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episode14【拍子抜け】


半球が銀色で満ちた。


「ん?」「なに?」


唐突に起きた発光に、

人形たちを疑問が支配する。


目の前にいた人が突如光だし、

中で、気配が変わっていく。


その光景の不可解さに

彼女らは戸惑っていた。


その隙に、ニコは防壁を解き、

アリソンはニコを抱えて、

その場を離れていく。


「あ」「まて・・・」


アインとツヴァイはもちろん、

その二人を認識し、追おうという思いもよぎった。


しかし、

目の前の銀の光に全てかき消された。


あれに注意が向く。

アレをどうにかしないといけない。


そんな気がしてならない。


だから、

変わらず、人形たちは

弾の雨を、刃の連撃を

同じ場所へ続けた。


そこにある感触は

やはり一人の人


ただ、尋常ではないほど硬い。


「んんんん?やだやだやだやだ!」


異変を直に感じったのは

アインの方


光のせいで見えないが、

そこに突っ立っているだけの人型のナニカに

触れられない。


さっきのような

防御に集中的に力を割いた行動で防がれていると言うより、

何か特別に魔力を使う訳でもなく、素の抵抗力であっけなく弾かれてしまっている。


弾の雨は相変わらず降り注いでいるが、

余りに手ごたえがない。

当たった音がしない。


当たったかどうかあの光に飲まれたが最後、

弾が消え去ってしまったみたいだ。


光はどこか灰色にも近いが、

その煌めきは、銀


そいつが一気に広がり、

人形たちが思わず、目を覆ってしまうほど

一瞬、光が強くなったかと思うと、


その光は止んだ。


そして、

そこには、エマが居た。


「っ!」


受けた傷どころか

破けた服すら元通りに戻った彼女


しかも、その体には

先ほどの光と似た色の管が浮かび上がっている。


銀の光を放つ

血管よりも、鮮明に見て取れる

太く、くっきりと浮かんだ管が


体中に浮かびあがっているのだ。


「あ・・・あ・・・」


放つ気配は異様

人ではあるが、少し違う。

何かが混ざっている。


思わずなぜか目を背けたくなってしまいたくなる、

そんな異様さを、そんな気配を彼女は放っていた。


「ぐ!あああ!!」


何かを感じたのか

一瞬、攻撃の手をやめていたツヴァイだったが、

その闘志に駆られて、苛立ちに任せて、また動き出す。


エマに向かって、より一層、弾幕を濃く、多く放った。


しかし、

「・・・・」

エマにはほとんど何の効果もない。


頬に一瞬、かすり傷程度の傷も出来るが

一瞬で塞がり、治ってしまう。


「・・・・」


そんな彼女が、ツヴァイを見た。


その落ち着き払った目で、

黒い眼が銀に染まったその目で

真っすぐ見据えた。


その瞬間から、

ツヴァイは、弾幕をやめた。


だが、その頃、

エマが背を向けていたアインは


「がががが!」


弾かれたことに苛立ちを募らせ、

苛立ちを、その手の形に表していた。


右手が変形し、気づけば

とてつもなく巨大な斧へと変わっていた。


腕の部分は少したわんでおり、

緩く、ぐわんぐわんと揺れているがが、


その先には、到底それで支え切れるとは思えない巨大な斧


横向きに立てかければ、

アインがその全身を余裕をもって、隠し、

守ることができるぐらいには大きい。


大楯と言われても、

壁の一部と言われても納得できる、


そんなとんでもない大きさの斧を

アインは


「うらああああああああ」


エマに振りかざした。


しかし、

「・・・・・」


動いた瞬間、

エマがそちらを急に振り返る。


そして、

その大斧を軽く、その手で掴んでしまった。


「なっ!」


掴んだだけで

その勢いは完全に止まり、


彼女を切断することなど、

到底、叶わなくなった。


しかも、彼女の身体を、その周りを一瞬、赤い雷が舞う。

その瞬間、大斧は砕け散った。


雷で壊れた訳ではない、

崩壊の始まりは、エマが握った場所


即ち、彼女が握りつぶしたのだ。


あの小さな手で、その握力だけで

自分よりも二回り以上は大きい大楯を

完全に粉砕してしまった。


「っ・・・・・」


固まるアイン


呼吸だけは律儀に行うが、

それ以外はしない、できない。


ツヴァイも

全身、時でも止まったみたい動かない。


二人の時間が再び動き出したのは、

エマの目が再び両者を見つめた時、


順々に見つめると、

二人は見つめた方から


「あ、あいつ、い、いっしょぉ」

「やだやだやだやだやだ」


唐突に、そんな声をあげて、震えはじめる。


「・・・・・大人しくしてたら」


少し喋っただけで


「くるな!こっちくるな!」


二人は騒ぎ、震え、逃げ出す。


お互いのこと等、

まるで考えず、ただ逃げた。


背を向けて、一心不乱に

条件反射で、怖いから

ただただ逃げた。


「・・・・・・・」


それをエマは無理に追うことはしなかった。


むしろ、

この拍子抜けな反応に

余りの豹変ぶりに

少し戸惑いながらも


「・・・はぁ・・」


どこか安堵していた。


「社長ー」


そんな彼女を呼ぶ声がする。


「社長ー、大丈夫ですかー?」


声の主はアリソン、

ボロボロになった会社の奥から

彼女がエマを呼んでいた。


その後ろには帯びた様子のレーガンと

それを守る様に立つニコ


「え?え?あ、あ」


エマを見た瞬間、何かを言いそうになるレーガン


そんな彼女に向かって

エマは人差し指を口の前に当て

少し微笑んだ後、


管をその体に引っ込めた。


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