第四十一章:要塞都市エラにて
ついにエラの国を探索し、
アリシアを救うためにケイティが大奮闘。
謎のフードの人物も登場し、カオスを極めていきます。
あと今回ちょっと長めです。
ケイティとガランドの前に、
現れた十メートルの巨大なカブトムシ。
いったい何者なのか……
「久しぶりじゃのう」
「カブトキング」
「ガランドさん!」
「お久しぶりですね!」
「元気にしてましたか?」
このカブトムシは話せるようだ。
「まあな」
「療養所に用があってな」
「入らせてくれ」
「もちろんです!」
「後ろのお嬢様は?」
「誰ですか!!!」
カブトキングは、
頭部の義角をぎらつかせて、
にらみつける。
「わたしはケイティっていいます……」
「この子はアリシアです」
「具合が悪くて……」
「はっはっは!!!」
「そういうことでしたか!」
「具合は大丈夫なのですか?」
「カブトキング」
「ほれ、お主にやる」
ガランドは、
特性はちみつを投げ渡す。
「こ、これは!?」
「職務中ですが……」
「いただきます!」
カブトキングは、
はちみつを瓶ごと食べ始める。
「さあ……」
「ケイティゆくぞ」
「わかりました……」
二人は無視して先に進んでいった。
「お城もあるんですね」
ケイティは中心部に、
存在する巨大な城に目が行った。
「そうじゃな」
「ここは……」
「人間と異種族が共存しておる」
ガランドは街の人たちを見つめながら、
話していく。
「お主もそうなんじゃろ?」
「はい……」
「アリシアのおかげで……」
「今は呪いだとは思ってません」
ケイティが周りを見ると、
エルフやドワーフ、獣人、セイレーンなどが、
人間たちと楽しそうに話していた。
「ある意味、わしらにとっては……」
「楽園かもな」
「そうかもしれませんね」
「さてと……」
「孤児院までもう少しじゃ」
「随分と入り組んでますね」
エラの国は迷路のように、
入り組んでいた。
店、住宅街、道路が混在し、
初見では確実に迷子になる。
逆に地形を利用して、
敵を迎撃しやすいのだろう。
「お城綺麗だな……」
夜の王城は星々が、
見える絶好の告白スポットとして、
大人気だ。
「結婚式はまだなのか?」
顔をほころばせながら言う。
「そんな……」
「まだですよ……」
「アリシアが元気になったら……」
「招待してくれ……」
「もちろんです!」
話している間に、
無事に孤児院へ到着。
場所は城の付近であった。
「ここじゃ……」
「着いたぞ」
「おい、ユリコ!」
ガランドは夜なのに、
ドアを乱暴に叩く。
「もう……」
「ガランドさん」
「静かにしてください」
「子供たちが起きてしまいます」
ユリコは慌てて外に出てきて、
ガランドに文句を言う。
「すまない……」
「一刻も早く見てほしくてな……」
「ユリコさん、お願いします!」
ケイティがお辞儀をすると……
ユリコは背負われているアリシアを、
みて驚愕した。
「背負われてる子が?」
「ああ、そうじゃ……」
「確かに……」
「見たことがない症状ですね……」
「急いで中に入ってください」
「助かる……」
「本当にな」
中に入り、併設されている療養所に向かう。
「とりあえずベッドに、」
「寝かせてください……」
ケイティはアリシアを、
ベッドに寝かせる……
ユリコはさっそく魔術で、
身体検査を始めた。
「熱が異常だわ……」
「50℃以上もあります……」
普通なら死んでいるが……
全身から炎が吹き出し始める。
このままでは、
ベッドが燃えてしまう。
「ま、まずいわ!」
ケイティは慌てて、
触手で火を消すが……
「魔術で水のベッドを作りましょう」
「熱を下げるのが先です」
「わかりました」
「お願いします!」
ケイティは再びアリシアを背負う。
ユリコは療養所の端に、
ウォーターベッドを作ってくれた。
アリシアを寝かせると、
蒸気が立ち込める。
「ひとまずはこれでいいわね」
「お二人にお伺いしたいのですが……」
「いったい何が原因で……」
「あの子はあんな姿に?」
「わしが……」
「追い詰めてしまった」
「修行と言ってな……」
「ユリコさん」
「私からもお話があります」
(ケイティよ!)
(余の言うとおりに話してくれ!)
アスタロテは解説を始めた。
「赤邪竜アスタロテと……」
「アリシアは魔力パスを……」
「開通済みです」
「え?」
「まともな人間なら、」
「耐えられずに死ぬわよ……」
ユリコはあきれ果てている。
「そうだったんですね……」
(初めてじゃったからな……)
「ごめんなさい」
「話を続けてちょうだい」
「死闘の過程で……」
「アスタロテの今までの戦闘経験」
「知識を全てアリシアと共有しました」
「なるほどね……」
「むしろ何千年と、」
「生きてきたドラゴンと……」
「共有して生きてるなんて……」
「人間じゃないわ……」
「恐らく戦闘中に魔力を、」
「大量に吸収して……」
「使ったんじゃないかしら?」
「そうだと思います……」
(それじゃ!)
(この女は優秀ではないか!)
アスタロテはユリコの観察力に喜んでいる。
「恐らく彼女は……」
「最終的にどうなるのか……」
「怪物になって暴れる可能性も……」
もうすでに人外になっているが……
「解除する方法はないんですか?」
「現状では……」
「わからないわ」
「あの子ならわかるかな……」
「あの子?」
「ごめんなさい」
「私の恋人は物知りでね」
「ただ気分屋すぎて……」
「どこにいるかわからないの……」
「でも困ってると必ず助けに来るのよ」
「未来予知か占いでも、」
「してるのかしら……」
呆れつつも少しだけ、
嬉しそうな笑顔を浮かべていた。
「すごい人と付き合ってるんですね」
「まあ……」
「執着されてるというか……」
「話を戻しましょう」
「アリシアさんは……」
「経過観察と……」
「必要な薬を調合するわ」
「ありがとうございます!」
「とりあえず明日か……」
「明後日まではいるわよね?」
「もちろんです」
「もしかしたら……」
「あの子も帰ってきてくれるかも……」
「本当に大切なんですね」
「会ったら変人ぶりに驚くけど……」
「気にしないで」
「思わせぶりな事ばかり言うし」
「わかりました」
「それじゃあ私は……」
「調合を始めるから……」
「あなたはどうする?」
「できることはないですよね?」
「ええ……」
「残念だけど……」
「街を散策することにします」
「わかったわ」
「何かあったら帰ってきてね」
「色々とありがとうございます」
「ガランドさん」
「アリシアを見守ってください」
「任せておけ!」
「わしはユリコと話があるからな」
「楽しんできてくれ」
「はい」
「失礼します」
ケイティは療養所を出て行った。
「アスタロテいるの?」
(いるぞ!)
「アリシア治るのかな」
(わからぬ……)
「どうしたらいいんだろ……」
「わたしに……」
「何が出来るのかな……」
(気分転換で城に行ったらどうだ?)
「そうだね」
「気分も変わるかも……」
ケイティはフラフラと、
城に向かって歩いて行く。
「はぁ……」
城への坂道をうつむきながら、
上がっていく。
だが通行人にぶつかってしまう。
「あ、ごめんなさい……」
「前を見てなかったわ……」
ケイティが謝るとフードを、
かぶった謎の女性は、
不気味に笑いながら話し出す。
「アハハ!」
「気にしないで!」
(ケイティよ……)
(気をつけろ)
(この女ただ者じゃないぞ)
アスタロテは凄まじいパワーを感じ取り、
警告する。
「何か困りごと?」
「それとも……」
相変わらずフードをかぶっており、
表情がわからない。
「恋人のピンチとか?」
どう考えても笑っているのがわかった。
「っ……」
ケイティは警戒して、
戦闘態勢を取るが……
「そんなに警戒しないでよ」
「戦うつもりないし」
「あなたが賢者アルテアなの?」
「あたしは違うよ」
「あんな千歳のババアと……」
「一緒にしないでほしいなぁ~」
「酷い言いようね」
「この国を作ってくれた人なのに……」
「まあ興味ないし」
「基本的に気まぐれで……」
「協力するだけだから」
「あたしは孤児院に用事があってさ」
「可愛い恋人が待ってるから~!」
「困ってそうだろうし」
「あ……」
「もしかして……」
「ユリコさんの……」
「おお~!」
「大正解!」
「オマケで一つだけ何でも、」
「教えてあげるよ!」
「本当!?」
ケイティはアリシアを助ける方法を、
聞き出そうとしていた。
(ケイティ怪しいぞ!)
(騙されるな!)
アスタロテは止めようとするが……
「私の恋人を……」
「助ける方法を教えて……」
素直に一番聞きたかったことを伝える。
「あなたの恋人は助からない」
「だってもう人間じゃないから」
「変異し始めてるよ」
「トカゲの恋人さんに聞いてみれば?」
「あなたどこまで……」
(こいつ!)
アスタロテは飛び立とうとするが……
「考えなしに魔力パスを通じて……」
「おかしいとは思わなかったの?」
「いったいどういうこと?」
(ぐっ……)
アスタロテは謎の力で押さえつけられて、
動けなかった。
「一人が寂しいからって……」
「人間の恋人を怪物にしようだなんて……」
「エゴむき出しで!」
「なんて切ない展開なの」
「売れない恋愛小説みたいだわ」
「彼女はいずれ本当に怪物になる」
「力を使えば使うほどね」
「止める方法はない」
「もう受け入れるしかないのよ」
謎の女性は冷たく言い放つ。
「この世界に大きな災いが……」
「あと少しで訪れるから……」
「その時彼女は全力で戦うわ」
「何を犠牲にしてもね」
「あなたは……」
「何者なの?」
「その質問には……」
「答えられないわ」
「監視者だとでも思っていてね」
「助けてくれないの?」
「世界の危機なのに?」
ケイティの質問は至極まっとうである。
「あたしはね」
「基本的に不干渉を貫いてるの」
謎の理論で話し始めた。
「さっきは協力したって……」
「ああ、単純にユリコの危機だったから」
「それ以外は何も興味ないの」
「宇宙の滅亡とか」
「誰が死のうが生きようがね」
「酷すぎる……」
「世界をよくできるはずなのに……」
まともな思考回路のケイティには、
理解できなかった。
「そんなことしても……」
「何も良いことなんかないよ」
後悔がある言い方をする謎の女性。
「さあ、無駄話はおしまい」
「あとは頑張ってね」
フラフラと手を振りながら、
フードの女は歩き去って行った。
「不気味な人……」
「そもそも人間なの?」
(恐らく違うな)
(神以上の力を持っておる)
「敵なのかな?」
(今のところは違うはずじゃ……)
「味方だといいね」
(そうじゃな……)
「あとさっきの……」
「魔力パスで気になったことが……」
「私は化け物だから平気だったけど……」
「アリシアは人間でしょ?」
「知っててやったの?」
(そうじゃ……)
「最低ね……」
「見損なったわ」
「アリシアはわかってるの?」
「自分が人外の化け物になるって……」
(知らん……)
「起きたらちゃんと話しなさいよ」
(わかっておる……)
「城に行きましょうか……」
(ああ……)
(ケイティすまなかった……)
「私に謝らないで」
「一瞬不安だったのよ?」
(うむ……)
「もう今日はこれ以上問い詰めないわ」
「疲れたし」
ケイティはついに坂を上りきる。
目の前には数多の星々が、
見える美しい眺めであった。
「綺麗……」
ケイティはアリシアのことを思いながら、
星々に祈り始めた。
フードの人物はまた何回か登場する予定です。
アリシアは目覚めるのか……
それとも……




