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異世界転生した理系男子が、地味スキルで冒険者をやっていたら、なぜか誰からも攻撃が当たらない件  作者: カトーSOS


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3.5章17話消える

挿絵(By みてみん)


3.5章17話消える


「で。地面が凹むってやつ、見たいの?」


「お願いします」


「はあ……」


ミアは呆れた顔で、少し離れた場所へ移動した。


「変な白い粉出したばかりじゃん」と愚痴を言いつつ地面に手のひらを置く。


「誤解を受けるような事は言わないでください。」


コーイチが真顔で言うと、ミアは一瞬固まった。


「……何のこと?」


問い返しながらも、ミアは地面に手のひらを置き、視線を落として詠唱を始める。


短い詠唱が終わった瞬間。


地面が、すとん、と沈んだ。


深さは三センチくらいだろうか。

手のひらの形のまま、きれいにへこんでいる。


「こんな感じだよ」


ミアは手を引っ込めて言った。


「なんの役にも立たないでしょ」


「……」


コーイチが答えない。


「コーイチ?」


ミアが顔を上げてコーイチを見ると――


コーイチの顔色が、真っ青だった。


「ちょっと……よく見せてください」


コーイチはしゃがみ込み、凹みをじっと観察した。

指で触れ、手のひらを当て、少し掘ってみる。


ミアは不安になって覗き込む。


「どうしたの?」


コーイチは小さく、息を吸った。


「……ない」


「え?」


「なくなってる」


コーイチは凹みの底を指差した。


「土が、ないんです」


「へこんだだけでしょ?」


「違う。凹むと言われたから圧縮されると思った」


コーイチの声が、だんだん早くなる。


「でもこれは違う。圧縮なら、周りが盛り上がる。逃げ場が要る。量は勝手に減らない」


ミアはぽかんとした。


「量……?」


「……土が消えた」


コーイチは凹みを見つめたまま、呟くように言った。


「どうして気が付かなかった……水魔法のときに……」


「水魔法?」


「あの水は、どこから来たんだ」


ミアは口を開いたが、言葉が出ない。


「今の炭酸カルシウムは、どこから来た」


コーイチの視線が、白い粉に移る。


「生成?」


首を振る。


「そんなレベルじゃない……」


コーイチは、しばらく沈黙した。


そして、低い声で言った。


「……この世界の魔法は、物を“作る”んじゃない」


ミアが眉をひそめる。


「じゃあ、なに?」


コーイチは凹みを見つめたまま、吐き出すように言った。


「……物を、どこかから“持ってくる”か……」


「……どこかへ“捨ててる”」


ミアの背中に、ぞくりとしたものが走った。


「なにそれ……」


「わかりません」


コーイチは苦笑した。

だが、その笑いは乾いていた。


「でも、これは――」


凹みを指先でなぞる。


「“凹む”じゃない」


「“消える”です」


ミアはしばらく黙っていたが、やがて小さく言った。


「……それ、役に立つの?」


現実的すぎる問いだった。


コーイチは、ゆっくり顔を上げる。


「……使い方次第で」


一拍。


「とんでもないことになります」


挿絵(By みてみん)

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