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テイマー忍者 〜ソロ忍者は従魔と共に駆け回る〜  作者: 花屋敷


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霧の街

 彼らと別れてから、街の地図作成クエストを受けた俺はまずはテイマーギルドを探す。これはどの街でも変わらない。


 テイマーギルドは東門の近くにあった。中に入るとここも猫族のNPCが2人カウンターの向こう側に立っていた。名前はビアンカさんとアレッタさん。


「皆タクさんに懐いていますね」


「親密度もマックス。何も問題ありません」


「よかったですよ」


 クルミが2人のNPCの前で何度もジャンプしている。


「そうなんだ。タクさんが大好きなんだね」


 そう言うとまたその場でジャンプするクルミ。

 お礼を言ってテイマーギルドを出るとマップを作成がてら街の中を歩く。例によって俺たち以外にプレイヤーがいないので通りも歩きやすい。


 大通りを歩いているんだけど武器屋、防具屋、それに強化屋の看板がないんだよ。俺は目についたアイテムショップに入った。中に入るとポーション類やNQの腕輪なんかが売ってある。


「こんにちはなのです」


 リンネが声をかけると奥から人族のおっちゃんが出てきた。


「いらっしゃい、プレイヤーさんか」


「こんにちは。見させてもらっていいですか」


「遠慮なく見てくれ。ただ兄ちゃんが今装備しているのより良いアイテムは残念ながらこの店には売ってないぞ」


「そうなんだ。ところでこの街には武器屋や防具屋ってないんですか?あと強化屋さんも」


「武器、防具を売っている店はない。強化屋もない」


「ないんだ」


「あんた達はここにくる前に大金を使って装備を強化しているだろう?それらの装備はこのエリアでも十分に通用するよ」


 なるほど。そう言う事か。

 確かに前の荒野のエリアが大金を注ぎ込んで12段階強化した武器がエリアが変わるとまた新しい装備に買い替えとなったらプレイヤーから不満が出るだろう。ちなみに忍具店も無いと言われたよ。


 店の人はこのエリアで通用すると言っている。つまりそのエリアの意味とはエリア全体を指しているのか、それともこの街の周辺を指しているのか。どっちなんだろうな。


 いずれにせよ装備系の更新はない。となるとエリアを攻略するには既存の装備でレベルを上げていくしかないということだ。


 まだ街は全部見てないけど大通りは歩いてみた。俺が通りを歩く間は従魔達は大人しくしてくれている。タロウは相変わらず歩く時に大きな身体を俺に寄せてくるがこれがタロウの好きな歩き方だというのは知っている。クルミはタロウの背中に乗ったり俺の肩に乗ったりしてキョロキョロしているよ。新しい街は見るところが多いよな。


「主、これからどうするのです?」


 頭の上から声がした。リンネの指定席だ。


「うん、一度この街のコテージに戻るよ。そこから自宅に戻る予定」


「はいなのです。コテージまでお散歩なのです」


 人が少ない通りを歩いてコテージに戻ると情報クランのメンバーが広場に集まっていた。


「街の中を歩いてきたのかい?」


 俺たちを見つけたトミーが聞いてきた。


「そう。装備系の店はないんだってね」


「そうみたいだな」


 彼らに呼ばれて集まっている広場に近づくと10名のメンバー、エリアボスを倒した時のメンバーが皆そこにいた。


「そっちは何してたの?」


「手分けしてぐるっと街を一回りしてきたのよ。目的はお店やギルドの確認ね。この街は広いけどプレイヤーが必要とする装備を売っているお店はない。アイテムショップはあったから薬品系の補充はできるわね。あと携帯食料を売っている店もあったの。ここを起点にして活動してレベルを上げろってことね」


 皆考えることは同じだ。この街はレベル上げの拠点という扱いだ。


「タクは外に出たか?」


「まだ。そっちは出たの?」


「これからだよ。どんな魔獣がいるか、そのレベルはいくつなのか。検証を兼ねて出る予定なんだ」


 そう言っている情報クランだがとりあえず街の周辺の魔獣を調査するそうで、川の向こう側には行かないと言っている。


「リンネの話だと多数の魔獣が一斉に襲ってくるって話だからな。調査する時は攻略クランと一緒にやろうかって話をしている。タクも一緒にどうだい?」


「それは是非頼むよ」


 俺も自分で見るというか経験してみたい。今までにないパターンだと思うので自分も参加させてくれと言ったよ。


「戦闘不能になってもこの街の転送盤は開通させているからな、思い切ってやれそうだ」


 他のメンバーが言っているがその通りだよ。

 数日後になると思うというので連絡を待つことにした。



 彼らは東門から外に出ていった。それを見送った俺は彼らと違う門から外に出ることにする。地図を作成がてら街中を北方面に歩いていくと北門が見えてきた。


「ここから外に出るぞ」


「魔獣をぶっ倒してやるのです」


「ガウ」


 従魔達もやる気十分だ。

 前のエリアの敵で一番レベルが高かったのが確か172だったと思う。なので普通に考えたら173とか4の敵になるはずだ。


 北門から出ると早速霧がかかっているジャングルだ。土の道は北に伸びているが霧がかかっている上に、蛇行しているので先まで見えない。


 クルミの魔法壁、リンネの強化魔法をもらって外に出て道を歩いているとすぐにタロウが右に顔を向けて小さく吠えた。


「木の上なのです」


 なるほど。地面じゃなくて木の上か。

 道を外れて森に入ると木の上から小さなゴリラの様な魔獣が襲いかかってきた。手足が6本ある。足が2本と手が4本だ。その4本の手を振り回して襲ってきた。


 横に飛んで攻撃を避けながら刀を振るう。すぐに魔法と蹴りが魔獣に飛び次の俺の刀で魔獣が光の粒になった。


(ミント、この魔獣はとレベルは?)


(はい。ジャングルモンキー レベル174です)


 ゴリラと思ったら猿だったのか。猿でこの大きさなら奥に行くともっと大きなそれこそゴリラがいそうだよ。


 次に相手をしたのはフォレストジャガーという魔獣だ。レベル174。こいつは地上にいて木の陰から襲ってきた。ジャガーに似ているが前の牙がでかい。噛みつかれたら相当体力を持っていかれるのは間違いない。木の上と木の陰、大変な条件だけどこっちは事前に敵が隠れている場所がわかっていたので慌てずに対処できた。ただ、普通のプレイヤーだったらこれはかなり厳しいぞ。深いジャングルと霧。木の上と木の影から襲ってくる魔獣。


 簡単にジャングルの奥に進んで行ける感じじゃない。森の精霊のバンダナがあるダンジョンの上層階と同じ感じだ。視界が悪く魔獣は木の上からも襲ってくる。


 当たり前の話だがジャングルの中にある土の道が安全というわけじゃない。今もジャガーの魔獣が俺たちが歩いている道の上に立ってこちらを睨みつけていたかと思うと襲いかかってきた。


 ただこっちは174の敵は敵じゃない。さっくりと倒すと神魂石がドロップした。このエリアでも出るんだ。


 霧の中、ジャングルで1時間程魔獣を倒した俺たちはその場から転移の腕輪を使って開拓者の街にある自宅に戻ってきた。


 クールダウンしているといつもの4人がやってきた。マリアは早速タロウを撫で回している。


「きつそうなエリアだな」


 縁側に座るなりスタンリーが言った。他の2人も簡単じゃないと言っている。同感だよ。


「街の外は全てがジャングルでしかも霧だ。さらに魔獣が木の上からも襲ってくる」


「木のダンジョンよりもきついかも」


 タロウを撫でて満足した表情のマリアが言った。彼らも街の周辺で猿とジャガーを相手にしたらしい。神魂石がドロップしたのも俺と同じだ。


「タクはそれほどきつくなかったんじゃない?」


「そうだね。タロウやリンネが先に敵を見つけてくれる。先に見つけられたら問題ないね、相手のレベルも低いし」


 聞いてきたクラリアにそういうとやっぱりねと言われたよ。


 情報クランはまだエリアボス戦の情報や新しいエリアの情報は公開していないそうだ。後続がまだまだ時間がかかるからというのと、新エリアの出たところの道の左右の状況、たくさんの魔獣が襲ってくるという状況を経験した上でまとめて公開する予定らしいよ。


「その洞窟を出たところの魔獣との戦闘だけどさ、明後日の午後を考えているんだけどどうかな?」


「問題ない。是非お願いします」


 彼らは俺がログインしている時の午前中は自宅で作業をしているのを知っている。気を使ってくれて午後からと言ってくれたんだろう。


 2日後の午後に霧の街のコテージ集合になった。


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