転校生と思い出
ミーンミンミンミンミーン
「……………」
そわそわ…きょろきょろ…
「……………」
ま、まだかなぁ…謙人。
「おはよう、桜」
「あ///おはよう謙人」
「それじゃあ行こうか」
「う、うん…///」
夏休みが終わり、2学期に入った
私と謙人はあの映画大賞以来、距離が近くなった気がする
最近は謙人って呼び慣れたし…そして…
チラッ…
「ん?どうした?」
「あ///な、なんでもない…」
最近は私によく笑ってくれるようになった。
なんだか…とても幸せだなぁ
「お~い。東崎、倉見~」
「お。おがさん、明石」
後ろから小笠原君と明石君がやってきた
「久しぶりだな東崎」
「本当に久しぶりだな。夏休み中はまったく会ってなかったからな」
「そうだな…そして…」
「そして?」
「俺達は8話以来、まったく出てこなかったんだよね…俺ら…(泣)」
「あ、あぁ…そうだな(汗)」
「俺らはやっぱ脇役だからなぁ…」
「あー…(汗)」
何か慰めたいけど、何も言えねぇ…
「いいんだいいんだ…これからは出番あるから…」
「……………」
それは作者に言って欲しいと思う俺であった。
~~~~~~~~~~~
ざわ…ざわ…
「おはよー…って」
教室に入ると、クラスメートが騒いでいた
「どうした~?何かあったのか?」
「小笠原、知らないのか?あの噂」
「噂?」
「実は、今日転校生が来るんだってさ。しかも女子!!」
転校生?そんな噂があったんだ…
「転校生なんて初めて聞いたな」
「どんな人なんだろうね謙人」
「……………」
すると私と謙人が話してるのを小笠原君が不思議そうに見ていた
「えと…小笠原君…どうしたの?」
「あのさ…倉見は、いつの間に東崎を呼び捨てに?」
「にゃ!?あ、あああ…あの…///」
「お前ら、夏休みの間に一夏のアバンチュールをしたのか?ww」
「アバンチュールて………」
「ち、違うの!!これはね…///」
「皆まで言うな倉見。進展はしたんだろ?ww」
進展はしたけど…
『うん…ありがとう……………謙人』
カァァ…/////
「そこんとこどうなんですか?倉見さん?」
「どうって………それは…///」
私が返答に困っていると
バシッ!!
「いたっ!?」
「おい、チャイム鳴ってるぞ。早く席に着け」
「いてて…分かりましたよ…」
運良く荒津先生が入ってきたので聞かれずにすんだ
「ほら、倉見も席に着け」
「はい」
~~~~~~~~~~~
「それじゃあお前らも噂で聞いてる通り、転校生を紹介をする」
「先生~転校生って女の子ですか?」
小笠原君が聞いてきた
「あぁ、そうだ」
「マジか~楽しみだな~な、東崎?」
「なぜ俺に聞く?」
「いや~テンション上がるじゃん?転校生とか」
「そうか?」
まるで興味の無さそうに謙人は言った
女の子にはまだ興味はないのかな…?
「それじゃあ入ってきなさい」
ガラガラ…
静かに扉が開かれると
「は、初めまして…」
入ってきたその娘は茶色のショートヘアの小柄な女の子
「名前、書いてくれるかい?」
「は…はい」
先生からチョークを渡されて、名前を書く
『芝山茜』
……………
……………
え……………?
「えぇ!!?」
私は思わず立ち上がって叫んだ
「お、おい。どうした倉見?」
「あ!な、なんでもありません…///」
「そうか?………それじゃあ自己紹介を」
え…どういうこと…?
「はい。えと…芝山茜て言います。皆さん仲良くしてください…///」
「うん、それじゃあ質問したいヤツ、いるか?」
「はいはーい!!」
すると小笠原君が元気よく手を上げる
「芝山さんって、彼氏いますか~!!」
「あ…えと、彼氏はいません…」
「マジですか!!よかったな東崎!!」
「何がだよ…」
「東さ……………」
「……………?」
すると芝山さんは謙人の名前を喋ったような気がした
「じゃあ芝山さんは…東崎の隣な」
「は、はい…」
ガタッ…
「け……………東崎…君」
「初めまして、芝山さん。東崎です」
「……………よろしく…」
「……………?」
~~~~~~~~~~~
休み時間
「ねぇねぇ、芝山さんって趣味はなに?」
「えと…手芸かな」
「それじゃあ、特技は?」
「特技はないかな…」
「じゃあじゃあ好きな食べ物は?」
「えと………(汗)」
転校早々、芝山さんは皆から質問責めを受けていた
「……………」
叔母さんが前に言っていた『芝山茜』その娘は急にこの学校に来た
なんで急に………もしかして、やっぱり謙人と何かあって寄りを戻しに来たのかな?
う~ん…
「どうした桜、難しい顔して」
「にゃ!…謙人…」
「何かあったのか?」
「うぅん。なんでも…」
「そっか」
……………
「………謙人」
「ん?」
「芝山さんって娘、謙人は知ってるの?」
私はさりげなく聞いてみた
しかし…
「知らないよ。今日会ったの初めてだし」
すっぱりとそう言った
「………本当に?」
「本当だって、初対面なんだ」
「……………?」
~~~~~~~~~~~
授業中
『それでは授業を始める。教科書78ページ開け~』
「と………東崎…君」
「え?あぁ、まだ教科書来てないんだよね。」
「う、うん…だから見せて…下さい」
「はい」
謙人は教科書を芝山さんの方に寄せた
「あ、ありがとう…けん…」
「え?」
「う、うぅん…東崎君」
「……………」
何かおかしい
普通芝山さんと何かあったのなら、よそよそしくなったり、逆に接触しなかったりするはず…
でも、謙人は本当に初対面のように接してる。
本当に何かあったのかな…
~~~~~~~~~~~
放課後
「それじゃあ帰るか」
「うん」
謙人はバックを掴んだ
しかし突然
「謙人!!」
「!?」
いきなり後ろで芝山さんが大声を張り上げた
え…なに?
「し、芝山さん………?」
「謙人!!私を覚えてるでしょ!?」
「え…」
「思い出してよ!!私と謙人が中学の時、付き合っていたこと」
「付き合っていた?」
「そうよ!!謙人と一緒に遊びに行ったりしたあの日々を!!」
「あの日々…?」
「叔母さんの旅館に泊まりに行ったことも!!」
「……………」
思い出す?
「謙人!思い出してよ…中学の時、乾くんと一緒に映画撮ったじゃない…」
「……………」
「私と一緒に夏祭り行ったことも…それから………」
「ごめん」
……………
……………
「ごめん。俺はそんな思い出を覚えてないんだ…」
「っ……………」
「芝山さん、あなたとは初対面で何も知らないんだ…だから…」
「~~~~~!!!」
ダッ
「あっ、待って!!」
タタタタタ…
~~~~~~~~~~~
バタン!
私は芝山さんを追いかけて屋上に来た
「はぁ…はぁ…」
「芝山さん…」
「倉見さん…どうしてここに?」
「ごめんなさい…急に追いかけて…でも、急にどうしたんですか?」
「………あなたには関係ないです」
「でもっ…あんなことを目の前で見せられて、関係ないなんて言えないですよ」
「……………」
「余計なお世話だと思いますけど、謙人と何があったか教えてくれませんか…?」
「だから…倉見さんには関係ないって…」
「関係なくないです!!だって私は謙人が大好きなんですから!!」
……………
……………
「あ…」カァァ…/////
「ちっ、違うんです!!謙人が恋愛対象としてというか…その、あの………///」
「謙人が好きなんですね…」
「へ?」
「謙人を好きな人がいるなら…話してもいいかもしれないです」
「なんで…私が謙人を好きなだけで…」
私は聞いてみると
「だって…私は謙人には存在すら忘れられたんですから…」
存在を忘れられた?どういうこと…?
「それはどういうこと………?」
「謙人は記憶喪失なんです」
え…?
その頃・・・
「って、俺らの出番はこれだけかよ!!」
「おがさんはまだマシだろ。俺なんか一言も喋ってないんだぞ!!」
・・・と教室で叫んでいたおがさんと明石であった。