↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生した理系男子が、地味スキルで冒険者をやっていたら、なぜか誰からも攻撃が当たらない件  作者: カトーSOS


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
35/57

第3.5章 第3話(仮) 魔石

挿絵(By みてみん)


第3.5章 第3話(仮) 魔石



 翌朝。


 コーイチがギルドに着くと、ミアはすでに掲示板の前に立っていた。

 腕を組み、依頼書を流し読みしている。


「早いですね」


「そっちが遅いんでしょ」


 軽く言ってから、ミアは掲示板を指で叩いた。


「今日どうする?」


 掲示板には、いつもの依頼が並んでいる。


 清掃。

 城壁の補修。

 資材運び。


 それから、素材採集や薬草採集。


 コーイチは、自然と視線を巡らせながら口を開いた。


「依頼って、大きく分けると二種類ありますよね」


「固定報酬と歩合ね」


 即答だった。


「固定は一日作業とか、作業単位で金額が決まってるやつ」

「清掃とか、城壁直しとか、冬なら雪かき」


 指を一本立てる。


「基本は後払い」


 次に、二本目。


「手付金と成功報酬が分かれてるのが、護衛とか」


 そして、三本目。


「歩合は、素材集めとか薬草採集」

「量に応じて、報酬が出る」


 説明しながら、ミアは掲示板を見直した。


「だからさ」


 軽く振り返る。


「今の私たちは、歩合がいいと思う」


「同意です」


 即座に答える。


 歩合なら、動いた分だけ成果が返ってくる。

 ペアを組み始めたばかりの今には、ちょうどいい。


 そのとき、コーイチの視線が一枚の依頼書で止まった。


「……これ、なんです?」


 指差す。


「魔石採集」


 ミアが、一瞬だけ固まった。


「……え?」


 そして、素で聞き返す。


「魔石、知らないの?」


 その顔には、驚きがはっきり出ていた。


「名前は見かけますけど」

「実物は、よくわからなくて」


 ミアは、ほんの一瞬考えると、ため息混じりに説明を始めた。


「魔獣を倒すとね」

「体のどこかに、魔石があるの」


「体内、ですか」


「そう」


 当然の前提、という口調だった。


「毛皮とか、角とか、牙とか」

「あと肉ね」


「それとは別に、魔石」


 当たり前のように続ける。


「だから、狩ったついでに取るもの」


 コーイチは、ゆっくり頷いた。


「なるほど……」


 言われてみれば、思い当たる。


「そういえば」

「前に一緒に仕事した人が、解体してましたね」


「でしょ」


「分け前はやるからって言われて」

「特に気にしなかったんですが……」


 ミアは、少しだけ首を傾げた。


「珍しいね」


「何がですか」


「博識なのに」


 あっさり言われる。


「普通の野菜とか果物は知らないし」

「魔石も知らない」


 じっと見る。


「キリンシも、知らなかったよね」


「……名前は、初めて聞きました」


「へぇ」


 ミアは、どこか面白そうに笑った。


「不思議な人」


 悪意はない。

 純粋な感想だ。


 コーイチは苦笑した。


「自分でも、そう思います」


 ミアは依頼書を一枚剥がし取った。


「じゃ、今日はこれ」


 魔石採集。


「危険度も低めだし」

「ちょうどいいでしょ」


「お願いします」


 そう答えながら、コーイチは思う。


 魔石。


 エネルギーであり、情報を内包する結晶。

 それを取り込んだ存在が、魔物になる――

 そういう仕組みが、この世界には当たり前にある。


 だが、その当たり前を、

 自分はまだ、ちゃんと知らない。


 ミアの背中を追いながら、

 コーイチはそのことを、静かに自覚していた。



挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。