暗火、黎明、暮れの明星
今日の夜勤は2時間で終わるんですが、それまでの時間がめっちゃ余ってるのでその時間でできるだけ小説書いてみた。
マッチが一本、燃え尽きた。その余韻すらも、夕暮れを過ぎた死に損ないの夏は許してくれなかったようだ。
夜の散歩に、懐中電灯を持って来なかった私は阿呆だ。煙草を吸うために、格好つけで買ったマッチで帰路に着くなんて。
私の周りの空間だけが、電灯すら存在しない幕末か明治初期に巻き戻ったみたいだと、自らを皮肉った。
腕時計の付け外しが面倒で、スマホをこまめに付けて時間を確認する。時刻は、まだ19時に至らない。
私は家に帰って、薄い灯りと共に布団に包まりたいのたが、幼い錫蟲は夜中の準備をしていた。風物詩を楽しむ心はなかったが、不気味な静けさよりは頼もしかった。
何本目かのマッチは、そろそろまた臨終を迎えそうだった。だが、その時もう私の目には、少し遠くに我が家の明かりが見えていた。
光が人間に安心を与える理由が、この時に少し分かった気がした。光の中にいては、ただ眩しさに潰れるたけだが、闇の中でだけ、光は導となり、「聖女テレサの法悦」のような温もりの化身となるのである。
あと片手で数えられる程しかないマッチ箱から、私は勿体ぶることなく一本抜き取り、火を付け空を照らすように掲げた。夜の闇に気を取られていて気付けなかった星空を、今だけは子供のように見ていたかったからだ。
火よりも暗い六等星、新月過ぎの二日月、夜に紛れて恒星を微かに隠す雲。何とも風流に欠ける微妙な空だ。
夏が死に、秋が生まれる。そして秋が死ぬ頃には、もう葉は枯れ落ち、生き物は眠る。季節よりも、もしかしたら時間の中で生きる生命の方が一瞬を生き死んでいるように感じられたのは、私もまた何処か憂いと哀愁に微睡んでいたからだろうか。
この夜を照らす火はもう無い。さらば、マッチ売りの夜よ。私は、君より先に夜を諦めることにした。
寝る!!!!!!!!!
(翌日午前6時)




