第16話 お嬢様、マーク様の婚約者のフリをする。
お嬢様から、お嬢様がマーク様の婚約者役をするという話を聞きました。陛下の耳にも入っているでしょうか?マーク様の方からお聞きでしょうか?外交に関わる重要なことですから伝わっている事でしょう。
「マークが‘役得’って言った時、ちょっと悲しくなったなぁ」
「お嬢様!そういう気持ちが恋愛感情なのです。恋い慕う方の真の恋人でありたい。しかし、現実には恋人役というポジション。本当の恋人になれたら…。という切ない女ごころでございます!」
説明しないと理解をしていただけない切ない侍女心。
「明日、その隣国から王女殿下が来るらしくて私が婚約者としておもてなしをしなきゃなんだよね」
「おもてなしの前に顔合わせですよね。おもてなしとしましてはお茶会でしょうか?王妃様、お嬢様のお二人となりますが、慎ましやかなお茶会をスタンバイいたしましょう。このサラ!全力でサポートいたします!」
「うふふ。頼もしいわ。明日からの事を考えるとちょっと疲れちゃったわちょっと早いけど、もう今日はお休みをするわね」
陛下の耳にキチンと入っているかしら?その事が心配です。お嬢様が就寝しているのでこの部屋を私が出ることは心許ない。何者かが侵入する事だって考えられます。
陛下へ急ぎ手紙を送りましょう。急ぎです。お嬢様の名前をお借りしましょう。
~王国の太陽・国王陛下へ
私のような者が筆を執った次第です。部屋を空けることもできないので、手紙という手段をとりました。
明日より隣国の王女殿下がいらっしゃるという話をお嬢様から聞きました。なんでも殿下の婚約者候補だとか…。
訓練の際に聞いたようで、その場で自分が殿下の婚約者のフリをすると言ったようです。陛下はご存じでしたか?
明日よりはステフお嬢様が殿下の婚約者(役)となります。
そのように王宮全体に認知されないといけないので筆を執った次第です。拙い文章でお目汚しを失礼いたします。
ステフお嬢様の侍女・サラ
翌日より、お嬢様がマーク様と行動を共にすることとなりました。
しかしながら、そのことは護衛騎士達の中で、「実の妹が頑張ってるというのに、あいつは護衛騎士を休暇?どうなっているんだ?」「俺なら妹共々護衛するね。あんなに麗しい妹だぜ?放っておかないって」
などとピエトロ様の株がダダ下がりです。
とはいえ、お嬢様とピエトロ様が同時に存在することは不可能なので、このような形になるのですが……。護衛騎士の中でも殿下が信用できるという方数名にステフ=ピエトロという事を認知させておいた方が良さそうです。
隣国からいらした王女殿下もまぁそこそこの美形ではありましたが、お嬢様と比べてしまうと……。何にしてもお嬢様の方が秀でているので、隣国からの王女殿下も辟易してきたようです。自分は何のために来たのだろうと。
お茶会では、「ステフ様とお呼びしても構いませんか?ステフ様はお茶を淹れるのも得意だと聞きました。是非そのお茶を飲んでみたいわ」
などと仰っていましたが、ステフお嬢様がお茶を淹れるのが得意だなんて私すら初耳です。
恐ろしいですね。貴族の戦場・お茶会。
その後、お嬢様が淹れたお茶は何とも絶妙なお茶の温度に香りも芳しく、味も豊かで本当に美味しかったです。
貴族の戦場怖いよ~!




