第三十三章:アリシア最強の鎧を入手する!
最強の鎧は完成するのか?
今度は貫通しないことを願いたいが……
ハイゼンは鎧を作り直すことになった。
どんな鎧が完成するのか……
楽しみだが、
すでに夕方になっている。
「ケイティ!」
「荷造り手伝うよ!」
「大丈夫……」
部屋でくぐもった声が聞こえて、
アリシアは慌てて入る。
「え!?」
「問題なかったのね!」
「うん」
「平気だよ」
ケイティは何事もなく、
部屋で作業していた。
「思ったよりお部屋狭いんだね」
「まあ一人で住んでるし……」
「最悪、逃げようと思ってたから……」
「あー……」
「もう大丈夫よね!」
「おかげさまで!」
「荷造り終わったら……」
「観光しない?」
「いいよ!」
ケイティは本当に、
笑顔でいることが増えた。
「笑うと素敵だよね」
「ケイティってさ」
「そうかな?」
「スライムになっても?」
「そうだよ」
「即答なんだね」
「いけなかった?」
「ううん」
「嬉しい……」
「あ……」
アリシアの手に触れてしまい、
赤面してしまう。
「何?どうしたの?」
「何でもない……」
「最初の積極性がなんだったのか」
「ビックリするくらい……」
「初々しくなって……」
「あれは……」
「必死だったから……」
ケイティは慌てて言い訳する。
「ふーん……」
そう言いつつ二人は、
二十分ほどで手早く荷造りを終わらせた。
「思ったよりも早く終わったわね」
アリシアは背伸びしながら話す。
「アリシア、手伝ってくれてありがとう」
アリシアはニヤニヤしながら、
ケイティに近づき唇を重ねる。
「え?」
ケイティは動揺する。
「浮気じゃないわよ」
「人間枠の妻なんだから」
「あ、もしかして!」
「興奮しすぎて溶けちゃう?」
「と、溶けてないわ!」
「大変!肩が~!」
アリシアは肩を笑いながら揺さぶっていく。
「もう意地悪なんだから……」
満更でもなさそうなケイティであった……
「商店でも見て回らない?」
「デートなんだし」
「わかった……」
二人は一階に下りて、
工房の様子を伺うと……
「絶対に完成させるんだ……」
ハイゼンは集中しすぎていて、
アリシアたちがいることに気づかない。
「そっとしておきましょう」
ケイティはアリシアの手を握りささやく。
「そうね」
アリシアも握り返し、
二人でギルドの外へ向かって歩き始める。
「美味しい夕飯でも食べに行く?」
ケイティはどうしようか迷っている。
「屋台で買い食いもいいかも!」
「足湯に浸かりながら?」
「それ最高ね!」
二人は中央広場へ向かう。
中央広場には複数の屋台と足湯がある。
「ごめんください!」
「女神様!」
「このような場末の屋台へ……」
「お越しくださるとは……」
店主たちは揃って泣き始める。
「そんなこと思ってないわ」
「みんな素敵な料理を作ってるじゃない」
「おお……」
「ありがたき幸せ……」
「感謝いたします……」
店主たちは全員で頭を下げ始める。
「足湯に浸かってるから……」
「出来たら受け取りに来るわ」
「そんなお手を煩わせることは……」
「いけません!」
「我々がお運びします!」
「そ、そう……」
「じゃあお願いしてもいいかしら?」
「もちろんでございます」
「ありがたき幸せ……」
「足湯最高だわ!」
「気持ちいいよね」
「というか私たちお風呂入らなくても、」
「良くなったのかな?」
「入ったほうがいいと思うけど……」
「そうなの?」
「今まではどうだった?」
「私はちゃんと入ってたよ」
「そうなんだ……」
二人が談笑していると……
悲鳴が聞こえてきた。
中央広場近くだ。
「ひぇー!」
「魔物だ!」
「誰か助けてくれ!」
「大変!」
「行かないと!」
「え!?」
「私たちだけで……」
「どうにかなるの……」
「困ってる人は、」
「放っておけないわ」
アリシアは走り出してしまう。
「待ってよ!」
ケイティは慌てて追いかける。
「嘘でしょ!」
「クマ型の魔物じゃない!」
アリシアは中央広場で、
はちみつを食べているクマ型の魔物を見つけた。
しかし大きさが五メートルを超えているぞ……
「クマさん〜!」
「お山に帰って?」
アリシアは説得にかかるが……
魔物は怒って突進してくる。
「向かってきた!?」
しかし反射的に四本の触手で捕らえて、
魔物を川の方にぶん投げるのであった……
「アリシア大丈夫だった?」
「ええ」
「ケイティこの能力強いわね」
「訓練したら更に強くなれそう!」
「一緒に訓練しない?」
アリシアは、触手をブンブン振り回しながら、
話し続けている。
「わかった」
「元冒険者だけど……」
「もう一度初心に戻って、」
「訓練するのもいいかもね」
ケイティは快く了承してくれた。
「め、女神様!!!」
「また我々を救ってくださった……」
「お願いです!」
「永住してください……」
すっかり街の人達は、
狂信者になってしまった。
完全に思考回路が固定されたようだ……
「女神様」
「我々の貧相な屋台飯を、」
「献上いたします……」
「どうかお慈悲を……」
「みんな」
「そんなにかしこまらないで!」
「じゃあご飯頂くわね」
「ケイティも一緒に食べましょう」
「うん……」
「あ、でもこの量は二人じゃ無理ね」
「どうかしら?」
「明日私は帰るから……」
「皆でパーティーにしない?」
「もちろんでございます!」
「今日は宴をご用意させて頂きます!」
「ギルドの食堂で、」
「どんちゃん騒ぎする?」
「「「はい!!!」」」
「女神様!!!」
アリシアは再びゲン担ぎされて、
ギルドまで運ばれていく。
「帰ってきましたが……」
「騒々しいですね」
「アリシアさん」
「大丈夫かな?」
クララは心配するが……
「わかりません」
「見てください!」
「シアンさん……あれって……」
「あー!」
「二人ともギルドでパーティーよ!」
アリシアとケイティも、
ゲン担ぎされて、
ギルドに運ばれている……
「完全に狂信者になってる……」
「ルリコ様の世界にも、」
「ああいう人たちが?」
「はい……」
「でもあれはマシなほうですね……」
「どうでしょう?」
「二人でパーティーに参加しますか?」
「いいんですか?」
「もちろんです」
「行きましょう」
二人は手をつなぎながら、
ギルドに入っていく。
「女神様!!!」
「どうかこちらのアイテムを!」
「どいて!私が冠を渡すのよ」
「お前らどけ!」
「料理は俺のが一番だ!」
もはやギルド内はカオスなことになっている。
なぜこうなってしまったのか。
「最高!!!」
「ケイティ一緒に踊ろう!」
「もちろん!」
「うああー……」
「ルリコ様大丈夫ですか?」
「訂正します」
「ここまで酷いのは、」
「見たことないですね」
「宗教になってませんか?」
「その通りですね」
「どこからツッコミを入れたらいいのか……」
「ババアがいたら、」
「頭を抱えてるでしょう」
「まあ小難しいことは……」
「考えずに……」
「踊ってご飯でも食べましょうか」
「そうですね!」
二人は楽しそうに踊り始める。
「ねえ!」
「ケイティ」
「あの二人は絶対に恋人だわ!」
「まだわからないのに……」
「そんな決めつけていいの?」
「二人の愛が溢れ出てるから〜」
「もう酔っ払ってない?」
「可愛い奥さんもいるし」
「アリシアよ!」
「何やら騒がしいな!!!」
凄まじい轟音と共に、
アスタロテが温泉街の近くまでやってくる。
「アスタロテがきた!」
「綺麗な花火を見たいわ!」
「よかろう!」
「さあ宴じゃ!」
火球を空中に放ち続けて、
時間差で爆発させていく。
「すごい!」
「そんなこともできるの!」
「当たり前であろう」
「大好きよ!」
「アスタロテ!」
「余もだ!」
そして翌朝までどんちゃん騒ぎを続けて、
皆はギルド内で寝落ちしていた。
ハイゼンとアスタロテだけは寝ていなかった。
「やったぞ!」
「ついに完成した!」
一晩かけて鎧ができあがり、
満足そうな表情のハイゼン。
「女神様!」
「起きてください!」
ハイゼンは喜びのあまり、
アリシアを起こしに行く。
「う〜ん……」
「鎧?」
「はい!」
「できました!」
(ほう!)
(このドワーフやるではないか!)
(余の前に持ってこい!)
(確認してやろう!」)
皆を起こさないように、
魔力パスを通して会話する。
「行きましょうか!」
「トルマリン!来て!」
トルマリンはやる気が、
なさそうにやってきた。
「どれどれ!」
「火球を食らわせてやろう!」
アスタロテは火球を鎧に放つ。
その結果は……
「え!?」
「無傷だわ!」
「本当だ!」
「成功した!」
「悲願が叶った……」
ハイゼンは嬉しさのあまり崩れ落ちる。
「ありがとう!」
「ハイゼンさん!」
「はい!」
「これからも大切にしてください!」
「お主もなかなかやるのう」
「ありがたき御言葉……」
アリシアはついに最強の鎧を手に入れた。
これで向かうところ敵なしである。
無事に完成した最強の鎧。
アリシアはどんどん最強の悪役令嬢へと突き進んでいきますね。
そろそろ温泉街ともお別れの時間が近づいている。




