従魔サービス期間 その2
次の日、午前中は畑の収穫、種まき、そして農業ギルドに野菜と果物を卸す。これが安定した金策の1つだ。
自宅に戻ると船の出港時間まで庭で従魔達と一緒に遊ぶ。遊ぶと言っても従魔達が遊んでいるのを縁側に座ってお茶を飲みながら見ているだけなんだけど。見ていると時々思い出した様に従魔達が寄ってくる。撫でてやると満足したのかまた遊び出す。
「そろそろ船に乗るぞ」
そう言うと皆一斉に寄ってきた。
「ランとリーファはお留守番を頼むね」
2体の妖精が任せろとサムズアップする。
俺たちは転送盤を使って森の街に飛んだ。この前は水の街から乗ったから今回は森の街から乗るぞ。景色も変わるし。
森の街に飛んで桟橋に足を向けると大きな船が泊まっていた。その船を見たクルミが俺の肩からタロウの背中に飛び移るとそこで何度もジャンプする。うん、テンション爆上がりだな。
船に乗り込むとそこは個室。部屋に入って俺がバルコニーに続く扉を開けると3体の従魔達がさっそくバルコニーに腰を下ろして外の景色を見る。
「タロウ、クルミが落ちない様に見ておいてくれよ」
「ガウガウ」
任せておけと尻尾を振りながら吠えているタロウだけど、タロウ自身のテンションが上がりまくりじゃないか、大丈夫か?
「主、リンネもばっちり見ておくから安心するのです。主は心配性なのです」
「そ、そうか。とにかく頼むぞ」
ジャンプしたら軽くバルコニーの柵を越えることができる。心配するなという方が無理だよ。
時間が来て船が動き出した。バルコニーにいる3体は尻尾をブンブンと振っている。
「主も一緒に見るのです」
「おっけー」
部屋にいた俺もバルコニーに出ると椅子の上に座った。すぐにクルミが肩の上に乗ってきて、リンネは頭の上に飛び乗ってきた。
離岸し、ゆっくりと方向転換をした船は水の街を目指して川の上流を目指して進みだした。
「クルミ、この前今日とは景色が違うからな」
そう言うと肩の上でジャンプする。
気持ちいい風が吹いている中、船は川を湖に向かって進んでいる。バルコニーから見える景色は森でそれがずっと奥まで続いているのが見える。試練の塔はここからだと見えないな。
従魔達がずっと外を見ているので俺は先に部屋に戻った。ベッドでゴロンと横になっているとタロウが尻尾を振りながら個室に入ってくると床の上で横になる。
「ガウ」
俺を見て尻尾を振りながら一吠えした。何となく言いたいことが分かったのでベッドから降りるとタロウを背枕にして背中を預ける。するとタロウの尻尾の振りが大きくなったよ。
「タロウは外を見なくてもいいのかい?」
「ガウ」
「うん、こっちの方が好きならそれでいいんだよ」
「ガウガウ」
尻尾を振って吠えている。
付き合いが長いのでリンネの通訳なしでも大体意味がわかるぞ。
日が暮れてきたころになってようやくリンネとクルミが部屋に入ってきた。
「明日、日が登ったらまたバルコニーから外を見ていいからな」
「ガウ」
「主、タロウが主は今日はこの格好で寝て欲しいと言っているのです」
「いいのか?重くないかい?」
「大丈夫なのです。リンネとクルミは主と一緒にお休みするのです」
「よし、じゃあそうしよう」
タロウがベッドに上がって横になったところに俺が背枕をして背中を預ける、足を伸ばしたタイミングでリンネとクルミがベッドに上がってきた。リンネは俺の広げた足の間に体を横たえて顔を足の上に乗せ、クルミは俺の腹の上でゴロンと横になった。
「タロウ、大丈夫かい?」
「ガウガウ」
尻尾を振っているのが見えた。大丈夫だろう。
翌朝、目が覚めるとバルコニーの扉を開けた。早速3体の従魔がバルコニーに出て外をいる。船は大きな湖の上を疾走していた。俺がバルコニーの椅子に座るとリンネが頭の上に乗ってきた。クルミはタロウの背中に乗ったまま必死で外を見ているよ。
そのクルミがタロウの背中の上でジャンプした。
「クルミが大喜びしているのです。大きなお船は気持ちいいと言っているのです」
「そうか。この船ならいつでも乗ることができるからな。また今度一緒に乗ろう」
そう言うと今まで以上に大きなジャンプをする。気に入っている様で何よりだ。
船は予定通りに水の街に着いた。個室のドアを開けるとそこはもう桟橋に続くタラップだった。桟橋に降りるとクルミが肩に乗ったかと思うとポンチョのフードの中に入ったよ。
水の街から一旦外に出て、そこで転移の腕輪自宅に戻ると休憩タイムだ。俺がお茶を入れて縁側に座ると、屋根付きの船に座っていたランとリーファが飛んできて俺の両肩に座った。タロウは精霊の木の根元でゴロンと横になり、リンネは座った膝の上に乗ってきた。
「主はお茶をしているのです」
「その通り、休憩タイムだ。休んだらリンネの両親の家に行くぞ」
「はいなのです」
お茶するってどこで覚えたんだよ。時々教えてもいない言葉を話すんだよな。
小一時間ほど休憩すると、お土産を持った俺はランとリーファにお留守番を頼むと、開拓者の街の外でタロウに乗った。
「タロウ、ぶっ飛ばしていいぞ」
「いいぞ!なのです」
「ガウ!」
一吠えすると猛然と走り出した。途中で坑道ワープをし、あっという間に俺たちは隠れ里近くの東屋に着いた。そのまま山沿いを歩いてダミー岩を抜けると隠れ里だ。坑道の先にユズさんがいて俺たちを出迎えてくれる。
「主、リンネは父上と母上の元に行ってくるのです」
「おう、行ってこい」
両親がいる祠に向かって走り出したリンネを見て、俺たちは村長の家に顔を出した。いつものイチゴのお土産を渡して村長のクルスさんと話をする。
「そうですか。雪が降るエリアですか。プレイヤーさんはあちこち移動して大変ですね」
「好きでやってますからね。リンネもいつも頑張っていますよ」
「それは大主様が聞かれたたらお喜びになるでしょう」
村長の挨拶が終わると俺は祠に向かう。隣をタロウが歩き、クルミはポンチョの中だ。
参道の先にリンネと両親が待っていた。祠にイチゴをお供えする。
「リンネから話は聞いた。タクも元気そうでなによりだ」
「ありがとうございます。相変わらずあちこち移動してますが、リンネやタロウ、そしてクルミが強くなっているので大助かりの日々です」
「加護の効果は実感できておるのか?」
「はい。レベルが2つ程上がった感覚がありますね」
そう言うと大主様が大きく頷いた。
「タクのこれからの冒険の助けになるだろう」
「おっしゃる通りですね」
挨拶が終わるとリンネがまた来るのですと両親に挨拶をしてから俺の頭の上に飛び乗ってきた。最後はいつものコンビニだ。キクさんにポーションとイチゴを渡して大量の野菜をもらう。これももうすっかりお馴染みになっちゃったよ。
「ポンチョを着てくれているんだね」
「クルミがこのフードを気に入ってくれてね。それにとても暖かいので今いる雪のエリアでは重宝しています」
俺が言うとそりゃ良かったとキクさんも喜んでくれる。また何か良いのが入ったら教えてあげるよという声にお願いしますと言った俺たち。隠れ里を出ると転移の腕輪を使って自宅に戻ってきた。今日はここまでだ。あとは自宅でクールダウンしよう。
自宅に戻って縁側に座ると、クルミは小川にある小さな船に乗ってそこから川を泳いでいる魚を見ている。タロウは精霊の木の根元、いつもの場所でゴロンと横になった。ランとリーファが飛んで来て俺の両肩に座り、リンネが膝の上に乗ってきた。
「リンネ、満足したか?」
「はいなのです。また来月父上と母上に会いにいくのです」
「そうだな」
「明日は雪合戦なのです」
「そうだ。ソリと雪合戦だ」
「主、雪合戦はリンネと勝負!なのです」
気合い入ってるな。
「おう。真剣にやるぞ」




