第三十九章:アリシアVS剣聖ガランド戦パート3
アリシアVS剣聖ガランドの戦いはここで終結します!
ぜひ見届けてくださいね。
激突するジジイと孫の壮大な殺し合いは、
終わりに向かっている。
屋敷はそのうち真っ二つになって、
崩壊する可能性がある。
「さらばじゃ!」
「我が孫よ!」
雷の槍を投げつけて倒したと思ったガランド。
なんとアリシアは炎の右手で受け止めて、
投げ返した。
「はああああ!!!」
「雷槍のお返しよ!」
アリシアも衝撃のあまり、
ふっ飛ばされてしまう。
ちなみに雷を返した衝撃で、
屋敷も半壊していく。
「バカな……」
ガランドは避けようにも、
間に合わず雷の槍が直撃する。
「ぐおあああああ……」
雷が全身に回って、
膝をつき立ち上がれない。
直撃したのに、
なぜ生きているのかは不明だ。
「くっ……」
「やれい!!!」
諦めて潔く正座をし、
アリシアに介錯を頼む。
「わたし……」
「……勝ったの?」
アリシアも何とか立ち上がって、
フラフラと聖剣を持ち、
ガランドに向かって行く。
「見事じゃ」
「アリシアよ……」
ガランドは案の定、
重傷で動けない。
「最後に……」
「わしの話を聞いてくれるか?」
「もちろん……」
聖剣を構えたまま頷く。
「善人」
「悪人」
「関係なく……」
「その人には必ず人生がある」
「人を切るということは……」
「その人の未来や家族、」
「仲間から全てを奪うのじゃ……」
「戦が始まると……」
「関係なく巻き込まれ……」
「良い人や弱い人が……」
「真っ先に犠牲になっていく」
「その時にお主は……」
「守ってやるんじゃ……」
「うん……」
そう言い残してガランドは意識が、
曖昧になってきた。
ついにお迎えがきたのか……
「おお……」
「ミカ、それに村の者達まで!」
「わしを迎えにきてくれたのか!」
かつてないほどの笑顔で、
皆がいる光の先に行こうとするが……
「おじいちゃん」
「まだやり残したことがあるでしょ?」
「ミカよ」
「何を言っておる?」
「もう十分生きたし」
「このまま死ねば……」
「ダメ!」
「まだ来るには早いの!」
「なぜじゃ?」
「老いぼれを楽にしてくれ」
「もう失い続ける人生は……」
「わしには辛すぎる……」
「最強の相手と出会い」
「ようやく戦って死ねる」
「素晴らしい最後じゃないか!」
「違うわ!」
「大切な人を守るのよ」
「こっちに来るのは……」
「全部を見届けてから!」
「シアンだってそう思ってるわ!」
「どうじゃか」
「もう知らん……」
「疲れたのじゃ……」
「わしの代わりに……」
「お前が生きていれば……」
「成長を見届けたかった……」
「最高の跡継ぎが……」
「もういるでしょう?」
「おらん……」
「もう本当に頑固なんだから!」
「シアンと同じね!」
「あの子や家族を守るの!」
「そうじゃな……」
「あと少しだけ……」
「見守っても……」
「良いかもしれん」
「よかった!」
「その勢いで頑張って!」
「それまでお迎えは来ないから!」
「酷い孫じゃな……」
「何言ってるの?」
「最高の孫の間違いでしょ!」
「ああ……」
「ミカ」
「ありがとよ」
ガランドは現実世界に戻っていく。
その原因はアリシアが、
スーパーヒールを使っていたからだ。
「お願い!」
「起きてよ!」
アリシアは叫びながら、
ひたすらスーパーヒールを詠唱する。
「アリシア……」
ケイティはすぐ隣で、
フラフラなアリシアを、
倒れないように支え続けていた。
「うぐっ……」
意識がはっきりしてきたガランド。
はぁ……蘇ってしまったか……
あの子の最後の願いを叶えるとしよう……
「ここはどこじゃ……」
「わしはいったい何を……」
ガランドは記憶喪失のフリを始めるが……
どう考えても演技が下手くそすぎて、
バレバレである。
「おじいちゃん!」
「良かった!」
アリシアは号泣して、
大喜びするが……
その瞬間……
「うっ……」
力を使いすぎたのか、
そのまま昏倒してしまう。
「アリシア!」
すぐに演技をやめるガランドであった。
「ケイティよ」
「シアンを呼んでくれるか?」
「どこにいるかわからなくて……」
「魔力通信機で試してみましたが……」
「応答しないんです……」
「困ったの……」
二人は途方に暮れる。
「おい!」
「トカゲ!」
「お前のせいだぞ!」
ガランドはアスタロテに向かって叫ぶ。
「なんじゃと?」
「余を吹き飛ばした老いぼれめ」
二人はにらみ合いを始めてしまう。
「二人とも喧嘩しないで!」
ケイティは何とか止めるが……
「とりあえず休ませないと……」
アリシアに触れるとあまりの熱さに驚く。
「スライムの私が……」
「熱いと思うって……」
「相当まずいのかも……」
アスタロテは身をかがめて、
巨大な頭部をガランドに近づけながら話す。
「このくそジジイ!」
「何か良い案はないのか?」
「仕方ない……」
「古い友人に連絡を取るか……」
「今はエラの国におるようだからな……」
ガランドは通信機を取り出して、
対象人物に電話をかける。
「あら……」
「これはガランド様」
「お久しぶりですね」
「あなたから連絡がくるなんて……」
ガランドの連絡に、
女性が丁寧に対応する。
「おう」
「久しぶりじゃな」
「ユリコ」
「ところで……」
「薬師としては、」
「まだ活動しておるのか?」
「ええ……」
「ですが今は……」
「孤児院兼療養所をしてます」
「相変わらず……」
「救いの手を差し伸べておるのか」
「そうですね」
「あれから……」
「良い出会いがあって……」
「考え方も変わってますよ?」
「それは何よりじゃ」
「大至急みてほしい人がいてな……」
「あなたではなくて?」
「わしはどうでもいい」
「孫の具合が悪くてな……」
「どうにも口では説明できん」
「かしこまりました」
「ただ私は施設を運営している手前……」
「街から出れません」
「少し遠いですが……」
「エラの国まで来ていただけますか?」
「問題ない」
「助かったぞ」
「感謝してもしきれん……」
「こちらこそ」
「あなたには命を、」
「救われましたから……」
「そう言えるように……」
「なったのか……」
「言ったでしょう?」
「人はいくつになっても……」
「変われるんです」
「それでいつ頃に……」
「今日の夜か明日の朝には、」
「つけるはずじゃ……」
「かしこまりました」
「準備しておきます」
「頼む……」
「では後ほど」
「お会いしましょう」
ガランドは通信を終えて、
ケイティとアスタロテをみた。
「エラの国へ」
「行ってくれないか?」
「ガランドさん」
「その国って……」
「エルフの賢者が建国した……」
「中立国ですよね?」
「そうじゃ」
「あの国は……」
「希少な鉱物が多くてな」
「急速に発展しておるのだ」
「エラの国か……」
「懐かしいのう」
「エルフだらけの国が……」
「戦争で滅び……」
「今は数少ない生き残りが……」
「新しく建国したのは因果よの」
「そうだったんだ……」
「早く診察してもらおうよ」
ケイティはアリシアを触手で、
背中に固定した。
アリシアは未だに、
上半身が竜人となっている。
「問題ない」
「本気で飛べば……」
「恐らく今夜にはつけるであろう」
「ありがたい……」
「わしのせいで……」
「アリシアが……」
「いや……」
「余の責任でもある」
「さすがにやりすぎた……」
「反省しておる……」
ガランドは孫の妻?に謝罪した。
「すまぬ……」
アスタロテもしょぼくれている。
「はい!」
「二人とも仲直りしたから……」
「一緒に行きましょう!」
ケイティが上手く場を取り持つ。
「ケイティよ」
「卵も連れて行こう」
「誰もいなくなってしまうからな」
「え!?」
「ふ、二人の卵があるのね……」
ケイティは卵が、
アリシアとアスタロテの子供だと、
勝手に勘違いしている。
「ケイティ!?」
「余はまだ……」
「アリシアとは……」
アスタロテは二百メートル超えの図体で、
恥ずかしそうにし始める。
気まずい空気になってしまった。
「わ、わしが持ってこよう」
「お願いします……」
ガランドが卵を持ってくる間に、
二人きりになる。
「ケイティよ」
「アリシアとの出会いを話しておこう」
「そういえば……」
「詳しく聞いてなかったわ」
「話してくれる?」
「実は……」
アスタロテはケイティに馴れそめを全て話した。
「そんなことが……」
「大変だったのね」
「本当に……」
「泣くな……」
「ケイティ」
「二人に出会えて良かったわ」
「待たせたな」
「持ってきたぞ!」
なんと卵には防御の護符が大量に貼ってあった。
「な、なんじゃ!?」
「余の卵に何が?」
「おう」
「これは衝撃に耐えられるように……」
「何枚も重ね合わせた結果だ……」
ガランドは笑いながら、
話が出来るようになる。
「とりあえず早く行きましょう!」
「アスタロテ全力で飛ばしてくれる?」
「任せておけ!」
「振り落とされるなよ」
「大丈夫」
「手のひらを触手で覆って……」
「風が入らないようにするから……」
「器用じゃな!」
二人はアスタロテの右手の手のひらに乗り、
ケイティはすぐに触手で、
テントのように覆った。
「便利な能力でしょ?」
ケイティは勝ち誇った顔で笑う。
「助かるぞ」
「このように卵も安心して……」
「抱えられる」
ガランドは和やかな表情になる。
「あ、トルマリンも連れて行こう!」
「そうじゃった!」
「あの馬は影が薄くて……」
「存在を忘れておった!」
「移動に困ってしまうな!」
アスタロテは周囲を探し始める。
一緒にきたはずだ……
「トルマリン来て!」
「私が呼んでもこないかな……」
ケイティはアリシアが言うように、
呼んでみた。
案の定、トルマリンは、
やる気がなさそうにやってきたが……
アリシアの様子を見て、荒ぶり始める。
「落ち着いて!」
「アリシアのピンチなの!」
「一緒にきて!」
トルマリンは頷き、
アスタロテの右手に同乗する。
「アリシアよ」
「待っていろ!」
アスタロテは咆哮と共に、
一瞬にして飛び立つ。
次の舞台は新生エラの国である。
果たしてアリシアは意識を取り戻すのか……
昏倒したアリシア。
ケイティは救えるのか。
次章エラの国へと旅立ちます。




