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「私さあ、双子なんだよね。」
唐突に中山さんが言い出した。突然始まった生い立ち話に、何の話かと黙って聞いてしまった。向かいの江奈も止まってる。
「とはいえ二卵性だから似てないんだけど、小さい頃に両親が離婚したから、別々に引き取られたの」
周りの生徒達も、先程のペットボトルの音でこちらに注目し、チラチラ見ているのがわかる。
「お姉ちゃんはあなたたちと同じ小学校だったの」
その一言で、私は固まる。
あのことを知ってる。いや、それ以上に嫌な予感がした。
「お姉ちゃんの名前は、遠藤理圭。覚えてるでしょう?あなたを落とした、とされてる人物よ」
『とされてる』
この言葉に中山さんの言いたいことが集約されてる気がした。
「……リカちゃん……」
消え入りそうな声で呟いた私を、中山さんは冷たい目で見下ろしてくる。
寒気がする。耳鳴りがして、足ががくがくしてきた。ぶわりと湧いた冷たい汗が気持ち悪い。
「私、知ってるのよ。あの時あなたが自分で落ちたことを」
昼の学食は、学生で賑やかに混雑している。彼女はわざと人が一番多い場所と時間を選んで、爆弾を落としてきたのだ。
胃の真ん中を冷たい何かがすーっと通り抜けていく。
「ちょっと、あんた何の話をしてるの!?」
江奈が中山さんに喰ってかかった。
「あなたにも教えてあげる。この人はね、恭太君を手に入れるために、狂言自殺したのよ。」
周りが静かになった。
「しかも、自分で落ちたくせにそれを人のせいにしようとした。お姉ちゃんはただ恭太君が好きだっただけなのに、そんなことしてないって訴えたのに、周りからは完全に殺人者扱いよ。小学生の女の子がそんな目で見られたらどうなるか、わかる?」
切々と語る彼女の話には、私が散々いじめられていたことが抜けている。
リカちゃんに……他の誰かに恭太を取られたくなくて、私がわざと落ちたのは本当だが、そこまで追い詰めてきたのはリカちゃんだ。
本当と嘘が混ざってる…。
頭はガンガン鳴っているのに、一部分だけ冷静な所が、なんとか中山さんの話を聞いている。
「恭太君はこのことを知ってるのかしらねぇ?」
中山さんの顔が、ひどく浅ましい笑みに歪んだ。
「……わな……で……」
勝手に口から懇願が出る。
「恭太にはっ……言わないでっ……!」
絞り出すように言った。
後から考えれば、これだけの人数に聞かれているのだから、中山さんを口止めしても、恭太の耳に入るのは確実なのに、この時はそこまで考えられなかった。
「もう、遅いと思うけど?」
勝ち誇ったように言う中山さんの目線を辿れば、そこには呆然と立ち尽くしている恭太がいた……。




