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12/20

腐れ縁と照れ

ミーンミンミンミンミーン

「あ、暑い…」

照りつけるような暑さがパソコンを叩く俺に襲いかかってきた

撮影旅行を終えて、夏の『全国高校文化映画大賞』に向けて俺は部室で編集作業をしていた。

「……………」

撮影旅行以来、俺と桜はちょっと気まずくなっていた

いや…詳しく言うと桜が俺に抱きついてからだ

なんていうか…なんとなく懐かしい感じがした。それは…昔にあったような感じ…


「謙人!!」

……………ん?なんだ?今、誰かが呼んだような…


「け、謙人………///」

「ん?あ、桜か…」

後ろを振りむくと桜が部室に来ていた

「なんだ。来てたなら声を掛けてくれよ」

「入口で声掛けてたんだけど、け謙人…気付かなかったから」

「あ…」

考えてて気付かなかった。最近考えてばっかだなぁ

「へ、編集作業はどう?」

「あー…あとは手直しすれば、完成かなぁ」

「そ、そう…あ、あの謙人…///」


ガサッ

桜は袋を渡してきた

「アイス?」

「う、うん。暑いから一緒に食べようよ」

「ありがとう桜」

「う、うん………謙人///」

あれ?なんか違和感がある


……………あ、桜が俺を呼び捨てにしていた


『うん…ありがとう……………謙人』

あの時、俺を呼び捨てにしていた事を思い出した

あー…また落ち着かなくなってきた

「け、謙人?」

「え?あー…アイス溶けるから食べるか」

「??」


~~~~~~~~~~~

当日

『参加団体は2階イベントホールで受付してください』

「さてと…じゃあ行くか」

「う、うん…」

今日は『全国高校文化映画大賞』映画部では最大の行事である


そして…俺にとってはちょっとめんどくさいヤツが来る。


「け、謙人。今年も来るのかな?」

「来ると思う…常連校だし、今年部長だって言ってたし…」

「誰が来るんですかにゃ?」

咲川さんが聞いてきた

「えっと…前に北総高校の部長さんが謙人とライバルって話したよね?」

「その人が今日来るんですか?」

「うん…」

そう、謙人の腐れ縁であるあの人が…

「ところで倉見先輩、いつから東崎先輩を呼び捨てに?」

「にゃあ!?ま、前からじゃないの(汗)」


すると

「来たな、東崎よ!!」

「はぁ………」

謙人はため息をついた

き、来ちゃった…


「聞くがいい!!我らは北総高校映画部!!映画部の部員よ、集まれ!!」

そう言うと、北総高校の制服を来た生徒が集まる

「我ら精鋭が今年も貴様ら愚民を踏みつぶしてくれるわ!!」

バーン!!バンバーン!!

「そして我が映画部の部長、乾久志だ!!」

バーン!!バンバーン!!


「……………」

まるで…戦隊モノの登場シーンみたく北総高校映画部が毎年恒例のパフォーマンスをしていた

「……………ふ、決まったぜ」

「はぁ………」

そしてまたため息をつく


「久しぶりだな、東崎謙人よ」

「お前ってヤツは…」

そう、コイツは北総高校映画部の部長、そして中学時代からの腐れ縁である乾久志いぬいひさし

「ふっふっふ…どうだね。私の華麗な登場は」

「華麗っていうか、他の高校の迷惑だから止めろ」

「そうか!!私の登場は華麗だったか!!」

「人の話聞いてないし…」


そう、この乾は乾財閥の御曹司で、人を見下す態度を取り人の話を聞かない…いわば『バカ』である。

中学時代、一緒に入っていた映画研究会で知り合って以来、なぜか俺に絡んでくるのだ

「ところで東崎謙人よ」

「なんだ………」

「貴様の部員はどこにいるんだね?」

「あー…そこにいるのがうちらの部員だ」

俺は後ろにいる桜達を指さす

すると…

「ふ…貴様含めて、たった4人か(笑)」

「あ?じゃあお前らは何人いるんだよ?」

「ふ…我ら映画部は28人の部員がいるが?貴様の部員の7倍もいるのだよ(笑)」

どやぁ………


うわぁ…うぜぇ…

「どうだね?我らの精鋭にはかなわないだろう?」

「でも乾が部長って時点で終わってる気がするけどな」

「なにっ!!私が部長だとなぜ終わるのだ!!」

「いや…お前が部員から信頼されてるとは到底思えない」

「なんだと!!そんなはずがない!!そうだろう精鋭達!!」

……………

……………

北総高校の部員は全員目を逸らして黙っていた


「がびーん!!」

地味に古い効果音を出して、乾はその場に倒れ込んだ

「ほら、やっぱり…」

「なぜだ!!私はパーフェクトだというのに!!」

「バカという所でパーフェクトじゃないのか?」

「くっ……………」


ガバッ!

するといきなり乾は立ち上がって

「ふんだ!!貴様なんか負けてしまえばいいんだ!!」

「は?」

「バーカバーカ!!お前なんか…バーカバーカ!!」

そう言って、乾は走り去ってしまった

「子どもか…」


~~~~~~~~~~~

「やれやれ…乾は相変わらずか…」

「お、お疲れさま謙人…(汗)」

「乾は本当に面倒なヤツだよな。それでいて実力があるってのがムカつく…」

「あはは…(汗)」


パッ

するとホールの照明が消えた

「お、始まるな」

『それではお待たせしました。ただいまから第53回全国高校文化映

画大賞を開催いたします。』


~~~~~~~~~~~

『君が殺した…のか?』

『……………』

『答えろよ!!』

『………あなたが悪いのよ…』


この映画大賞では各高校の映画が30分程流される。

それによって審査員が評価して、今年の大賞を決める

『続きまして、エントリーナンバー7番、私立北総高校の「ホリデイ」を放映いたします』


『絶対君を幸せになんか出来ない…』

『そんなことない!!あなたに幸せにさせてほしいの!』

『しかし…俺は差別されている…君を不幸にしてしまうんだ』

『それは世間体を気にしてるの?意気地なし!!』


映画は差別されている民族の主人公に恋した少女の恋愛物語だった

うぅ…かなりいいシナリオだ…さすがは北総高校だ

伊達に毎年優勝してないな…

「け、謙人…」

「え?」

「だ、大丈夫かな…北総高校の作品…スゴい…」

「あぁ…」

桜も思ってたのか


「でも…大丈夫だ」

「にゃ?」

「俺さ、今回の映画は皆必死だってのはカメラから見てても分かったから…咲川さんも武蔵田君も…」

「う、うん…」

「もちろん桜も頑張ってた。」

「う、うん…///」

「だから平気だよ」

すると謙人は


キュッ

「にゃ!?/////」

いきなり私の手を握ってきた

「こうしてると落ち着くか?」

「お、落ち着くというか…///」

「でも桜緊張してたから…安心してもらいたいんだ」

「あ、あぅ…///あ、ありがとう………謙人///」

「あぁ…」


『続きまして、エントリーナンバー8番、都立………』


~~~~~~~~~~~

大会終了後

「はぁ…やれやれ…」

「ま、負けちゃいましたね…」

「仕方ない。北総高校が強すぎたんだ」

俺達は結局北総高校には適わず、3位だった

「あー…なんか微妙な順位だよな」

「でも高い方じゃないですか?」

「まぁね、でも乾のあの顔がものすごく腹立った」

そして…


『ふははは!!私らの勝ちだな!!』

『いや、競争した覚えないし』

『だが、私は勝った!どうだ、ざまあみろ』

イラッ

『このやろう…このマザコンが!!』

『な、なにっ!?誰がマザコンだ!!ママの………あ』

『乾、やっぱりマザコンじゃねぇか』

『く……………なんて屈辱…』


「俺…なんて幼稚な事言ってたんだ…」

「ケ、ケンカではよくあるんじゃにゃいですか?」

「いや…まさか乾にあんな事言うなんて…」

カァァ…///


あ………あれ?け、謙人…もしかして照れてる?

「謙人?」

「あ…いや…あのだな…///」

珍しく謙人は少し取り乱していた。叔母さんはあまり感情を出さないと言ってたけど

なんだか新鮮というか、まるで謙人じゃないみたい…

「あー…///」

あ…そうだ………


ギュッ

「え………」

「落ち着いた?」

「あ…まぁな…」

「謙人に…安心してもらいたいから」

「て…俺が言った言葉じゃないか」

「えへへ…パクってみました」

俺と桜は笑った

あぁ…なぜか桜といると安心するなぁ


「じゃあ行くか」

「うん」

そうして夏休みは終わった。



~~~~~~~~~~~

『二鷹~二鷹~』

トンッ


「着いた…やっと会えるね」

「謙人…」


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