3.5章18話金額の違和感
「コーイチ、二日後に護衛、いいか?」
いつも通り、ギルドのカウンターでウサギと採集した薬草を換金し終えたあと、受付嬢がそう言った。
「えっ? あっ、はい……」
反射的に答えたあと、コーイチはミアの顔を見て確認を取る。
「指名じゃん! やるね。」
ミアがニヤリと笑う。
「あのー……ミアも一緒でもいいですか?」
コーイチがそう聞くと、受付嬢は「ちょっと待ってろ」と言って席を離れ、奥の部屋へ向かった。
しばらくして戻ってくる。
「大丈夫。」
そう言って、机の上に一枚の紙を置いた。
「報酬はこれだ。」
示された数字を見て、ミアが目を丸くする。
「なに? この金額。」
思わず受付嬢を睨んだ。
危険度がますほど高額になる。
「危険人物じゃないの? 誰かに狙われてるとか?」
受付嬢は淡々と首を横に振る。
「危険度はそれほど高くない。普通程度だ。」
「普通でこの金額……?」
ミアは納得していない顔だ。
受付嬢は説明を続ける。
「手付は一割。当日の朝に渡す。成功報酬制で、護衛達成時に残金を支払う。わかったか?」
手付で契約を成立させ、成功報酬にしているのは逃亡防止のためだ。
万一、逃げ出した場合は違約金をギルドに支払うことになる。
なお、被護衛者への支払いがないのは――失敗時には被護衛者が死亡している可能性が高いためだった。
合理的で、そして少し冷たい仕組み。
「コーイチ、どうする?」
ミアが横から覗き込む。
受付は仕事に関して嘘をつかない。
信用を失うことは、ギルドにとって致命的だからだ。
また、冒険者側も危険すぎる仕事は普通は受けない。
危険度は“普通”。
そしてミアもいる。
コーイチはミアの目を見た。
「……やろう。」
ミアは少しだけ間を置いてから、肩をすくめた。
「コーイチがそう言うなら。」
声は少し渋々だった。




