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テイマー忍者 〜ソロ忍者は従魔と共に駆け回る〜  作者: 花屋敷


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小さな街なのです

 マップクエストは2日もかからずに終わった。街の規模が大きくないんだよ。この岩影の街には装備を売っている店もなければ強化屋もない。忍具店もない。その代わりにアイテムショップの品揃えが豊富だ。ポーション系はもちろん、携帯用の食料なども売っている。カイアスさんはこの街のどこかにあるだろうお店から肉を仕入れているんだろうな。話を聞いている限りそういう設定だ。


「次の街へは遠いということだろうか」


「見つけにくいから食事を持っていけという事かもしれないな」


 プレイヤーズギルドの打ち合わせスペースでそんな話をしている俺たち。他にプレイヤーは来ていないのでここは情報ギルドと攻略ギルド、そして俺と従魔達で貸切状態だよ。打ち合わせなので従魔達もリラックスしているよ。タロウは椅子に座っている俺の隣で横になっている。クルミは俺の右肩、リンネは頭の上だ。


「タクはどう思う?」


 スタンリーが聞いてきた。


「簡単に見つからないって方かな。次の街というよりもセーフゾーンが見つからない可能性があるから食事を用意しているのかも。連続ログイン規制もあるけどそれに近い時間徘徊する可能性があるから食事を用意していると思った」


「セーフゾーンはあるだろうな。それが見つけにくいって可能性はあるよな」


「どっちにしてもレベルをある程度、どうだろう155くらいまで上げないと行けないんじゃないか。コヨーテは素早いしやりにくい相手だ」


 トミーの言葉に皆頷いている。言わないけど俺はやりにくいとは思っていない。従魔達が超優秀だから。タロウは大抵の魔獣よりも素早さが上で確実にヒットするし、リンネの魔法はほぼレジストされない。これも大きなダメージが出る。そしてクルミ。スロウの魔法が効果的なんだよ。もちろん俺も頑張ってるんだよ。これは一応言っておかないと。


 今のクランのレベルは153、俺たちは151になったところ。元々セーフゾーンの情報はNPCが教えてくれないので自分たちで探すしかない。


 端末のマップを見ると南の荒野の小屋から北上した場所にあるのがここ岩影の街。とりあえず中央部を移動してきている。でもここからは真っ直ぐ行くのか東か西か。全く予想がつかない。荒野の中にあちこちに四角い岩があって邪魔をしているので遠くまで見ることができない。もちろん荒野は平坦じゃなくて起伏がある。


 俺たちは相談した結果3パーティで3方向を調べることになった。とは言ってもレベルが足りないので、実際はレベル上げの場所としてエリアを決めたと言った方がいいかな。どこでやっても同じだと思うので場所は彼らにお任せした結果、俺たちは北方面を探索し、情報クランが東、攻略クランは西を探索することになった。


「実質レベルが一番高いのはタクだ。普通に考えたら北に行けば魔獣のレベルがあがる。なので一番高いレベルのタクに任せるのは当然だな」


 スタンリーのその言葉で決まったよ。


「主に任せると安心なのです。バッチリお仕事してくるのです」


 エリア分けが決まったところでそれまで黙っていたリンネが言った。聞いていない様でうちの従魔達は皆しっかりと聞いているんだよ。タロウもガウと吠えて尻尾を振ってるし。クルミも俺の肩の上でジャンプしている。従魔達はやる気十分だ。


 

 次の日から俺たちは3つに分かれてそれぞれのエリアの探索を開始した。俺の担当は北方面。門を出ると左右を見ながら北に進む。荒野のエリアには無数のメサがあり死角が多い。メサは低いのでも10メートル以上、高いのになると100メートルはあるんじゃないかと思えるほど高い四角い岩が小山の上にまるで誰かが置いた様に存在している。全てが赤茶けた岩だよ。


 このエリアはグランドキャニオンとモニュメントバレーを意識して作られているのは間違いないだろう。見ている分には壮大な景色なんだけどそこを探索するとなると結構しんどい。街を出て結構な頻度でコヨーテを倒しながら1時間ほど歩いて大きめのメサを過ぎると前方に草原が見えてきた。草原の中に赤茶けた岩が乗っている感じだよ。よく見ると林になっているところもある。このあたりからゲームのオリジナリティを出してきてる。


「緑の木が見えるのです」


「うん、緑の草原が見えてきたな」


「ガウガウ」


 しばらく茶色ばかりの景色が続いていたから緑を見ると安心するよ。

 草原というかサバンナを歩いているとコヨーテのレベルが157に上がった。コヨーテを倒して北方面を歩きながらメサがあればその周りを1周する。たくさんあるのでそれぞれのメサの周りをチェックすることもあって直線距離にしたらそれほど進んでいない。あちこちのメサをチェックしながら4時間ほど探索をした俺たちはこの日の探索を終えて自宅に戻ってきた。彼らには本日は収穫なしとメッセージを入れてある。自宅に戻ってから今日のルートを端末の地図でチェックしてみる、もし直線的に北に進んだとしたら2時間程進んだあたりまで探索したことになる。2時間なら次の街には着かないだろう。


 しばらくするとクラリアとスタンリーからも収穫なしという返事が来た。ただ彼らは相手をしたコヨーテのレベルがずっと156だったと言っている。つまり北方面だけがレベルが上がっている。次の街は方向的には北になるだろう。でも真北とは限らないよな。東や西から北に上がった場所だという可能性もあるよ。


 自宅に戻ると従魔達もリラックスしている。留守番をしていたランとリーファと一緒に庭で遊んでいるのを見ていると端末が鳴った。


「主、お電話なのです」


「うん、ありがとう」


 端末を見るとクラリアだ。彼らも今日の活動が終わったのでいつもの4人でここに来るという。俺はOKするとお茶と果物の用意をした。それを見ていた従魔達が集まって来た。


「主、お友達がやってくるのです?」


「そうだよ。いつもの4人だよ」


「準備は万端なのです」


 小姑リンネのOKが出たよ。

 

 

 いつもの4人が庭に入ってきた。黙っていても縁側に座る4人。いつもの指定席だよ。


「ログアウトする前にこのお茶を飲むのがいいんだよな」


「そうそう。妖精が手伝ってくれているお茶は美味しいよ」


 お茶を飲みながら情報交換だ。情報クランと攻略クランは東西に移動しながら高いメサの周囲をチェックして進んだが、街は見つからなかった。そして東西の端はまだ見えていないと言う。俺が北に進んだら草原や林があるというと東西にはなかったと4人が言った。彼らは探索の途中でレベル153に上がっている。俺たちは今日は上がらなかった。


「ずっと茶色の大地なのかと思ったら北に行くと緑があるってことか」


「そうなるね。ただ後でマップを見たら直線距離にしたら2時間程しか北上できてなかった。あと3倍くらいの距離は必要だよね」


「私たちも同じよ。あちこちにあるメサをチェックしながら進んだから直線距離にしたらタクと変わらない。焦る必要はないからのんびりやりましょう」


「次の街の前にまたセーフゾーンがある可能性もあるわよね」


 マリアが言ってなるほど。と気がついたよ。頭の中で次の街の事しか考えていなかった。言われてみればセーフゾーンがどこかにある可能性がある。このエリアはセーフゾーンが多い気がする。なのでその可能性は十分あるよ。


「マリアの言うセーフゾーンがあるとしたら、必ずしも北上が正解ルートとは限らなくなってくるな」


「スタンリーの言う通りだ。俺たちの東西方面組はまず東西の端を見つけてそこから北上だな」


 方針が決まった。

 

 情報クランによればまだ関所の街のスタンプラリーを始めたパーテイ、プレイヤーはいないそうだ。


「皆苦労してる。強化をするのもそうだし、俺たち情報クランが台地の下の情報を出したんだよ。タクは148で下に飛んだが、飛んだ先にいるコヨーテが154だろう?普通のパーティじゃレベル148だと倒せない。150以上はあった方がいいと情報に書いたので皆レベル上げもやっている最中だ」


 確かに関所の街から飛んだ先のコヨーテが154だ。それを知ったら少しでもレベルを上げたいと思うだろうな。それに経験値を稼いでいる間に神魂石が手に入り強化もできる。


「なので当分の間は台地の下に新しいプレイヤーは来ない」


 レベルを上げて、強化を終えても、最後のスタンプラリーで8日、下手したらそれ以上かかるものな。情報クランも攻略クランもあのクエストはこのPWLで今までで最もきついクエストだと言っている。俺はタロウ号に乗って楽したけど。


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