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テイマー忍者 〜ソロ忍者は従魔と共に駆け回る〜  作者: 花屋敷


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信用があるのです

 キャンペーンも半ばを過ぎた。

 俺たちはレベル165になり、情報クランと攻略クランの連中は167になっている。


 俺はメサの洞窟にいるNM戦に再挑戦する気はない。この期間は経験値稼ぎと宝探しを中心に活動をすることにしている。


 この日も午後に荒野で経験値稼ぎをした俺たちは、そのまま始まりの街に飛んだ。相変わらずギルドの中は賑やかだ。本当はギルドの転送盤には飛びたくないんだけど仕方がない。


「タロウちゃんよ」「クルミちゃん可愛い」


 という声を聞きながら人が多いプレイヤーズギルドを出ると始まりの街の中を歩いて出口に向かうが、ギルドの外にも人が多い。15,000人の新規プレイヤーがこの街を拠点にしている。もちろん今、ここに15,000全員がいるわけじゃないけど、それでも人が多いよ。


 外に出ても相変わらずポールをくぐる順番を待っているプレイヤーが沢山いた。その列に並んで待っているとリンネが言った。


「主、今日もウハウハになるのです」


「良いアイテムが出るといいな」


 順番が来て街の外にあるポールの間を潜るとエリアチェンジをした。

 飛んだ先は以前の宝探しでも見た気がするエリアだ。ただ、少し手を加えている様に見える。山と森。そして小さな池があるエリアで、俺たちはその池の近くに飛んだ。

確か前回はこのエリアで宝箱から黒の神魂石が出たんだよな。


 山に目を向けると斜面を歩いているプレイヤーの姿が見えた。正面に池があってその先は山になっている。左右と背後は森だ。


「主も山登りをするのです?」


 俺の頭の上に乗っているリンネは俺が顔を向けた方の先を見て言った。


「いや、あの山登りは大変だぞ。俺たちは森の中を歩いて宝箱をさがそうか」


「はいなのです。主、参るのです」


「ガウ」


 俺たちはその場から左に歩いて森の中に入った。生えている木々の間隔が広いので明るい陽が差し込んでいて視界は良い。足元は足首くらいまでの長さの草が生えている。気持ちのいいエリアだよ。タロウも歩きやすそうだ。好奇心旺盛のクルミは俺の肩の上、そしてリンネはいつもの俺の頭の上だ。


 森に入って10分ほどしたところで木の根元にある宝箱を見つけた。


「宝箱なのです」


 近づいて端末をかざすと音がして宝箱が消えた。中を見ると印章が3枚入っていた。


「これでまた強い敵を倒せるのです」


「ガウガウ」


 宝箱があると従魔達のテンションが上がるんだよ。でもそれは俺も同じだ。宝探しに来ているんだから宝箱が見つかると嬉しいよ。宝箱を見つけた時の嬉しさ、中に何が入っているのかというドキドキ。そして箱の中身を知った時の喜び。これがあるから中身が何であれ宝探しが好きなんだよ。


 森を歩いてるプレイヤーがそれなりにいる。木々の先に1人や2人で歩いている人が見える。走っている人もいるが、大抵は自分と同じで顔を左右に動かして宝箱を探しながら歩いているよ。


 宝箱を見つけるペースは初回と変わらない。見つけるたびに従魔達がウルウルした目で見てくる。


「3,000ベニーだ。金額が増えたぞ」


 俺がそう言うと皆大喜びだよ。

 その後も20分に1回程度の頻度で宝箱を見つける。その度に従魔達のテンションがあがる。宝箱の中身よりも彼らを見ている方が楽しいよ。


 この日は2時間ほどいてベニーと印章、それからポーション類を手に入れた。


「明日も頑張るのです」


「そうだな。明日も宝探しをやろう」



 翌日の午前中、トミーが自宅にお茶を飲みに来た。クランとしての活動はこの日は午後からだそうだ。クランメンバーの多くは宝探しに行っているそうだ。トミーも1時間ほど宝探しをしてからやってきたと言っている。


「第1陣、第2陣のプレイヤーの中には今回のキャンペーンでは印章NM戦がないと不満を言っている人もいるが、目的がウエルカムキャンペーンだからな。主役は俺達ではなくて、第4陣の人たちだよ」


 その第4陣のプレイヤーからはこのキャンペーンは好評だそうだ。序盤の経験値稼ぎが楽になるのと、薬品や印章が手に入るかららしい。確かにゲーム序盤は所持金も少ないしレベル上もしんどいよ。薬品以外ではアイテム関係も出ているらしい。NQだが力が上がる腕輪とか素早さが上がる腕輪が宝箱から出たことは確認しているそうだ。


「ところで、話は変わるが、第2陣以降のプレイヤーは、ジョブで忍者を選ぶ人が多くなっている。今回の第4陣もそうなっている。これはタクの影響だな」


「忍者が増えるのは嬉しいけど、それは俺の影響なのか?」


 そう言うと縁側で俺の膝に座っているリンネがその場でミーアキャットポーズになった。


「当然なのです。一番強い主をお手本にしているのです」


「いや、リンネの言う通りでね」


 情報クランは任意で新しく来たプレイヤーにアンケートをしたらしい。外部にある彼らのサイトに設問を設定し、回答してもらうという形らしいが、新しく入った15,000人のうち4,000人以上が回答しているそうだ。サイトには今でも毎日回答が入ってきているのだという。


「ジョブを選択した理由を書いてもらう設問があるんだけどな、忍者の場合はタクのプレイ動画を見たからという回答が多い。公式の掲示板で序盤の苦労を越えると忍者は強くなると聞いたという回答もあった」


 間違ってはいないが、俺の場合はなんと言っても従魔達が超が付く優秀だからな。あとはソロでやれると言う回答もあるそうだ。それは理解できるぞ。一応ソロで動けるジョブ設計にはなっている。空蝉の術を手にいれるまでは茨の道だけど。あとはソロだと魔獣をテイムするのも条件になるかな。


「情報クランはそのサイトでPWLの各ジョブの説明をしている。その中の忍者の欄には、『戦士とシーフのハイブリッドタイプ。ソロ向き』と書いてあるんだ」


 なるほど。確かに戦士とシーフを足して2で割った感じのジョブだ。


「それは理解できるな。それにしても15,000人のうちの4,000以上だっけ?それだけの数の回答を得るってのがすごいよ」


「PWLはゲーム攻略に関するデータを開示していない。それの代わりに情報クランがゲーム開始以来、情報を提供している。攻略サイトとして信用があるんだよ」


 長年の信用の蓄積ということか。確かに彼らはいい加減な情報は公開していない。事前にしっかり検証し、時には公開前に運営にメールを打って了承を取っている。そんな話を聞いたことがある。俺が言うと今でもそれをやっているとトミーが言った。


「タクのレベル25制限のNM戦のプレイ動画は今でも閲覧数の上位にある。視聴者が多いんだ。忍者をジョブとして選択したプレイヤーはあの動画を見ていると思っていいだろう」


 まだランクインしていると聞いてびっくりだよ。個人的にはあれっていつの話だよって気もするが。トミーはまたそのうちに俺たちの戦闘か何かがアップされるんじゃないか、と言っているが勘弁してほしいところだよ。


 雪だるまを作っている動画を見て忍者をやろうって人はいないよな。となるとあの25制限の動画になるのかな。いずれにしても忍者をやる人はお仲間だ。応援するよ。


「ところでそっちは荒野のセーフゾーン周辺で経験値稼ぎをしているんだろう?」


「その通り。感覚的に今日か明日にはレベルが上がる気がしているんだ。168になったらメサの中にいるNMに挑戦するつもりだ。加護が欲しいからな」


 加護を手に入れるとレベルが1程度上がる。当然皆狙うよね。

 彼らのレベルが168になるってことは装備と今持っている加護でレベルが3ちょっと加算される。171とか172になるんだな。180近いレベルのNMに勝てるんじゃないかな。いやらしい攻撃もしてこないし。大地の盾もある。パラディンががっちり受け止めたらいけそうな気がするよ。ただ制限時間30分に倒せるかどうか、ここがポイントになりそうだ。


 俺がそう言うと、時間切れで負けたのなら169になって再挑戦すればいいと割り切っているそうだ。ひょっとしたら勝てるかも?そんな感じで挑戦するのがいいんだよと言っている。


 メサの中のワイルドベアのNMの情報はまだ公開していないらしい。彼らが勝利した時点で開示するそうで、すでに準備はできてるんだと教えてくれた。


「頑張るのです。リンネも応援するのです」


「リンネが応援してくれるのなら頑張れそうだよ」


 そう言ってトミーが帰っていった。


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