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男爵家長男のクラフト革命  作者: シキ


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第4話:初実戦

『習熟度のレベルが上がりました』


 詳細を確認できそうなので確認すると、以下の画面が出てきた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 習熟度のレベルが上がりました。


 以下のアイテムがオートモードに追加されます。


 ・石壁


【見積機能】が追加されました。


【見積機能】

 材料投入画面に作成時に必要な数量が表示されます。

 必要材料数に達したかを判定できます。


 作成時の品質補正が1.1倍に上昇しました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 内容を確認すると、思わず頬が緩むような情報が並んでいた。

 見積機能は特に嬉しかった。

 村で作業していた時も、少し足りない時などの判定が難しかったから、これは助かる。


「必要数を判定できるって書いてるけど、どこで見れるんだ?」


 とりあえず俺は追加された石壁を選択し、材料投入画面を見てみることにした。

 すると、材料投入画面の文章が、今まで白色だったのが赤色に変わっていた。


 なるほど。赤色が緑色に変われば作成できるってことか。


「うわ……」


 見たくなかった現実が見えてしまった気分だ。

 見積機能で石壁に必要な材料量が表示されたのだが……。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 対象:石壁


 高さ:3m

 幅:3m

 厚さ:0.5m


 必要素材


 石材 1t

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 1tって……。

 明らかに必要量おかしいだろ!

 ……いや、これぐらいの石壁だったらそれぐらいはするのか?


 ともかく、木の防壁の後ろに石壁を囲って補強するという案はこれで無くなったな。

 木壁はそこまで苦労しなかったから行けると思ったんだけどなぁ。


 コンコン。


「アルト坊ちゃん。もう夕食の支度が整ったから降りてきな」

「はい、ミアさん」


 ドアの外からミアさんの声が聞こえ、俺は慌てて服装を整え、リビングに向かった。


 夕食の最中。


「聞いたよ、村の防壁を直してくれたんだってね。村の噂になってるよ。領主様の息子が村を救ったって」

「救ったなんて、そんな大げさですよ。壊れたところを直しただけですし……」

「アルト様。謙遜することはありません。防壁自体は簡易で修理はできても、すぐ魔物に破壊されて困っていたのです。アルト様が作っていただいた防壁なら、魔物もそう簡単に破壊できないでしょう」


 二人に褒められて、役に立てたという実感が湧いてきた。

 喜びで思わず俺の顔がにやけてしまう。


「そういえば、防壁を直した時のって……もしかしてスキルかい?」

「ミア、失礼ですよ」

「ああ、ごめんごめん。でも気になっちゃってさ!」

「大丈夫ですよ。隠すつもりはありません、これからも村で使うことになると思うので」


 他人のスキルを聞くのは、この世界ではあまり良くないとされている。

 ミアさんもそれをわかったうえで、確認しておきたかったのだろう。

 ガレスは……まあ、そういう細かいことは気にしない人だから。


 そんなわけで、ミアさんたちにもアーキテクトについて教えることにした。


「へぇ……材料さえあれば何でも作れちまうのかい?」

「何でもというわけじゃありませんけどね」

「それでも十分すごいよ。そのスキルで物をつくるのに、時間はかかるのかい?」

「材料さえそろっていれば、作るのは一瞬ですね」

「なるほどね……だから短期間で修理できたんだね」


 ミアさんが的確な質問をしてくれるおかげで、早く共有できた。

 話がひと段落つくと、村長は俺に頭を下げた。


「アルト様。ミアが失礼しました」

「顔を上げてください、リクルド村長。さっきも言いましたが、スキルを話すのは今後のためです。いちいち秘密にしていたら、人前でスキルを使えないでしょう?」

「ほら、アルト坊ちゃんもそう言ってるじゃないか!」

「……分かりました。私たちに協力できることなら何でもおっしゃってください」

「ありがとうございます」


 村長は気にしていた様子だったが、最後は納得してくれた。


「それで次は何を作るつもりなんだい?」

「今日見た井戸が使いづらそうだったので、手押しポンプを作ろうと思っています」

「手押しポンプ……聞いたことないね。何かの道具かい?」

「井戸の水を楽に汲める道具ですよ。作ったら教えますね」

「そりゃ楽しみだ」


 視察の途中で井戸を見たら、案の定桶を手動で引っ張り上げる大変な方法だった。

 これで手押しポンプを作れれば、かなり負担を減らせるだろう。


 まずは革を集めないとな。

 そのためには、魔物を倒して革を手に入れるしかない。

 村の資源を使うのはもったいないからね。


 そうして、手押しポンプの材料集めのため、魔物討伐へ向かうことになった。


 ◇ ◇ ◇


 翌朝。


 俺は昨日のうちに、ガレスに相談したら、何故か朝早い時間に呼び出された。


「よう、アルト坊。それじゃあ、早速行くぞ」


 ガレスは上機嫌で森に進み、俺のその後ろを少し憂鬱な気分でついていった。


「どうかしたか?」

「いや、できれば戦いたくないなって」

「昨日、素材を集めるために魔物と戦うって言いだしたのはアルト坊だろ?」

「それはそうだけど……俺が戦闘苦手なの知ってるだろ?」

「アルト坊なら大丈夫だ!もっと自分の力に自信を持った方がいいぞ。それに俺もついてる」


 緊張して手が震える。


「来たぞ!」


 ガレスの視線の先にある茂みから小さい蜘蛛が飛び出してきた。


 リトルスパイダーという魔物で、討伐難易度はEランクに当たる。

 全長50センチほどで、すばやく移動しながらの攻撃が特徴の魔物だ。

 ただ、Eランクということもあり、比較的倒しやすい魔物だ。


「ふぅ……」


 息を吐いて、震える手を押し殺し、腰の剣を引き抜き構える。

 構えた直後、そいつは俺めがけて飛び掛かってきた。


「はあっ!」


 掛け声とともに真下を潜り抜けながら一閃。

 俺の剣はその小さな魔物を捉える。

 振り向いて、魔物が斬れていることを確認すると、真っ二つにはならず、腹部が裂けていた。


「よしっ!」


 そう喜んだのもつかの間。まだ倒せていなかった蜘蛛の魔物は、再度俺に飛び掛かってくる。

 油断していた俺は完全に不意を突かれてしまった。


「しまっ――」

「甘い」


 いつの間にか俺の近くにいたガレスが、下からリトルスパイダーを切り上げ、真っ二つにした。

 見えないほど早い切り上げに驚嘆していると、お叱りの声が飛んできた。


「気を抜くな。俺が倒さなかったらやられていたぞ」

「……うん、分かってる。気をつけるよ」

「ただ、初めてにしては上出来だ。よくやったな!」


 ガレスが俺の頭を撫でて褒めてくれると、少し嬉しくなる。

 次からは倒し切るまで油断しないようにしよう。


 倒した魔物に近づくと、すでにその姿はなく、糸の素材を落としていた。

 そう。この世界の魔物は死亡すると、ドロップアイテムとなる。

 ……アーキテクトのUIや、魔物のドロップアイテム仕様。明らかにゲームっぽいんだよな。

 まあ、解体なんて出来ないから助かるんだけど。


「目当ての素材は手に入ったのか?」

「いや、今回は革が欲しいんだよ」

「革か……この辺りだとボーンボアか。じゃあ探すぞ」

「ちょっと待ってよー!」


 俺は素材を回収しながら、ガレスの後を追った。


 それから2時間後。


 お目当ての魔物はなかなか現れず、リトルスパイダーとの戦闘ばかり繰り広げていた。

 そのおかげで、糸の素材はある程度確保できた。

 そしてようやく、


「おいアルト坊。見つけたぞ」


 ガレスに手招きされ、草陰から覗き込む。

 そこにいたのは、標的のボーンボアだった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

次回更新は、11月3日(火)17時です!

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