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テイマー忍者 〜ソロ忍者は従魔と共に駆け回る〜  作者: 花屋敷


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ちょちょいと焼いてみよう

 打ち合わせの時にも皆で確認したけど、あくまでそれぞれが自分たちのペースで荒野を攻略しようと期限を決めず、北方面の攻略を進めることにした。


 ゲームが義務になったらつまらないしね。


 なので俺はログインできる日はいつも通り午前中は自宅で作業をし、午後になると従魔3体と一緒に外に出ては荒野を探索している。


 攻略を進めていると北に見えていた山々がかなり近づいてきた。と同時に俺たちのレベルが169に上がった。170まであと1レベルだ。その後、北の山がかなり近づいてきた場所の近くにあるメサを調べていると1つのメサの北側に洞窟の様な入り口が見えた。ここから南にあったセーフゾーンからだと移動時間が5時間程の場所だ。


 周辺のレベル170の熊の魔獣を倒して近づいてみると洞窟の入り口の広さは幅が5メートル程、高さは4メートルほどあり、入り口には高さが1メートルほどの木の柵が左右から1メートルほど伸びていた。


「主、ここは元気になる場所なのです」


「ガウ」


 柵を越えて洞窟に入るなりリンネが言った。


「強い敵がいる気配はあるかな?」


 奥を見ると何もない広場に見えるけど、どこかに敵かNMが隠れているかもしれない。


「ガウ」


「タロウもリンネも何も感じないのです。安心して良いのです」


「そうか」


 中に入ると天井も高くなっている。その広場の右奥の隅に転送盤が見えた。小屋はない。転送版に乗ると『オアシスの街に飛びますか?』というウインドウが現れ、『はい』、『いいえ』の選択肢が出た。ここはオアシスの街との転送のみ可能なセーフゾーンだ。


 セーフゾーンの中からグループメッセージを送った。


 おそらくここがボス戦の前の最後の休憩場所になるんだろう。メッセージを送るとすぐにクラリアとスタンリーから返事が来た。この場所からそう遠くないところにいるので今から向かうという内容だ。


「主のお友達がやってくるのです?」


「そうだよ。だから俺たちは周りの敵を倒しながら彼らが来るのを待とう」


 セーフゾーンの洞窟から出て1時間程敵を倒しているとほぼ同じタイミングで東西から2つのパーティがやってきた。皆で洞窟に入り、彼らは転送盤を登録すると広い洞窟の中で皆思い思いの場所に腰を下ろした。俺はタロウの背枕だよ。リンネとクルミも俺の足の間やお腹の上に乗ってリラックスタイムだ。


「タクのメッセージを受け取った時、俺たちは東の山裾のもう少し北に進んだ場所にいたんだよ」


 スタンリーが言うとトミーらも同じ様な距離だったという。2つのクランは東西の山裾に沿って北上しているが今のところ怪しい入り口やゲートなどは見つかっていないそうだ。


「この場所からだと北の山裾まで2時間程かな」


「そんな感じね。そう考えるとここにセーフゾーンがあるのは頷ける」


 ここからエリアボス戦に挑戦するのだろうと言っているメンバー達。ただまだどこからエリアボス戦へ通じるのかルートが見つかっていないんだよな。


 皆が言うにはエリアボスの戦闘場所、あるいはそこに通じる通路か転送盤があるのは北の山裾のどこかか、ここから北にあるメサのどれかの中だろうと。俺もそう思う。このエリアの今までの展開から見るとメサの中だという可能性も十分にある。引き続き東西と北の3カ所を探索して何か見つけたら連絡を取り合うことになった。


「次のエリアってどんな感じかしらね」


 方針が決まった後の雑談で攻略クランの神官をしているルミが言った。それをきっかけに皆が勝手に予想しはじめたよ。


「俺はこのエリアに来る前は火山エリアかと思ってたら荒野だった。だから次こそは火山じゃないかな」


 そう言ったのはトミーだ。


「雪のエリアと荒野のエリアと続いたから次はまともというか普通になるんじゃない?」


 ケイトが言っている。ただそう言ったケイトが普通ってどんなのかなって自分で言ってるよ。


「普通って言ったら森や林や川があるエリアじゃない?それがファンタジーっぽくなってるとか」


「試練のエリアみたいなやつだな」


 色々聞いていると願望も含めてファンタジー系じゃないかという声が多い。


「タクはどう思う?」


 スタンリーが俺に振ってきたよ。


「宝探しで使ったエリアに手を加えてくるんじゃないかな。そうなると森と山と草原と言ったオーソドックスな地形になる。そこにファンタジー風の建物の街を作るとか」


「宝探しのエリアの有効利用か。それもありそうね。今回はこの荒野のエリアを使っていたしね」


 思いつきで言ったんだけど、他のメンバーには響いたらしくてありえる話だぞ、なんて言い始めたよ。実際に次のエリアに行った時にどうなっているのか楽しみだ。


 

 セーフゾーンを見つけた2日後の午前中、畑の仕事が終わって工房で従魔の焼き物の焼き上がりを待っていると端末が鳴った。


「主、お電話なのです」


 従魔達はいつも工房の仕事の邪魔にならない場所で大人しく待っているんだよな。この時も床に横になっているタロウの背中に4体の従魔達が腰を下ろしていたよ。


 なかなかいいポーズだな。あとで今の彼らの格好を焼いてみよう。


「ありがと」


 端末を見るとクラリアからだった。


「北の山の手前、西側メサの中にエリアボスに繋がる転送盤を見つけたの」


「そうなんだ」


 北の山裾じゃなくてその手前にあるメサだったのか。


「午後から外に出る予定?」


「レベル上げをするつもりだったから予定していた」


「その時にセーフゾーンで打ち合わせをしない?攻略クランのメンバーも来るの」


「了解しました。一応確認だけどさ、そのままボス戦には行かないよね?」


「安心して。それは考えていないから」


 それを聞いて安心したよ。

 午後の待ち合わせも時間を決めて通話を終えた。


 通話が終わると俺は従魔達を見る。彼らと合流するのは午後だ。


「ちょっとそのままじっとしていてくれるかな」


「はいなのです」


「ガウ」


 うん、いい子達だ。

 彼らを見ながら土を固めて形を作る。大きなタロウが両足を落として座っているその背中にクルミ、リンネ、ラン、リーファが座っている格好にしてみた。作っている間に彼らにもそれが自分たちの置物だと分かったのだろう。動かないけど尻尾を振ってるよ。


 大きさの微調整をしてから彼らに見せる。背中に乗るのでタロウは少し大きくしてみた。表情は機嫌の良い表情にする。


「こういうポーズをしているお前達の焼き物を作ろうと思うんだけどどうかな?」


 土を固めたところで彼らに見せる。


「ガウガウ」


 おおっ、タロウが尻尾を振って大興奮してる。クルミもその場でジャンプしランとリーファは歓喜の舞を舞ってくれた。


「皆喜んでいるのです。もちろんリンネも喜んでいるのです。主、そいつをちょちょいと焼いてみるのです」


「よし、ちょちょいと焼いてみよう」


 従魔達の評判も良いし。ここは良い物を作らないとな。


  窯の中から戦闘中のポーズをしている従魔の焼き物を隣に置いて今形を作った置物を入れて素焼きをする。


 しばらくして取り出すとなかなかの出来栄えだ。従魔達も大喜びだよ。

 今度はそれに釉薬をつけて色をつけてからもう一度焼いた。窯業スキルが高いから作業時間が随分と短くなっている。窯から取り出すと想像以上に良い仕上がりになった。


「じゃーん、どうだ!」


 自分でもなかなかの出来栄えだと思う。従魔達を見ると彼らも大喜びしている。


「よし、今後はこっちの焼き物とこれと、2つの焼き物を作るぞ」


「作るぞ、なのです。主、ガンガン作ってがっぽり儲けるのです」


 その後、午前中いっぱいの時間を焼き物作りに費やした俺。

 一旦ログアウトし、午後にログインするとランとリーファにお留守番を頼んで俺たちはオアシスの街から北のセーフゾーンと呼ばれている場所に飛んだ。


 少し早めに来て周辺の熊を倒して経験値稼ぎをしていると情報クランと攻略クランが合い前後して転送盤から現れた。


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