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テイマー忍者 〜ソロ忍者は従魔と共に駆け回る〜  作者: 花屋敷


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クルミの身体が光った

「早かったんだな」


 俺たちが洞窟に入るとトミーが言った。


「早めに来て経験値を稼いでいたんだよ。今169なんだけど、もうすぐ上がるんじゃないかと思ってたんでね」


 前回同様に洞窟の中の地面の上に思い思いに座るメンバー。


「ガウ」


「うん、ありがとうな」


 タロウの背枕をすると尻尾をブンブンと振ってくれている。


「揃ったので始めましょうか」


 司会役のクラリアの言葉で打ち合わせが始まった。

 ここから北西に1時間ちょっと移動したところにあるメサの中に、エリアボスとの戦闘フィールドに飛ぶための転送盤があるそうだ。


「転送盤で確認したのは人数は最大で25名、制限時間は2時間」


 クラリアが言うと攻略クランのメンバーから今回は時間制限があるのかという声がした。俺もびっくりしたよ。


 今までの経験だとエリア上限レベル+30というのがボスのレベルだった。今回もこれを継承しているだろうとメンバーが言っている。


「2時間か、短い気がする」


「その分今までのボスより弱いかも」


「いや、そうじゃないだろう。強さは変わらないと思うぞ」


「仮に以前と同じ強さだとしたらシビアな戦闘になりそうね」


 10名のクランメンバーが思ったことを言い合う。俺はこれを聞くのが結構好きなんだよな。自分と違った視点からの意見が出るので聞いていて納得させられることが多い。でも確かに2時間はきついな。今までの戦闘時間は2時間超えが普通だったし。でもそうなっているのなら仕方がない。こっちはやるだけだよ。


「ここから北にあるのはボス戦のメサだけ?」


「タク、どう言うこと?」


「いや、せっかくここまで来ているんだからさ、ボス戦に挑戦する前にエリアを全部調査してもいいかなと思っただけ。ボス戦はいつでもできるだろう?」


「俺はタクの今の意見に賛成だな」


 トミーがそう言うと続ける。


「後続組がここまでくるのはまだまだ先だ。俺たちだって急いで次のエリアに行く必要もない。まだ探していない場所があるんだからそっちを調べたらどうかな。その間にタクのレベルも170になるだろうし」


「そうだな」


 俺の意見が通り、ボス戦の前にエリアを徹底的に探索することにする。情報クランは西側を、攻略クランは東側、そして俺と従魔達は中央を進むことになった。


 この方針は俺にはありがたい。トミーが言っている様に探索をしている間にレベルが上がるだろう。今まではエリア上限以下のレベルでボス戦に挑戦して勝ってはいるけど、これが毎回そうだとは限らない。レベルは上げた方が良いに決まっている。それに170になったら従魔達に何か変化があるかもしれない。


 打ち合わせが終わると攻略クランと情報クランがセーフゾーンから右と左に別れて出ていった。俺はまっすぐに北を目指す。


 周辺の魔獣のレベルは170だがこれは問題ない。

 打ち合わせの時は大人しくしていた従魔達だけど、セーフゾーンを出て北に進みだすと任せておけとばかりに頑張ってくれるんだよ。


 セーフゾーンから20分程北に進んだところに大きなメサがある。その周囲を見て何もないことを確認してまた北上する俺たち。

 

 熊のレベルが171になり、それを倒した時にレベルアップが来た。


(このエリアの上限に達しました)


 という脳内アナウンスと同時にクルミの身体が光に包まれた。


(今の光は?)


(はい。クルミの能力が上がりました。具体的にはスロウの効果が8%になりました。効果時間は変わりません。また魔法壁のダメージバックが18%なりました。効果時間は変わりません。


 スロウが7%から8%になったのか。これは大きい。そして魔法壁も17%から18%になった。1%であっても長期戦では効いてくる。エリアボス戦の前にこれはいいぞ。


 その場で座っているクルミの前にしゃがみ込んだ。


「クルミ。また強くなったぞ」


 スロウと魔法壁の効果アップを伝えるとその場で綺麗なバク転を決めた。大喜びだよ。タロウとリンネも尻尾をブンブンと振っている。


「クルミが強くなったのです。タロウとリンネもレベルが上がって強くなったのです」


「その通りだ。皆強くなったぞ」

 

 そう言って3体の従魔をしっかりと撫でてやる。


 レベルが170になった。それと装備や加護を足すと俺の実質レベルは187程になる。

ボスが俺たちよりもレベルで30上としてレベル200。レベル差13なら攻撃を避けられる気がするよ。蝉もあるし。


 その後も北に進みながら進行方向にあるメサをチェックしていると北の山裾が見えてきた。敵のレベルは172に上がっている。


「北の端に着いたのです」


「そうだね。ここから左右に動いて何かないか探してみよう」


「みよう、なのです」


 どっちに行ってもいいんだけど、山裾に沿って東側に進むことにした。熊の魔獣のレベルは172になっているが問題ない。40分ほど歩くと向こう側から近づいてくる攻略クランの連中の姿が見えた。


「こっち側は何もなさそうだな」


「そうみたいだね」


 今度は彼らと一緒に山裾を西に進む。進み出して1時間ちょっとで情報クランのメンバーと合流した。これで決まりだ。北の山裾には何もない。俺たちは一度開拓者の街に戻ることにした。皆転移の腕輪を持っているからね。集合場所は俺の家。


「ランとリーファが留守番をしてくれている自宅に戻るぞ」


「ガウ」


「はいなのです。お家で作戦会議なのです」


「その通りだ」


 自宅に戻って用意をしていると攻略クランの5名と情報クランの5名が庭から入ってきた。自宅に戻ったので従魔達は皆庭のあちこちでリラックスモードだ。代わりにランとリーファがやってきて俺の両肩に座る。


「エリアボス戦なんだけど、うちのもう1つのパーティがまだレベル170になっていないのよ」


 クラリアが言うと攻略クランも同じ状況らしい。

 情報クランのもう1つのパーティは街のNPCに話かけて情報をとる担当なので外で魔獣を倒す時間が少なくなりがちなんだそうだ。


 クラリアやトミーのパーティはフィールドを攻略してそこで情報をとる。他のメンバーは分担して街のクエストをこなしたり、NPCに話かけたり、時には他のプレイヤーと話をしたりして情報を集めている。どうしても攻略しているパーティのレベルの上がりが早くなるのは致し方ない。特に今攻略しているエリアは広くて複雑であり、さらに強化に石と金がかかる。聞いたらまだ168になったばかりだそうだ。


 一方で攻略クランのもう1つのパーティはレベルは169になっているが強化がまだ全て終わっていないらしい。


「なのでボス戦はもう少し先、どうだろう来週早々くらいになると思うの」


「俺のところもそれくらいだろう。タクはそれでいいかな?」


「全く問題ないね。その間に焼き物を作ったりする時間ができるから。なので来週早々のタイミングが後ろに伸びても俺は問題ないよ」


「そういえばタクが170になって従魔達に変化はあったのか?」


 スタンリーが聞いてきた。それで思い出したよ。

 クルミのスロウの効果が7%から8%になったこと、魔法壁のダメージバックが17%から18%になったことを言うと皆すごいなと言う。皆1%のアップの効果が大きいことを理解している。


「ボス戦の前にそれはありがたいわね」


「今回はこっちもエリア上限まで上げられたからね。もちろんタロウやリンネもレベルアップ分強くなっているよ」


 22名のレベルが170になった時点で俺に連絡が来ることになった。


「今回もタクと従魔達に頑張ってもらうことになりそうだな」


「皆の足を引っ張らない様に頑張ります」


 俺がそう言うと精霊の木の枝で休んでいたリンネがその場で立ち上がった。


「主にお任せすると安心なのです」


 久しぶりにリンネのそのセリフを聞いたよ。タロウも精霊の木の根本で尻尾を振りながらガウガウと吠えている。


 従魔達に恥をかかせないためにも頑張らないとな。



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