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断罪された無価値な令嬢は、僻地のお屋敷で静かに暮らしたい─世界があなたの敵になるなら、私たちがこの世界を滅ぼします─  作者: 魂の重戦車ライター


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第三十章:アスタロテの激怒

アリシアとアスタロテはケイティの仇討ちに出ますが……

水の精霊は話を聞いてくれるのか……


翌朝アリシアが目を覚ますと、

目の前には人間形態のケイティがいた。


「戻れたの?」


「なんとか自分を信じて……」

「頑張ってみたわ」


「嬉しい!」

「コントロールできるように、」

「なってるんじゃない?」


「うん……」

「そうなのかな?」


「そうよ!」

「諦めないで」

「朝ご飯を食べたら……」


「アスタロテを呼ぶわ!」


「私持ってくるね」

ケイティは朝食を取りに、

一階に下りていく。


「なんとか大丈夫そうで良かった」

「ねえ、話聞いてた?」

アスタロテに話しかける。


(ああ、全部な)

(胸くそ悪い水の精霊じゃ)

(余も準備しておく)


「お願いね」

「またあとで!」

(うむ!)

会話が終わると同時に……

ケイティが扉をノックし入ってきた。


「持ってきたわ」

「昨日の宴会の残り物だけど……」


「ありがとう」

「ケイティも一緒に食べない?」


「いいの?」


「もちろん」

「食べたりとかはできるのよね?」


「そうね」


「スライムって……」

「どうなってるのか」

「全然分からなくて……」


「私の場合は……」

「人間とほとんど変わらないわ」


「ステーキ食べましょう!」

「ケーキも吸収して、」

「大きくならないとね!」


「もう……」

「笑えないよ」

「でもありがとう」


「えへへ」

ケイティはここに来て、

初めて心からの笑顔を、

見せている。


「あ!」

「溶けてきてる!」

急にアリシアは、

ケイティを指さした。


「嘘!?」

ケイティは全身を、

焦りながら確認する。


「冗談よ!」

「アイスクリームは、」

「溶けかけてるけど!」


「本当だ!」

「まずい!」


「笑えるでしょ?」


「少しだけね……」


「良い傾向だわ!」

二人とも朝食を無事に食べ終えた。

アリシアは身支度を整えて聖剣を掲げる。


「アリシア!」

「待っておったぞ」

アスタロテは再び火口から出現する。

アリシアたちがいる温泉街から、

少し離れた所に着地した……


「ねえ!」

「勢いありすぎ!」


「すまぬ!」

「すぐに出発しようぞ!」


「わかったわ」

「行こうケイティ」


「うん……」

「でもなんでわかったの?」


「それは後で説明するわ」


「お出かけかい?」

ローラが声をかける。


「ええ」

「ちょっと」

「ピクニックへ」


「良い天気だからね」

「トルマリンを頼むよ」


「おい!」

「ローラまたイチャイチャしてるのか?」

獣人が文句を言いつつ、ローラに抱きつく。


「バカップルは放って、」

「行きましょうか……」

ケイティは呆れている。


「トルマリン!」

「来て!」

トルマリンは、

アリシアの呼び声を聞いて、

走ってくる。


「さあ乗って!」

「行きましょう!」

アリシアは手を伸ばす。


「ありがとう」

ケイティは手を握り返して、

トルマリンに騎乗し、

合流場所まで走って行く。


「アスタロテ!」

アスタロテが目の前に現れても……

相変わらず驚かないトルマリンであった……


「アリシア!」

アスタロテは喜んでいる。

牙をギラつかせながら、

今にも火球を空中に発射しそうだ。


「会えて嬉しいぞ!」


「ところでケイティよ」

「愚か者がいる湖はどこだ?」

アスタロテは激怒する。


「案内せい!」

今にも飛び立ちそうだ。


「実はリン湖にいるの……」


「なるほど……」

「まあ飛んでいけば……」

「すぐじゃな!」


「二人ともありがとう……」

「試すようなことしてごめんなさい」


「気にするでない」

「妙だと思っていたのじゃ……」

「まあ憂さ晴らしに……」


「水の精霊を粒子ビームで、」

「消し飛ばすのも良いな」


「やっぱり私も同じ事考えてたの!」

「夫婦は考え方が似るのね」


「なんで二人は一心同体なの?」


「それはね」

「それはのう」


「魔力パスで繋げてるの!」

「魔力パスで繋げてるからじゃ!」


「フフ」

「息ピッタリだね!」

「相性抜群なんだ」

「羨ましいな……」


「そうじゃろ?」


「アスタロテ!」

「ケイティが可哀想よ」

「ああ……すまぬ……」


「平気よ」

「二人は面白いから!」

「馴れそめを話してくれる?」


それから二時間程度、

お話をしながら飛行し、

ついにリン湖にたどり着いた。


アスタロテは派手に湖に着地し、

咆哮をあげていく。

振動が湖を伝っていった。


「出てこい!」

「水の精霊よ!」

「この卑怯者め!」

アスタロテは叫び続ける。


「そうよ!」

「この腐れ外道!」

アリシアも真似して、

騒ぎ立てた。


「なんだ?」

「ケイティ戻ってきたな!」

「跡継ぎになる決心がついたの……」


水の精霊は何食わぬ顔で、

出現したが……


「くたばれ!」

アスタロテは開幕早々、

最大火力の青色火球を発射する。


「ケイティの仇!」

アリシアは聖剣の遠距離攻撃を放つ。


「な、何するんだ!」

直撃した水の精霊は、

一瞬のうちに再生していく。


「ほう」

「やはりこの程度では滅ぼせぬか……」


「再生力高くない!?」

アリシアも驚いてしまう。


「お主に尋ねる」


「ケイティを元の姿に戻すか」

「方法を教えろ!」

「さもなくばこの湖を蒸発させる!」


卵を奪われたとき以来の怒りだ。

もはや誰にも止められない。


「なんでお前らに、」

「教えないといけないんだ?」

「関係ないだろ」

水の精霊はケラケラと笑い転げる。


「ふざけないで!」

「罪なき女の子の人生を奪って!」

「何がおかしいの?」


「もしかして……」

「お前ら……」

「ケイティの姿を見て、」

「惚れたのか?」


「そんな物好きが、」

「このセカイにいるとはな!」

「ああ、笑いすぎて苦しいぜ」


わざとらしく腹を抱えるフリをして、

煽り散らす。


「酷い……」

「やっぱり私は怪物なのよ……」

ケイティを見ると再び、

涙を流し始めていた。


「泣かないで……」

「ケイティ」


「無理よ……」

「もう怖いわ……」

「どうしたらいいの……」


「貴様」

「どこまで外道なんじゃ!」


「絶対に許さないわ!!!」

弱り果てたケイティをみた二人の……

堪忍袋の緒が切れる。


「うるさい奴らだな」

「強硬手段に出るとするか!」


水の精霊は湖の水と力を吸い取り、

二百メートル級の水の巨人になった。


「醜悪な化け物め」

アスタロテは水の巨人に、

咆哮する。


「性格も体まで!」

「酷すぎる!」

「諸悪の根源め!」

アリシアも聖剣に力を注ぎ始めた。


アリシアとアスタロテの二人を、

怒らせるとどうなるか知らずに……

水の精霊は調子にのる。


「ふん!」

「馬鹿な奴らだ!」


「我の高圧放水ビームに、」

「耐えられるか?」

「山をも砕く……」


アスタロテは有無を言わさず、

最大火力の粒子ビームを発射……

アリシアも聖剣の最大出力で攻撃した……


案の定、最後の言葉もなく……

水の巨人は湖ごと消滅してしまう。


青色の粒子ビームと聖剣が、

混ざり光り輝いている。


「「あ!」」

二人で慌てた時には既に遅く……


「湖ごと消滅したわ……」

「やってしまったの……」


「ケイティごめんなさい」

「すまぬ……」

二人は同時に落ち込み始めた。


「解決策が分からずじまいじゃ……」


「ううん」

「いいの」

「あいつも消えたし」


「スッキリしたわ」

ケイティは呪縛から解き放たれた。

湖には巨大なクレーターが出来ている……


「あ、シアンにでも聞いてみる?」

「その手があったか!」


「明日ハイゼンさんが……」

「鎧を作り終えるから……」


「そのあと帰るとするかのう!」

アリシアとアスタロテは、

すっかり一心同体だ。


「ギルドから電報って送れる?」


「もちろんよ」


「じゃあ送りましょう!」

「すぐに飛んできそう~」


「そうじゃのう~」


「二人って本当に仲良しだね」


「まあね!」

「まあのう~」


「電報には何て書くの?」


「そうね……」

「シアンこの前はごめんなさい」

「私は水の精霊の呪いにかかりました」


「黒いスライムになり始めているので……」

「呪いを解除する方法を、」

「教えてください……」


「どうかな?」


「そんなこと書いたら、」

「すぐに飛んでくるぞ……」


こうして三人は水の精霊を消し飛ばし、

温泉街へ帰宅する。

ケイティの心からの笑顔が夕焼けに照らされて、

美しく輝いていた。



水の精霊は重要なことは何も話さずに消えました。

最後までむかつく奴でしたが、スッキリしましたね。

次回でケイティの呪いが解けるのか?

ぜひお楽しみに!

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