好評でした
従魔達の置物のデザインを変えたと同時にお皿やコップの絵柄もリニューアルしてみた。焼き物の形は同じだけどそこに描く従魔の絵を変えたんだ。
次のバザールまでの期間、ログインしている時間の半分、午前中を置物とお皿、コップ製造に費やし、残りの時間はオアシスの街の北側でコヨーテ退治を続けた俺たちはレベルが1つ上がって154になった。
154になるとさらに討伐が楽になる。タロウとリンネでコヨーテの体力をごっそりと削ってくれるのでこっちは刀を一振りするだけだ。レベル差万歳だよ。
「主は休んでいていいのです。コヨーテ退治はタロウとクルミとリンネにお任せなのです」
たった今コヨーテを倒したリンネがドヤ顔で言っている。彼らの言うとおりでタロウとリンネで普通に倒しているんだよな。だけど俺だって刀を振りたい、というか戦闘がしたいんだよ。週末のバザールが終わったら活動範囲を広げよう。
週末のバザールは自分の予想以上に大盛況だった。オープンしてすぐはそうでも無かったんだけど、しばらくすると多くのプレイヤーがテントの前に集まってきた。その中にはマリアもいたよ。テントの前に列ができている。女性のプレイヤーの数が多い。
「新しいデザインの置き物でしょ?朝一番で買った人がデザインが変わったわよって言ってそれがあっという間に広まったのよ」
置き物とお皿、コップを買ってくれたマリア。買い終わると隣でタロウをわしゃわしゃと撫でまわしながら教えてくれた。そう言うことなのか。口コミ恐るべしだよ。
その後もテントの前で列が途絶える事がない。焼き物を買ってくれたプレイヤーのほとんどが従魔達とスクショを撮りたいと言ってくる。それに毎回きちんと応えてくれる俺たちの従魔達。
結局4時前には全部売れてテントの前のテーブルの上には何もなくなった。後から来た人にはまた作りますのでと頭を下げて引きとってもらったよ。本当に申し訳ない。
「ウハウハなのです」
リンネやクルミ、タロウは全部売れたと大喜びだけど、買えなかった人がいたのがね。
「主がまた沢山作れば良いのです」
「そうだな。また自宅で沢山作ろう」
「はいなのです。それでまた主ががっぽりと儲けるのです」
店じまいをして自宅に戻ってしばらくするといつもの4人がやってきた。マリアから俺が早々に店じまいをしたことを聞いたらしい。そういえば彼らと会うのも久しぶりだ。
「タクが作った焼き物が大人気らしいな」
「嬉しいけど買えない人がいたんだよな。また頑張って作って来週販売するよ」
縁側に座った彼らにお茶と果物を出すと雑談だ。彼らはレベル157になっている。と同時にオアシスの街から東と西の端までたどり着いたそうだ。
「東西どちらも端は台地の崖になっているの。上には登れない。今度はそこから南に降りて崖をチェックする予定。洞窟があるかもしれないからね」
クラリアが言っている。東西の端から北に攻略するんじゃなくて南のエリアを探索するのか。確かにそれならコヨーテのレベルも下がるし探索も比較的楽になる。東西の崖に何もなければ改めて北上する作戦なんだな。
俺がそう言うとそれもあるが神魂石がまだ揃っていないのも理由なんだと言う。北上するのならしっかり装備を強化してからにした方が動きやすいし事故のリスクも低いと言っている。
「まだ他のプレイヤーは台地の下に降りて来ていない。情報クランと攻略クランのクランメンバーで手分けして探せばそう時間はかからないだろう。神魂石も集まれば一石二鳥だしな」
スタンリーが補足してくれた。それで俺はどうすりゃいいんだ?
「タクは北方面を引き続き探してくれるか?」
「タクは強化が終わってる。実質レベルも高い。だから強い敵がいるであろう北方面をお願いしたい」
トミーとスタンリーが言った。
「分かった。のんびりやるよ」
4人によると前の雪原のエリアのレベル上限が140だったことから見てこのエリアのレベル条件は170じゃないかと見ているそうだ。
「仮に170だとするとまだまだ北側に広いエリアがあるってことになるわ。セーフゾーンどころかもう1つ街が有ってもおかしくないわね」
マリアが言っている。確かに170だとしたらオアシスの街でこっちのレベルが155前後だからその差の15レベルの間に何もないとは考え難い。この2つのトップクランは常に色々と考えているよ。気まぐれというか行き当たりばったりに動いている俺とは大違いだ。
神魂石のドロップはそう悪くない、というか感覚的には他のエリアと変わらないと思っているので早晩彼らも石を揃えて強化を終えるだろう。
今日のバザールでも神魂石は売り物があったらしいが売り手側が強気の価格設定をしていたこともありほとんど売れていないそうだ。
「強化に金がかかるのが分かっているからな。神魂石を金を払って買おうとするプレイヤーはまずいないよ」
よっぽど急いで強化をしたいと考えているプレイヤー以外は金払って神魂石を買うと言う発想にはならないだろうな。それに急いで強化する目的って普通はトップを走る為、走り続ける為なのだろうけど、PWLのトップには常に両クランがツートップでいる。俺がそう言うとお前もその仲間じゃないかと言われたよ。
「主はいつも一番なのです」
それまで俺の膝の上で大人しくしていたリンネがミーアキャットポーズになって言った。
「タクは一番だよね。装備の強化も一番だしね」
マリアがリンネを見て言う。
「はいなのです、主が一番強いのです。疑う余地はないのです」
「ガウガウ」
背枕をしてくれているタロウも尻尾を振っていってるよ。クルミはジャンプしているし、ランとリーファもサムズアップしてる。従魔達の俺推しは相変わらずだ。
「そうそう、第4陣の募集が近々あるみたいだぞ」
トミーが言った。そうなの?と聞いたら他の3人もそのニュースを知っていたよ。ゲーム関連のサイトでそんな記事が出ているらしい。ただ募集人数については1万とか1万5千とか言われていてまだ詳細までは分からないそうだ。
「新規募集が終わったらまたキャンペーンがありそうだな」
「確かに」
「楽しみだね」
みんなでそんな話になる。キャンペーン期間中は経験値が増える事が多いからな。あとは期間限定のNM戦とかもあるのかな。
「また宝探しがあるかもしれないわね」
マリアが言うとありそうだという話になった。確かに宝探しが前回と同じスタイルだとレベルに関係なく誰でも参加できる。
「またタクがとんでもないものを見つけるんじゃないの?」
トミーが言うが流石にもうないでしょう。
「また黒魂石を見つけたりしてね」
「前回見つけたのも奇跡に近い確率だったんだよ。ラッキーはそう続かないって」
いつ募集があるのかは俺は分からないけど、第4陣を募集したらその後にキャンペーンはやるだろうな。どんなイベントがあるのか楽しみではある。
彼らが戻っていった後、俺は工房に入って焼き物作りをすることにした。時間があるときに少しでも多く作っておきたい。売り切れは本当に買いに来てくれた人達に申し訳ないんだよ。
「お前達は遊んでいていいんだぞ」
工房のいつもの場所にいる5体の従魔達を見て言ったけど皆首を左右に振ってきた。
「主のお仕事を見るのは楽しいのです」
「そうか。それならいいんだよ」
その後は焼き物が出来上がるたびに「どうだ!」と彼らに見せる。すると皆尻尾を振ったりサムズアップして応えてくれるんだよ。
ログアウトまで工房に篭って焼き物を作りまくったよ。




