第三十二章:ハイゼン覚醒?
ドワーフのハイゼンは必死に最強の鎧を作っていますが……
本当に火耐性の効果はあるのか……
アリシアが着たら貫通しそうで怖いですね
ドワーフのハイゼンは必死に鎧を作っていた。
あともう少しで完成する。
目標納期の二日間で完成させるために、
自らの人生の集大成だと思って、
必死にハンマーを打ち続けている。
「鎧を入手したら、」
「温泉街ともお別れかな」
アリシアは十分すぎるほど住人達を救った。
ギルド内の食堂でお茶を飲みながらつぶやく。
「女神様……」
せっかくアリシアと呼ばれていたのに……
元に戻ってしまった。
ローラは少しだけ悲しそうな顔をする。
「ところでアリシア様はなぜ女神様と、」
「崇拝されてるのですか?」
シアンは当然の疑問を口にする。
「あー……」
「火山で溶岩パイソンを倒したの」
「なるほど……」
「かなり強かったのでは?」
「アスタロテのビームと……」
「私の聖剣の攻撃で……」
「それは余裕でしょうね」
「あのドラゴンは今どこに?」
「火山の中で溶岩浴してるわ」
「帰るときに呼ぼうかなと……」
「相変わらず行く先でトラブルに……」
「巻き込まれているのですね……」
「まあね」
「それより帝国の人達は怒ってるよね」
「女王陛下には聖剣を向けて脅したし……」
「お尋ね者として指名手配犯になってる?」
「その件ですが……」
「皇帝陛下と女王陛下は怒るどころか……」
「感謝していましたよ」
「え?」
「魔力爆弾が爆発していたら……」
「完全に帝国は崩壊していました」
「アリシア様たちのおかげで、」
「首都が消し飛んだ程度で済みました」
「復興には少し時間がかかるでしょう……」
「私も協力しています」
「ババアから懇願されたのと……」
「クララのおかげです」
「そうだったのね」
「クララと良い雰囲気になってるの?」
「まあ……」
「彼女とは似たようなタイプだったので……」
「やっぱり似たもの同士は、」
「惹かれ合うのね!」
「そうでしょうか……」
「ねえ~!」
「ケイティ!」
触手でギルドの受付で、
働いていたケイティを引き寄せる。
「もう危ないよ!」
注意しつつも満更でもなさそうなケイティ。
「コントロール力高いでしょ?」
アリシアは全く隠す気も無い……
「うん……」
「あと私ね」
「ギルドの受付嬢を、」
「辞めることにしたわ」
「あなたについて行く」
「刻印もあるし……」
ケイティは頬を赤く染める。
「アリシア」
「私は一足先に帰るわね」
ベアトリスは馬車の手配をする。
「そうなの?」
「でも来てくれてありがとう!」
アリシアはベアトリスに抱きつく。
「送りましょうか?」
シアンは転移魔法を準備するが……
「問題ないわ」
「寄りたいところもあるしね」
「わかりました」
「お気を付けて」
シアンは珍しく心配している。
「大丈夫よ」
「少し一人になりたいの」
「ベアトリスさん」
「ありがとうございました」
「何とお礼を言ったらいいのか……」
ケイティはまた泣きそうになっている。
「気にしないで」
「これくらいお安いご用よ」
ベアトリスは笑顔で、
ケイティを見つめる。
「アリシアそろそろ離れて」
「わかったわ……」
アリシアはしょぼくれてしまう。
「またすぐに会えるから」
「安心して」
ベアトリスはアリシアを慰める。
「本当にありがとうございました……」
ケイティは何度も頭を下げる。
「じゃあまた近いうちに会いましょう」
ベアトリスは左手を、
ひらひらさせて馬車に、
乗り込み立ち去っていく。
「もちろん!」
アリシアは背中から触手を出して、
手を振る真似をする。
「女神様に新しい能力が……」
「神々しい……」
「我々を守ってください……」
住人たちは相変わらず、
おかしな反応をしている。
「私荷造りしてくるね」
ケイティはギルドの宿を自室として借りていたので、
すぐに準備は終わるだろう。
「わかったわ」
アリシアはケイティを見送る。
「アリシア様」
「帰ってきてください」
「もちろんよ」
「皆にも会いたいし」
「それなら良かったです」
「こんな幸せな日常が続けばいいですね」
「シアン」
「本当に変わったね」
「やっぱり愛の力~?」
「茶化さないでください」
「でも屋敷は広いですから……」
「同居人は増えても問題ありません」
「ただ巨大ドラゴンは微妙ですが……」
「王国はどうなの?」
「最近は妙に静かですね」
「どこまでも卑怯な奴らね」
「王太子を触手ではたいてあげたいわ」
「それは……」
「逆効果では?」
「どういうこと?」
「忘れてください……」
「女神様!!!」
「ハイゼンさん!」
「どうしたの?」
「ついに鎧が完成しました!」
「本当!?」
「嬉しいわ!」
「さっそく着てみてください」
「すごいピッタリじゃない!」
「ありがとうございます」
「耐久性と耐火性は世界一です……」
「なるほど」
「試しに火属性魔法で攻撃しますか?」
「一応脱いだ方が……」
シアンのパワーと魔力量が直感でわかり、
ドワーフは警告する。
「そうね」
「シアンの攻撃を食らったら……」
「さすがに燃え尽きそう……」
ギルドの裏の広場に移動した三人。
「それではフルパワーで……」
シアンは魔法を準備する。
「まずは普通のにしたら?」
「……わかりました」
「ファイアーボール」
なんと鎧は無傷である。
「やりましたな!」
「ええ!」
二人はもう喜んでいる。
「それでは……」
「本気を出しますね」
「エクスティンクションファイア!」
青白い閃光がほとばしり、
無数の火の刃が鎧に直撃する……
「貫通してる?」
「見てみましょうか」
「あ、ダメだ……」
「貫いてる……」
「どうかお時間を……」
「作り直します……」
「お慈悲を……」
「待ってて!」
「いい素材を持ってくるわ」
「トルマリンきて!」
「シアンは待っててね!」
「かしこまりました」
「アスタロテ!」
(どうした?)
「鱗くれない?」
(よいぞ)
「鎧に使いたいの!」
「やっぱりあなたの鱗がいいと思ってさ」
アリシアは火山に向かって走り続ける。
「魔力をありったけ込めてやろう!」
アスタロテは魔力と自然エネルギーを、
大きな一枚の鱗に注入。
火口から出てきて、地面に放り投げる。
「ほれ!」
衝撃で大地がえぐれたが気にしない。
「すごいわ!」
禍々しい赤黒い鱗ができた。
「このロープを巻き付けて……」
鱗をトルマリンに固定する。
「トルマリン引っ張って!」
トルマリンは素直に言う事を聞き、
引っ張り始める。
「溶岩浴も終わりにするか」
「そろそろ屋敷に帰ろうぞ」
「卵はベアトリスと、」
「おじいちゃんがみてくれてたわ」
「それは助かるの」
「今の余では子育てには不向きじゃ……」
「ここで待っておるから……」
「行ってこい」
「うん!」
「ハイゼンさん!」
「この鱗と鎧を合体させれる?」
「はい……」
「確認してみます」
「こ、これは……」
「なんて頑丈な鱗なんだ……」
「オマケにとてつもないエネルギーや、」
「魔力が込められている……」
「やってみます!」
「あと一晩ください!」
「ゆっくりでも別に……」
「いえ!」
「集中できますので……」
「明日の朝には必ず渡します!」
「それでは!」
そう言うとハイゼンは、
工房にこもってしまった。
「明日まで観光でもしようかな……」
「少しクララとおじいさまの様子を見てきますね」
「うん!」
「じゃあケイティでも誘って……」
「観光しようかな」
「一旦戻ります」
「はーい」
「あとでね」
シアンは転移魔法で戻っていった。
とりあえずアリシアは、
やることがなくなったので、
ギルドに戻っていく。
案の定、貫通した鎧……
作り直すことにしたハイゼン。
アスタロテの鱗で最強の鎧を作成できるのか……




