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テイマー忍者 〜ソロ忍者は従魔と共に駆け回る〜  作者: 花屋敷


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エリアレベル上限

 ここ数日は東の山裾にあるセーフゾーンから北上しながら熊の魔獣を倒して経験値を稼いでいる俺たちは昨日、レベルが167になった。レベルが上がってまた討伐が楽になった。今は169の熊を相手に経験値を稼いでいる。


 この日は午後から外に出た。オアシスの街から西の山裾に飛んだ俺たちはいつもと違ってこの場所から北ではなく西を目指す。


「この西の山裾と東の山裾は情報クランと攻略クランが探検している。だから俺たちは中央から北を目指すぞ」


「ガウ」


「目指すぞ、なのです。主、タロウが乗れと言っているのです」


 レベル169のワイルドベアが現れるエリアまではタロウに乗って移動するのは有りだ。俺たちはタロウの背中に乗った。


「タロウ、途中で大きなメサがあったらその周囲をぐるっと一回りしてくれるかな?」


「ガウ」


 そう吠えたタロウが俺たちを乗せて荒野に駆け出した。ぶっ飛ばしている訳じゃないんだけどそれでも歩くよりは比較にならない程早い。途中で出会う熊の魔獣は遠目からリンネが魔法を2回撃つと倒れる。俺はタロウに乗っているだけで神魂石や印章が端末に入ってくる。


 正面にメサが見えてきた。そこをぐるっと一回りして異常がなければ西に進んでいく。途中からは北に向きを変えた。今の所どのメサの周囲にも異常がない。


「よしここからは歩いて北に向かおうか」


 タロウから降りて背中をしっかりと撫でてから歩いて北に進んでいく。自分たちが歩いている前方には高い山が東西に連なっているのが目に入ってきた。ちょうど168と169の熊が混在するエリアだ。


 魔獣を倒しながら北に進み、そこにメサがあるとその周囲をチェックする。それを繰り返しながら進んでいくと熊のレベルが169だけになる。正面の先に高い山々が見えていた。


「主、あの高い山を目指すのです?」


「そうなるかな。敵を倒しながらこのままあの山を目指して進もう」


 まだまだ随分遠くに見えてる山だけど、エリアボスがいるとしたらあの近くだろう。急ぐ必要もないので周囲にあるメサをチェックしながら北上していく。



 敵を倒しながら北上を続けた数日後、俺たちのレベルが168になった。

 

 168になった日の夕刻、自宅に戻ってきて従魔達と一緒にクールダウンしていると庭にいつもの4人が入ってきた。


「170になったらエリア上限のレベルに達したとAIが言ったよ」


 挨拶が終わって縁側に座ってお茶を一口飲んだスタンリーが言った。情報クランも170になっている。従魔達もしっかりと挨拶をしたよ。挨拶が済むとタロウは精霊の木の下に、クルミはランとリーファと一緒に船の上に移動した。リンネは俺の膝の上にちょこんと乗ってきた。


「やっぱりここのエリアのレベルの上限が170だったんだな。皆の読み通りだったんだ」


「そうなるな」


 彼らは東西に分かれて山裾に沿って北上をしているが今のところエリアボスに通じる洞窟や道は見つかっていないそうだ。


「また北の端の山には着いていないんだけどね。途中のメサを調べながら進んでいるところ」


 クラリアによると今彼らが相手をしている熊の魔獣のレベルは169から170で、おそらく山裾まで行けば172とか173の敵がいるだろうと予測しているらしい。


「タクの相手のレベルは?」


「俺たちが相手をしているのも169の中に170がちらほらと混じっている」


 膝の上に座っているリンネの背中を撫でながらそう言うとじゃあ自分たちと大体同じだと言う。ちなみにリンネは9本の尻尾をゆっくりと振ってご機嫌のご様子だ。


「エリアボスがいる、あるいはボスに通じるルートがあるとすれば北の山裾かその近くのメサの中だと見ているの」


 マリアが言った。

 俺も彼女の意見には賛成するよ。メサにNMがいたこともあり、ボスに通じる転送盤、あるいはボスそのものがメサの中にいてもおかしくはないよな。


「ただ他のプレイヤーはまだ金策や強化中の人が多い。俺たちだけが突出した形になってるからな。急ぐこともないだろうと思っているんだ」


 神魂石集めと金策。多くのプレイヤーがこの2つの目的で活動をしているそうだ。


「神魂石といえばさ、タクが見つけた透明な神魂石、皆限界突破の神魂石って言っているんだけど、結局キャンペーンの宝探しで26個見つかったのよ。最初私たちは23個って情報を出したんだけど、その後で持っていますというプレイヤーが3人言ってきてくれたの。なので26個出ましたと情報を訂正したの」


 おそらく本当はもっと多かったんだろうとこの4人が言っている。40個位あって。残りの14個の石が入っている宝箱は結局誰も開けなかった。


「なるほど。俺は幸いに1個手に入れたけど、情報クランと攻略クランのメンバーは誰か手に入れたの?」


「攻略クランのメンバーの1人が宝箱から手に入れた。ただ彼女はバンダナを持っていないんだ。聞いたらとりあえずは強化に使わずに端末に収納しておくと言っている」


 情報クランのメンバーは誰も手に入れられなかったらしい。宝箱って開けるまで中に何が入っているかがわからないから本当に運頼みだよ。


 今回の宝探しで大当たりアイテムがその透明な神魂石、その次はNQの腕輪。それから普通の神魂石、印章、薬品類となるそうだ。森の精霊のバンダナは今回誰かが手に入れたという情報はないと言っている。黒の神魂石にしても同様だ。


「新しくPWLにやってきた人たちの歓迎キャンペーンだからね。神魂石以外のアイテムは彼らが手に入れたらすぐに使い道があるアイテムばかりよ」


 そう言う意味では新人歓迎キャンペーンというタイトル通りの結果だよな。



「今後の打ち合わせをしよう」


 スタンリーが話題を変えたよ。いつの間にか俺も攻略組なんだよな。自分ではその意識はないんだけど結果的にはそうなってる。でも攻略組と言ってもストレスを感じないから問題ないね。そこが以前していたゲームとは違うところだよ。


 攻略クランが東の山裾沿いを、情報クランは西の山裾沿いを、そして俺たちは荒野の中央を北上している。端末のマップを見比べると俺たちが少し南にいるが大きく遅れている感じじゃない。


「基本はこのまま北の山を目指そう」


「北の山以外に途中のメサに転送盤とかがある可能性もあるわよね」


 マリアが言うと皆その可能性も十分にあると言う。


「急がずにゆっくり、丁寧に調べながら北上しましょう」


「エリアボス以外に印章NMがいるかもしれないからな」


 クラリアとトミーが言っている。

 彼らの言うとおり急がず丁寧に探索するのは俺も賛成だよ。それに探索している間に自分たちのレベルが上がるだろうし。


 今までの例から見るとエリアボスはエリア上限レベルの30上になる。

 情報クランと攻略クランは加護と装備で170プラス5の175レベルだと言っている。


「タクはレベルプラス17か。ボスのレベルが200として186とか187になるんだな」


「足し算だとそうなるかな」


「タク、従魔達のレベルは実際どんな感じなんだい?」


「どうだろう。感覚的なものだけどうちの従魔達も俺の加護の恩恵を受けている気がするんだよ。そうなると加護だけでプラス5になる。あと、敵対心が低いのも関係があるのかもしれないけど最初からガンガン攻撃してそれなりにダメージを与えているんだ。そう考えると加護の分を含めて実質10くらいはプラスされてるんじゃないかなという気がする」


 本当のことは誰もわからない。ただうちの従魔達の敵対心が異常に低いことはここにいるメンバーは何度も目の前で見ているから知っている。俺は10くらいプラスと言ったがトミーはもっとあるぞと言う。


「レベル158の時に180のメサのNMを倒している。タクの実質のレベルが高いのはもちろんだが、従魔達も実質レベルが相当高いのは間違いないぞ。出ないとそのレベルの時にNMを倒せない」


 トミーが従魔達も15くらい上じゃないかと言うと他の3人それくらいはあるだろうと言った。


 それまで黙っていたリンネがトミーの言葉を聞いて顔を上げた。


「タロウもクルミもリンネも強い敵を相手にするのが好きなのです。ガンガンぶっ倒して主をお助けするのです」


 聞いていた俺はリンネを撫でながら言った。


「そうか。これからも頼むぞ」


「はいなのです。ばっちこいなのです」


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