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頻発

「あっ」


 反応した直後を通行人にぶつかられ、露骨に睨みを利かされる。



「あっ」


 庭に水を撒く家主の姿が視界に入ったのでうっかり立ち止まったところを、手元が狂った当人に水を噴きかけられる。



「あっ」


 聞こえぬフリをしてスマホをいじっていたら、同行していた友人らに酷く咎められた。財布を落として声を上げた友人の硬貨を、美紀を除いた皆で拾ってあげていたらしい。



「あっ」


 判断に迷ってたたらを踏んだ際、ポケットからスマホが転がり落ちてケースごと液晶画面が割れた。


・・・


・・



「あっ」


 声は、不規則に聞こえた。


 二日続けて聞こえる時もあれば、何日か間が空いて気も緩みかけた頃になって出し抜けに囁かれる日もあった。そして、間が空く程にアクシデントの悲惨度合いも増した。


 反応しても無視しても、どのみち嫌な出来事は起こった。


 咄嗟に判断できない為に、挙動不審になっていく。


 一人で惑っている姿を変なものを見るような目で一瞥される機会も増えて、財布を落とした友人達との関係性はぎこちなくなって、いつどこから聞こえてくるか分かりもしない声に振り回される日々が続いて。


 それで結局――。



 美紀は、外を出歩けなくなった。


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