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テイマー忍者 〜ソロ忍者は従魔と共に駆け回る〜  作者: 花屋敷


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荒野に川が流れていた

 俺たちは引き続きレベルを上げながら次の街、あるいはセーフゾーンを探すことにする。急いではいない。まだ俺たち以外に誰も台地の下に来ていないのだから。


 探索エリアは変わらない。俺と従魔達の担当は北方面だ。


 この日も午後に岩影の街から出ると北に向かって進んでいく。攻略済みのエリアは直進し、サバンナが見えたところから先にあるメサを見つけるとその周囲をぐるっと一回りして何かあるかチェック。再び前進。この繰り返しだよ。


 今相手をしているコヨーテのレベルは157だ。そして進んでいる途中で俺たちのレベルが152になった。例によってレベルが上がると俺はもちろんだけど従魔達も大喜びするんだよ。しかも牙がよくドロップするのでどんどん貯まっていく。


 北上しながら大きなメサを見つけるとその周囲をチェック。これを何度も繰り返しながら進んで行くと前方の草原の中に川が流れているのが目に入ってきた。と同時に今倒したコヨーテのレベルは158に上がっている。川に近づくと魔獣のレベルが上がった。今の俺たちとのレベル差は6レベルあるけど問題ない。


 それにしてもこの荒野にまさかの川だよ。久しぶりに川を見たのか従魔達のテンションが高い。


「大きな川なのです。お家の川よりずっと大きいのです」


「そりゃそうだろう。リンネ。俺たちの自宅にある川は小川だ。こっちは本当の川だな」


 川の縁に立った俺たち。3体の従魔立ちも後ろ足を下ろして座って川の流れを見ている。皆尻尾を振っているよ。


 川のそばから左右を見てみると、川幅は10メートル程で、川は大きくUの字に湾曲していて、俺たちが立っている近くが湾曲している川の南端になっている。立っている場所から右、東側は右斜め前方向に川が伸びて、左、西方向では左斜め前方向に伸びていた。川の水は東から西に向かってゆっくりと流れている。


 左右どちらの方角にも川のこちら側に大きなメサが複数点在しているのでそこから先は川が見えなくなっている。川の向こうにも同じ様にメサがある。相変わらず死角が多いよ。


 そしてだ、ここから見る限り向こう側に渡る橋がない。川の向こう側もサバンナがあり林が見えているが街は見えない。


「ガウ」


「主、船を出すのです。とタロウが言っているのです」


 頭の上から声がした。

 船は端末に入っているが楽をするのはまだだよ。


「うん、船に乗るってのはありなんだけどさ。それは最後の手段にして、まずは歩いて橋を探そうと思うんだ。いいかな」


「ガウ」


「タロウもクルミもリンネも主の言う通りにするのです。まずは皆で歩いて探すのです。お船に乗るのはそれからなのです」


 歩いて探すってリンネもクルミもたいがい俺の頭の上からタロウの背中じゃないかよ。そう思ったが突っ込んだりはしない。俺はそうか、ありがとうと言った。


 端末のマップを見ると小屋から直進で4時間程の距離だ。となるとこの川の近くにセーフゾーンか街があってもおかしくない。ただ俺たちがいる場所にはそれらしきものはない。となると東か西か。


 川のすぐ近くには魔獣がいないので俺はその場で端末を取り出してスクショを撮るとグループメッセを送った。コヨーテのレベルが158だと言うことも報告する。


 おそらく東西どちらかに橋がある。橋があるということはセーフゾーンか街がある可能性がある。南の荒野の小屋からここまで直線で4時間、東西のルートを進むと4時間プラス30分から1時間くらいか。プレイヤーが休める場所があってもおかしくないよな。


「少しこの辺で敵を倒してから今日は帰ろう」


「はいなのです。コヨーテさんを沢山ぶっ倒してから帰るのです」


 1時間ほど戦闘をして自宅に戻った俺たちはそのままログアウトした。


 

 翌日、畑の見回りをし、農業ギルドに納品をし終わったタイミングでクラリアとトミーがやってきた。俺のメッセを見て情報クランで打ち合わせをして来たそうだ。


「東西のどちらかのエリアに橋がありそうだな」


「橋があったらセーフゾーンか街もありそうね」


「俺もそう思うんだ。普通の発想ならさ、街って川の近くに作るだろう?これはゲームだけどそれでも川の近くにある気がするんだよ」


 俺が言うと情報クランもその結論に達したそうだ。つまり東西いずれかの川の近くに次の拠点がある。


「このエリアで街と呼べるのは関所の街と岩影の街だけだ。となると過去の例から見てあと1つはありそうだな。強化も最後の3段階をする必要があるし」


 セーフゾーンにせよ街にせよ岩影の街から歩いて移動して5、6時間かかる。途中にいる魔獣のレベルは高い。簡単に移動できる訳じゃないよ。


 情報クランと攻略クランは昨日レベルが上がって154になっていた。彼らはこのまま当初決めた東西のエリアから北上してレベルを上げながら川を目指すと言っている。


「タクはどうする?」


「せっかくだから川の東西を調べてみてもいいかな。どこかに橋があるはずなんだよな。それを見つけたい」


 そう言うと是非頼むと言われたよ。


 午後にログインすると俺たちは南の荒野の小屋からタロウに乗って移動することにした。今回の目的は川の東西を調べることだ。途中の移動はタロウに頑張ってもらうよ。


「ガウガウ」


 早く乗れと急かしてくるタロウに乗る。前にはリンネ、その前にはクルミ。2体ともタロウのスカーフをしっかり掴んでいるのを確認するとタロウのお腹を軽く叩いた。


「タロウ、川がある場所までぶっとばしていいぞ」


「ぶっとばすのです」


「ガウ!」


 小屋を出たところで吠えると猛然と駆け出した。途中にいるコヨーテを避けながらひたすらに北を目指して走っていく。歩いた時と違って1時間も掛からずに川が見える場所についちゃったよ。


「タロウ、頑張ったな」


「ガウガウ」


「まだまだいけると言っているのです。タロウは主の乗せて走ると疲れないのです」


 いやいや、流石にそれは無いだろう。でも見る限りまだ余力は十分にありそうだよ。


「さてと、どっちに行こうか」


「主、右に向かうのです」


「どうしてだ?」


「川の上流から調べるのが王道なのです」


 ほんまかいな。と思うが自分はどっちでもいいのでここはリンネの提案に乗ることにしよう。


「よし、じゃあ東に向かうぞ。ここからは敵を見つけたら倒しながら行こう」


 そう言うと何も言わなくてもクルミが魔法壁を張ってくれる。うん、いい子だ。しっかり撫でてから自分も空蝉の術で分身を出した。ここにいるコヨーテのレベルは158だ。単体ならまだしも、万が一複数体と遭遇することも考えないといけない。


 川を左手に見ながら草原を東に進んでいく。しばらく歩くと川がに沿って北上することになる。出会うコヨーテのレベルは158のままだ。幸いにというか討伐に苦労はしない。


 川の近くに大きな箱の様な四角いメサがあるとその周囲を回って何かあるか無いかをチェックしながら進んでいく。それらしきものはないなと思っているが、従魔達はそんなことよりも出会うコヨーテを倒すのが楽しいみたいだ。


「これでおしまいなのです!」


 そう言ったリンネが魔法を撃つとコヨーテが倒れて光の粒になった。同時に端末にコヨーテの牙が入ってきた。見ると結構な数の牙が貯まっている。岩をチェックしながら川沿いに進むこと4時間。結局この日は何も見つけられなかった。川辺から上流の方を見てみるが橋は見えない。


「元気になる場所がみつからないのです」


「ガウ」


「そうだな。あると思ったんだけどな。仕方がない。今日はここまでにいて明日もう一度、今度は西側を探検してみようか」


「みようか、なのです。明日もコヨーテさんと沢山やっつけてやるのです」


「おう、頼むぞ」



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