイデアだとなって洞窟から10メートルほど先までの道の上に撒菱を撒いた。


 準備が完了した。


 戦闘開始は俺が道から外れて森に足を踏み入れるところからだ。蝉があるから即死しないという事だよ。


 最初のポジションは1列目に左からスタンリー、ジャック、リックス、俺の4人になった。5人だと剣を振るスペースがなくなる。トミーやダイゴなどは2列目だ。


「準備はいいかな?」


 俺が振り返ると全員がオッケーと返事をしてきた。


「じゃあ始めるよ」


「主が一番なのです」


 この一番は関係ないけどな。

 洞窟から出た俺は右の森に足を踏み出した。4歩ほど踏み出すと奥から何かが近づいてくる気配がした。


「来るぞ」


 ダッシュで戻って準備をすると、数秒後に左右の森の霧の中からジャガーが飛び出してきた。レベルは175だ。パラディン2人が左右に挑発スキルを発動した。

 

 撒菱を踏んでその場で飛び上がるジャガー。それでも近づいてくると一斉に攻撃が始まった。左右から合わせて20体ほどのジャガーが道に出てくるが撒菱を踏んで突撃してくるスピードが落ちる。そこに剣と刀、それに魔法が命中すると次々と倒れて消えていく。


「撒菱が効果があるな」


「この調子でやろうぜ」


 声を掛け合いながら森から出てくる魔獣を迎え撃つ俺たち。タロウも俺の横から身体を出すと蹴りをかましてジャガーを背後に吹っ飛ばしている。


「タロウ、その調子だ」


「ガウ」


 倒しても奥からどんどん魔獣が湧いてくる。最初はジャガーだけだったが途中からゴリラの様な猿が現れた。手が4本あってブンブン振り回してくるがそいつらも撒菱を踏んでスピードが落ちる。


「氷弱点」


 マリアの声が飛んだ。魔法部隊が氷の精霊魔法をぶつける。


「20分経過、2列目と交代して」


 20分で交代する作戦だ。クラリアの声がして俺たちは下がり、2列目が前に出た。タロウも下がると俺に身体を寄せてくる。しっかり撫でてやるよ。リンネとクルミがタロウの背中に乗ってきた。彼らもしっかり撫でてやる。


「大丈夫か?」


「タロウもクルミもリンネも大丈夫なのです。まだまだいけるのです」


「うん。でも今はしっかり休むんだ」


「はいなのです」


「こりゃ面白いな」


 大剣を振り回しながらトミーが言っている。声の調子から楽しんでるのがわかるよ。


「こんな戦闘スタイルはPWLで初めてだよ」


 皆楽しんでるよ。

 魔法使いは魔力を使うので交代で休み、魔力を補充して回復をすると魔法を撃っている。


 霧の向こう、森の中から絶え間なく魔獣が襲ってくる。それを次々と倒している俺たち。戦闘が始まって80分が過ぎた頃、メンバーの端末が次々と鳴った。レベルアップだ。俺の端末も少し遅れて鳴り、レベルが171になった。レベルアップの時間がずれているのは霧の街の外で魔獣を倒した数が違うからだろう。


 1時間半が過ぎると流石に疲れてくる。終わりがわからない戦闘はきつい。ただうちの従魔達は別だ、戦闘開始の時と変わらずにガンガン敵を倒している。敵のレベルは依然として175で変わらない。


 ジャガーと猿が左右の森の中から絶え間なく襲いかかってくる。それを剣と魔法で退けている俺たち。


 リンネが右の木の上に魔法を撃った、魔法が命中して猿の魔獣が木から落ちる。次に左の木に魔法を撃つと、そこからも猿の魔獣が落ちた。


「木の上からもくるぞ」


「魔法部隊は木の上もよく見て」


 リンネの魔法を見てメンバーが声を掛け合う。このアライアンスのチームは何度もエリアボス戦をした仲なのでチームワークがいい。俺は目の前の敵に刀を振りながら木の上にいる魔獣に気がついたリンネを褒める。


「ナイスだぞ、リンネ」


「主、もっとリンネを褒めるのです」


「見事だぞ。その調子でガンガンやっちまえ」


「ガンガンやってやるのです」


 リンネが魔法で木の上の魔獣を倒せば、タロウはジャンプからの蹴りで近づいてくる猿やジャガーを倒しまくる。クルミも何も言わなくても皆に魔法壁を掛け直しているし、うちの従魔達は本当に優秀だ。


 戦っているとアイテムが入る音がする。おそらく神魂石や印章がランダムでプレイヤーに配れているのだろう。俺たちは次から次へとやってくる猿やジャガーを相手に戦闘を続けていた。



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