第3章 第23.6話 今、聞く?
第3章 第23.6話 今、聞く?
ミアはくすっと笑った。
「母親が教えるの」
「……え?」
「避妊魔法」
ミアは肩をすくめた。
「女の子はみんな覚えるよ」
コーイチはしばらく黙っていた。
それから、少し真面目な顔になる。
「その魔法」
「うん?」
「どういう仕組みなんですか」
ミアは一瞬ぽかんとした。
「仕組み?」
「はい」
コーイチは少し身を乗り出した。
「魔力で受精を阻害するのか、それとも着床を防ぐのか」
ミアは目をぱちぱちさせる。
「……なにそれ」
「つまりですね」
コーイチは空中に図を描くように指を動かした。
「生殖にはいくつか段階があります」
ミアは吹き出しそうになり、肩を震わせた。
「ちょっと待って」
「はい?」
「今、それ説明するの?」
コーイチは首をかしげる。
「……だめですか」
「だめじゃないけど」
ミアは笑いをこらえながら言う。
「普通、今それ聞く?」
コーイチは真剣な顔のままだった。
「気になります」
その一言で、ミアはとうとう声を出して笑った。
「コーイチってさ」
「はい」
「時々ほんと変」
「そうでしょうか」
ミアはベッドの上で体を起こした。
髪がさらりと肩へ落ちる。
「細かい理屈は知らないよ」
「そうなんですか」
「うん」
ミアは指を一本立てる。
「魔法かける」
「はい」
「子どもできない」
「なるほど」
コーイチは真剣にうなずいた。
「便利ですね」
「でしょ」
少し間が空く。
「効果時間は?」
ミアはまた吹き出した。
「まだ聞くの?」
「大事な情報です」
「一日くらい」
「再詠唱可能?」
「できるよ」
コーイチは満足そうにうなずく。
「なるほど……」
ミアはその横顔を見つめた。
(やっぱり変)
でも、それが少し可笑しい。
そして、少しだけ好きだった。
ミアはコーイチの肩を軽く押した。
「もういいでしょ」
「え?」
「研究は後で」
ミアはにやっと笑う。
「今は別のこと」
コーイチは一瞬きょとんとして、
ようやく我に返った。
「……あ」
ミアは楽しそうに笑う。
「やっと戻ってきた」




