第一話
私が引っ越したきっかけは、両親の死だ。
2人で旅行中に、乗っていたバスが事故を起こしてしまったからだ。
その事故で亡くなったのは30人。そのバスに乗っていたため2人は死んでしまったのだ
引っ越す事になったのは、おばあちゃんの家。そこに住めるようになったからだ。
住めるようになった、と言うのは、お婆ちゃん1人で住むのには広すぎた為、からだが悪くなってきたお婆ちゃんには辛く、もっと狭い家に引っ越したのだ。
別に2人で住めば良いじゃないか、そう思ったのだが、お婆ちゃんが
「二代離れた人間と暮らすのは気を使う」
と言ったので、それは叶わなかった
そんな家だったら私が住むのにも広いんじゃないか。そう思ったが、叔母さんの仕送りで生活している私には意見を出すことは出来なかった。
*
引っ越したのは大きな川に面したマンションの5階。それなりに良い家で、4LDKと設備も良かった。1人で住むのには広すぎる位だ。
引っ越しの作業と言うものは意外と疲れるもので、作業が終わった直後に睡魔が押し寄せてきた
流石にあせまみれのまま寝ることは出来ないので、風呂に入っておく。
風呂もそれなりに広かった。
風呂から上がり、自室として整理した部屋に入った。川が見えるのはその部屋しかなかったのだが、そこから見える景色はとても綺麗だった為、そこを自室とした。
窓をあけると春の心地よい風が入ってきた。しかし、冬を越して直ぐだった為か、ずっと開けていると少し肌寒く感じた。
このまま寝たら風邪をひく。そう判断し、窓を閉めようとした時、川の方からある音が聞こえてきた。
その音は何かのメロディーを奏でているようなのだが、全く聞いたことのないメロディーだった。良く聞くと、そのメロディーを奏でている音も聞いたことがない。笛の類いだと言うことは分かるのだが、名前がわからない。
この音の正体はわからない。でも、何だか心が落ち着いてホッとする音。誰がこの音を作り出しているのだろう。そんな疑問がわいてきた。
知りたい。
そう思い、川の土手を探してみると、1人の少年が目に入った。
草の上に寝転がりながら、口に手を当てている。今聞こえている音は口笛で出せる音ではない。しかし、この辺りにはあの少年以外に姿は見えない。あの少年があの音を作り出しているとしか思えない。
幸い来週迄は学校もない。明日からこの時間帯は土手に下りて正体を探ろうと思う




