第三十五章:アリシア屋敷へ帰宅する
ついに断罪された無価値な令嬢の第一部の完結章です!
最後に新キャラクターが複数登場します!
シアンはガランドから、
ベアトリス誘拐事件を知った……
アリシア、アスタロテ、
ケイティ、クララを引き連れて、
一度屋敷に戻ることになる。
「アリシア様」
シアンがハイゼンたちと、
一緒にいる場にやってくる。
「シアン」
「みて!最強の鎧よ」
新品なうえに耐火性が、
最強のアスタロテの鱗で作った鎧だ。
「さすがアリシア様」
「お似合いですね」
「それはさておき……」
「落ち着いて聞いてくださいね」
「ベアトリスが拉致されました」
「え!?」
「なんじゃと!」
アリシアとアスタロテは、
即座に反応する。
今にも飛び出して、
いきそうな勢いだ。
「二人とも……」
「落ち着いて……」
珍しくシアンが止めに入っている。
「誰が誘拐した!」
「許せないわ!」
もはや以心伝心の状態だ。
「飛び出さないと約束して……」
「改めて話を聞いてください」
「仕方ないのう……」
「わかったわ……」
なぜか落ち込む二人。
「王国の魔女狩り達です」
「恐らく王国にとって……」
「我々は目障りなのでしょう」
「酷い!」
「国民を差別するの?」
「王国の脅威になっているからです」
「一度屋敷に戻って……」
「数日かけて作戦を立てましょう」
「アリシア様を訓練する時間も必要です」
「こちらはベアトリスが、」
「人質に取られてますから……」
「よいぞ!」
「わかったわ!」
「魔法省、王城組でパーティーを、」
「組みましょう」
「卵の様子も気になるし」
「一度戻った方が良いわね」
「そうじゃな!」
「良かったです」
「また飛んでいかれるのかと……」
「いい加減、逃げるのはやめて……」
「戦うわ!」
「じゃあ街の皆にお別れしないと……」
「……寂しいが仕方ないのう」
二人を受け入れてくれた温泉街と、
お別れは辛いが仕方が無い。
「全てが終わったら、」
「再び訪れればいいのでは?」
「そうね」
「新婚旅行で!」
「あの人たちは、」
「受け入れてくれたから……」
「うむ!」
三人は温泉街に戻るが……
「女神様!」
「お帰りになられるのですか?」
「ご挨拶もなしに……」
「行ってしまわれたと……」
「お別れしたくありません……」
「我々を見捨てないで……」
「皆!」
「話を聞いて!」
アリシアは聖剣を掲げる。
温泉街の人達は、
ほとんど全員土下座し始めた。
「私たちは……」
「これから王国の野望を食い止めに……」
「行かなければならないの!」
「王国の腐敗は酷いわ」
「このままここにいたら……」
「手遅れになる!」
「お別れは寂しいけど……」
「永遠じゃないわ!」
「全てが終わったら、」
「ここに新婚旅行に来ます!」
「私たちを受け入れてくれて……」
「ありがとう!」
「「「女神様!!!」」」
「世界を救ってきてください」
「王国など叩き潰して!」
ほとんど全員が泣きながら、
各々が叫んだりわめき散らしている。
シアンとクララは街の状況をみて、
再びドン引きしていた。
「女神様がいなくなる……」
「我々がこの街を死守するのだ……」
「改造しなければ……」
ハイゼンは虚ろな目で話し出す。
それに続いて……
「ヒヒヒヒ……」
「魔術キャノン砲があれば……」
「何が来ても怖くない」
「さっそく裏取引しよう……」
店主ジョンは頭がおかしくなっている。
「地熱エネルギーを転用すれば……」
「溶岩パイソンがきても、」
「突破するのは難しいはず……」
ローラも独り言をつぶやいている。
「皆!」
「一刻も早く街の防衛力を強化しましょう!」
「「「おーーー!!!」」」
「それじゃあシアン!」
「ケイティと合流したら……」
「帰りましょう」
「私はアスタロテと一緒に帰るわ」
「いいですが……」
「ちゃんと帰ってきますか?」
「またどこかに行きませんよね?」
「失礼ね!」
「ちゃんと帰るわよ」
「ケイティ!」
「早く来て!」
嫁を素早く呼びつける。
「わかったわ」
「ギルドの皆に挨拶してたの」
「ずっと働いてたから……」
「ごめん」
「きてくれてありがとう」
「ベアが拉致されたから……」
「一緒に取り戻してくれる?」
「当たり前でしょ」
「ベアトリスさんは命の恩人だし」
「あなたにどこまでもついていくわ」
「ケイティは……」
「アスタロテに乗って帰る?」
「それとも転移魔法?」
「アスタロテと一緒に行くわ」
「嬉しい!」
「よいぞ!」
すっかり似た者夫婦になっている。
「それでは……」
「我々は一足先に戻っています」
「うん」
「またあとでね!」
「さてと……」
「私たちも……」
「行きましょうか」
「そうじゃな!」
アリシア、ケイティ、トルマリンは、
アスタロテの手のひらに乗って、
温泉街の人達に挨拶する。
「じゃあ皆お別れよ!」
「ありがとう!」
「女神様!!!」
「ありがとうございます!!!」
「またいらしてください!」
「絶対にですよ!」
「約束してください!」
各々が叫び始めており、
カオスな状況だ。
「良い奴らじゃったな」
「また戻ってきましょう」
「そうね」
三人は温泉街を出るのは名残惜しいが、
ベアトリスのために帰宅を急ぐ。
「ケイティ」
「ベアトリスを助けるために……」
「私を鍛えてくれる?」
「もちろん!」
「クララからは……」
「回復魔法を学び直すわ」
「いくらでも余にぶつけるといいぞ!」
「効果抜群だから?」
「そうじゃな!」
「剣術もおじいちゃんに習わないと……」
「少しずつよ」
「触手の使い方も……」
「慣れておかないとね」
「いや……」
「十分だと思うけど……」
ケイティは冷静に、
ツッコミを入れるが……
「ダメ!」
「相手は王国よ」
「どれだけの手練れがいることか……」
「私も元冒険者だし……」
「練習相手になるよ」
ケイティはアリシアの手を握りながら、
微笑んだ。
「ありがとう!」
「あとアスタロテには……」
「報告しておかないと……」
「改まってなんじゃ?」
「まさかどちらかが病気なのか!?」
「違うわよ!」
「実は……」
「ケイティを人間枠の妻にしました」
「ほう」
「それは構わん」
「いいんだ!?」
「大丈夫なの?」
アリシアとケイティは、
ほぼ同時にツッコミを入れてしまう。
「契約して……」
「離れられなくなったんじゃろ?」
「余はドラゴン枠」
「ケイティは人間枠でよかろう」
「寛大なんだね」
「まあ五千年も生きてればな」
「二人とも……」
「ありがとう」
「幸せになってもいいんだね……」
「当たり前であろう」
「ケイティは今まで、」
「散々苦労してきたのだからな」
「これからもよろしく頼むぞ」
「うん……」
「こちらこそ」
「やったね!」
「ケイティ!」
「三人で幸せになろう!」
アリシアは嬉しさのあまり、
ケイティに抱きつく。
「怪物三人で?」
「ある意味そうじゃな!」
「本当だわ!」
「認めていいの?」
「当たり前よ!」
「当たり前じゃ!」
アリシアとアスタロテは、
再び同じタイミングで話し始めた。
「本当にタイミングが……」
「バッチリね!」
三人は団結力が高くなり、
お互いの存在が欠かせなくなった。
その頃……
王国の王城では……
ベアトリスは牢屋に、
閉じ込められていた。
「起きろ!」
「魔女め!」
王国のヴィンセント国王が、
偉そうに立っていた。
「うっ……」
「ここは?」
ベアトリスは衰弱し、
立ち上がる元気もない。
「王城の地下牢だ」
「お前のような魔女には……」
「ピッタリだな!」
「逃げられると思うなよ」
ベアトリスが入れられたのは、
魔力無効化石で、
作られた牢屋であった。
「力が……」
「皆ごめんなさい」
ベアトリスは魔法主体で戦うので、
この鉱石とすこぶる相性が悪い。
「ハハハ!」
「無様だな!」
「良い知らせをやろう!」
「お前は三日後に!」
「王城広場で処刑される予定だ!」
「王国内の全てに通達してやるぞ」
「心して待っておけ!」
「帝国の魔女め!」
「お前達の家族も……」
「全員捕まえてやるぞ!」
「そう……」
「皆殺しにされないようにね」
「ふん」
「減らず口を叩く余裕はあるようだな!」
「まあいい」
「牢屋での快適な生活を楽しめ!」
「三日後にまた来てやるからな!」
「フハハハ!」
捨て台詞を吐いて、
ヴィンセント国王は去って行くが……
突然、錬金術師ウィリアムズが呼び止める。
「ヴィンセント国王」
「よろしいでしょうか?」
「なんだ?」
「ウィリアムズ」
「あの魔女ですが……」
「例の怪物との親和性が大変高いことが……」
「調査で判明しました」
「なんだと!?」
「最高の生体パーツになります」
「驚いた……」
「なので処刑は取りやめてください」
「そうすれば怪物が百%の出力で暴れられます」
「いくつか試したいこともありますし」
「そうだな!」
「あまりにも勿体ない!」
「地下研究施設に近いうちに……」
「私が移送しても、」
「よろしいでしょうか?」
「ああ、構わん!」
「これで我らが王国が永遠に繁栄し!」
「偉大な支配者の降臨を支援できる!」
ヴィンセント国王は笑いながら、
謎の存在を匂わせる。
「はっ!」
「王国に栄光あれ!」
ヴィンセント国王が、
立ち去ったのを見ると……
ウィリアムズは豹変する。
「馬鹿な野郎だ」
「俺に利用されてるとも知らずに」
「のんきなもんだな」
「ああいう無能が減れば……」
「俺たちの街も助かったのか」
「なあ、そうだろう」
「ナンシー、リリー……」
「二人の仇は必ずとってやるからな」
「街の奴らの分も」
「ドラゴンたちは俺が……」
「根絶やしにしてやる」
ウィリアムズは拳を壁に叩きつけて、
復讐を誓うのであった。
一方地下牢では……
「アリシア……」
「助けて……」
ベアトリスは力尽きて、
再び眠りについた。
アリシアは無事に、
愛する人を助けられるのか。
王国の野望と支配者とは何なのか。
ウィリアムズの真の目的は何か。
断罪された無価値な令嬢、第一部完結。
新キャラクターのウィリアムズは、第二部でメインの敵になります。
王国の野望とは何か?
アリシアは無事にベアトリスを救出できるのか?
温泉街は改造されるのか?
次回もぜひお楽しみに!




