↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
テイマー忍者 〜ソロ忍者は従魔と共に駆け回る〜  作者: 花屋敷


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
381/434

身体が大きい木偶の坊なのです

 PWLの第4次募集が正式に発表された。募集人員は約15,000人。約となっているのは解約者もいて、その補充の人の分を入れて端数になるからだろうな。


 端末に入ってきている情報では受付が来週から3週間、その後希望者が多い場合は抽選をし、4週間後に発表するそうだ。そうなるとそれ以降でキャンペーンがありそうな感じだ。



「一部のプレイヤーが台地の下、南の荒野の小屋に来たよ」


 活動が午後からなので自宅にお茶を飲みに来たトミーが教えてくれた。時間がかかったんだなと俺が言うと、それでも降りて来たのはまだ3パーティだけだと言っている。


「皆苦労している。レベルはそれなりに上がっているが強化のための金策と神魂石集めに苦労しているんだ」


「なるほど」


「下に降りてもまた強化があるだろう?強い敵で苦労するよりもちょうどいい感じの敵を数多く倒して石を集めたいと考えているプレイヤーが多い」


「そうなるとオアシスの街に来るのはまだまだ先になるね」


「そういうことになるな」

 

 トミーら情報クランは事前の打ち合わせ通りにこれからオアシスの街経由で山裾を北上するといって帰っていった。


 俺たちは畑仕事をして収穫した農産物を農業ギルドに持ち込んで買い取ってもらい、新しい種を買って戻ってくるとランとリーファと一緒に種まきをする。それが終わり、従魔達がしっかりと遊んで満足したのを見てからオアシスの街に飛んだ。


 街の外に出ると俺が何も言わなくても四つ足を下ろして乗れというポーズになるタロウ。出来た従魔だよ。


「タロウ、元気になる場所まで飛ばしていいぞ」


「ガウ」


「主、出陣なのです」


「よし、行こう」


 クルミ、リンネ、そして俺が背中に乗るとタロウが起き上がり、荒野を走り出した。周辺にはレベル158のコヨーテがいて俺たちを見つけると襲いかかってくるけど、リンネの魔法で体力を削り、フラフラになったところをタロウが後ろ足で蹴っ飛ばすと光の粒になって消える。


 向こうが2レベル上でも関係ないんだよな。俺とクルミは背中に乗ったままだよ。そしてコヨーテを倒すと端末が鳴って牙とか神魂石とか、印章が入ってくる。こんなんでいいのだろうか。そう思いながらセーフゾーンについた。


「タロウ、ありがとうな」


「ガウ」


「問題ない、まだまだ走れるぞ。と言っているのです」


「そうか。でも今はここまでだ。ここでしっかりと休んだら探索するぞ」


「するぞ。なのです」


 ここのセーフゾーンには小屋がない。芝生の上でタロウの背枕でリラックスする俺達。20分程休憩をすると立ち上がった。それを見て従魔達も起き上がる。


「今日はこの周辺の敵を倒してレベルを上げよう」


「はいなのです。片っ端からぶっ倒してやるのです」


 セーフゾーンの周辺のコヨーテのレベルは159。それらの相手をしているとレベルが157に上がった。


「また強くなったのです」


「ガウ」


 クルミも喜んでジャンプしている。


「そうだな。また少し強くなったぞ」


 レベルが上がったこともあり、翌日はセーフゾーンから北に進んでみた。周囲は相変わらずの景色だ。大きなメサと起伏のある荒野。たまに木が生えているだけだ。そんな荒野をコヨーテを倒しながら北に進んでいくと前の方に黒くて大きい魔獣の姿が見えた。


(あれも魔獣だよね?)


(はい。ワイルドベア レベルは160です)


 ワイルドベア。色は黒いがあれはアメリカ大陸にいるグリズリーみたいだよ。近づくとその場で立ち上がって威嚇してくる。立ち上がると優に2メートルはあるぞ、大型獣だ。


 ただタロウもリンネもクルミもいつもと同じだ。タロウが吠えないところを見るとそれほど強敵じゃないってことになる。


「新しい敵だ。やっつけるぞ」


「ガウ」


「ぶっ倒してやるのです」


 立ち上がっていたワイルドベアが四つ足でこちらに向かってきた。そいつにクルミがスロウの魔法を撃った。同時にリンネから氷の精霊魔法が飛ぶ。俺が刀を振るうと同時にタロウが後ろ足で熊の魔獣を蹴っ飛ばすと、魔獣が光の粒になって消えた。同時に端末がなって神魂石が入ってきた。コヨーテじゃないから牙はもう出ないんだな。


「思ったよりも弱かったな」


「ガウ」


「はいなのです。身体が大きい木偶の坊なのです」


 木偶の坊って言葉を知ってるのか、相変わらずのリンネだ。どっちにしてもレベル160のワイルドベアは俺たちの敵じゃないってことがわかった。経験値は159よりたくさん入る。当分こいつが相手だな。


 夕方まで熊の相手をした俺たちは一旦オアシスの街に戻った。まだ2つのクランメンバー以外のプレイヤーはこの街まで来ていない。自宅から南門を出で橋に出向いた俺たちはそこにいる作業員に集めた牙を寄付する。全部で200個近くあったよ。


「こんなに貰えるのかい。大助かりだよ」


「売ったらお金になるがいいのかな?」


 2人のNPCがそう言ってくる。


「主は大金持ちだから問題ないのです。バザールでいつもウハウハなのです」


 リンネが言ってくれた。実際俺は牙で金策をするつもりはないんだ。


「そうかい。じゃあ遠慮なく頂こう。これで工事も捗るよ」


 NPCのおっちゃん達にお礼を言われた俺たちは再び南門からオアシスの街に入った。本当にこの街は緑と水が多くて落ち着くんだよな。


「主、どこに参るのです」


 街の中に入るとクルミに急かされてポンチョを着た俺、クルミはフードの中に入り、リンネは頭の上に乗っている。タロウは俺の右側を尻尾を降りながら歩いている。


「うん、レストランに行こうと思ってるんだ。いいところがあれば教えてくれるかい?」


「任せるのです」


「ガウ」


 オアシスの街の中を歩いているが本当に気持ちがいい街だよ。大通りだけじゃなく小さな路地にも水路がある。大通りを歩いていると横に伸びている路地の入り口から3軒目のところにテラスがあるレストランを見つけた。俺が見つけたのとほぼ同じタイミングで頭の上から声がした。


「主、左にお店があるのです」


「あるな。よし、あそこだ」


 近づくと”ELK”と言う名のレストランだ。AIのミントに聞いたらELKとは北米にいるヘラジカのことらしい。言われてみればレストランの看板の下にヘラジカのイラストが描かれている。


 テラス席に座ると女性の給仕がやってきた。


「いらっしゃいませ」


「この店のお勧めの料理は何かな?」


「鹿肉のソテーですね」


 なるほど店の名前の通り鹿肉がメインなのかな。俺はそのソテーとサラダを頼んだ。いつもそうだけどこう言う店に入るとタロウは俺の椅子の側で座ってリラックスする。尻尾が規則的に動いているから機嫌が悪い訳じゃない。クルミは俺のポンチョの中に身体を入れてこれもリラックスしている。そしてリンネは膝の上だ。


「主、明日も木偶の坊を倒すのです」


「おう。でもあいつはワイルドベアって名前があるんだぞ」


「なんでもいいのです。木偶の坊なのです」


 その言葉が気に入ったみたいだな。魔獣に使うのはいいけど間違っても仲間のプレイヤーには言うなよ。俺が言うとわかったのですと元気よく答えるリンネ。大丈夫だとは思うけどちょっと心配だよ。


 料理は絶品だった。美味い。


 食べ終えた頃にコックさんがやってきた。


「この街でプレイヤーさんに食べてもらったのは初めてなんだよ。感想を聞かせてくれるかな」


 俺は自己紹介をし、従魔たちも紹介してから言った。


「いや、ものすごく美味しかったです。この店、絶対プレイヤーの間で流行りますよ」


「そうかい。俺はこの店のコック兼オーナーのコルビーだ。最初に来てくれたタクがそう言ってくれるのなら楽しみだな」


「主が言うことに間違いはないのです。楽しみを待つと良いのです」

 

 リンネが言うと従魔まで言うんなら間違いないな。とか言ってるよ。


「それにしてもこの街は荒野の中にあるのに緑が多くて水流れている。綺麗な街ですね」


「近くに川があるし、地下にも水が流れている。おかげで水に困ることはない。水が豊富だから木も多いだろう。日陰も多くて過ごしやすい街だよ」


 いや本当にコルビーさんの言う通りだよ。


 俺たちはまたお邪魔しますと言って店を出た。


「明日も頑張るのです」


「ガウ」


「そうしよう。明日も頼むぞ」


 そう言うとクルミが綺麗なバク転を決めてくれたよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。